エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

オッペ川の白鳥

2016年01月14日 | ポエム
越辺川・・・オッペガワである。
埼玉県川島町を流れている。
いや、言い換えれば川島町辺りのオッペ川に白鳥は飛来するのである。



ここの白鳥は、シベリヤから渡ってくるコハクチョウである。



コハクチョウもまた、優雅である。
色白美人と言い換えても良い。

全身を覆う白毛は、滑らかでビロードのようでもある。
更に云えば、白鳥の白毛は「堅牢」であるのだ。



狷介な性格である。
そう思ってしまう。



私はコハクチョウだけれど、何か?
そう言っているようにも見えるのだ。

変に媚びないのが良い。
ぼくは、毎年会いにくる。

今回は、句友とともに吟行と洒落込んでいる。







「かしましき美女の吟行白鳥来」







オッペ川には、鴨も飛来してくる。
一年中、ダイサギも遊んでいるのである。



鴨である。
この鴨を見た後は、鴨南蛮だとか鴨鍋焼饂飩といったメニューからは自ずと遠ざかる。

あまりに可愛いからである。



これはダイサギである。
二羽が羽ばたいて遊んでいた。

求愛のダンスかもしれない・・・。
そうだとすれば、嬉しい。

鴨も、しきりに求愛のダンスをする。
種の本能である。
それは美しい。


     荒 野人

吉見百穴

2016年01月13日 | ポエム
吉見百穴・・・「よしみひゃくあな」と読むのだ。
過日、オッペ川の白鳥に会いに出かけたのである。

その日程の後、吉見百穴にも足を延ばしたのであった。
凶は百穴について語りたい。
白鳥吟行は、改めて白鳥の句が出来た時にアップする。



これが百穴である。
最初の学説は、コロボックルの住居だというものであった。



今は、古墳時代の墳墓であると確定している。
けれど、かつての日本人の悠久の文化への無知を感じさせられる遺跡となっている。

戦時中は、この穴を広げて「軍需工場化」とさせていたのである。



いまや、心霊スポットともなっている。
一人で入るには、少し勇気のいる空間と化している。







「古代へと馳せる情念冬うらら」






とまれ、吉見百穴は古代人の情念を感じ取れる場所である。
石を穿つ情念。
石を運ぶ情念。

そこに生きる情念。
情念の産物が百穴である。



     荒 野人

シダーローズ

2016年01月12日 | ポエム
シダーローズ・・・。
ご存知でしょうか?

ヒマラヤ杉の「松ぽっくり」いや「杉ぽっくり」のことである。

ヒマラヤ杉のぽっくりは、樹上の形を残すことなく地上に落ちる。
落ちる時には、ぽっくりの鎧は脱ぎ捨ててしまうのである。



その結果、薔薇の花のようになって地上に到達するのである。
歳時記には記載の無い現象である。

けれど、晩秋から今頃まで拾うことが出来る。
実に愛らしい「ぽっくり」なのである。







「ヒマラヤ杉地上に降らす冬ぽっくり」







ぼくは、このシダーローズを神代植物公園で拾った。
そのとき、正式名称を知りたくて事務所で聞いたのだけれど受付も事務所の方もご存知ではなかった。

学芸員の方でもおられたのなら、きっと答えて頂けたのだと思っている。
その日、帰宅してネットで調べたのである。

浅学非才の哀しさである。
シダーローズにいままで思い至らなかった迂闊さに、ただただ恥じ入る。



       荒 野人

黄水仙一輪

2016年01月11日 | ポエム
小寒を過ぎたのだけれど・・・。
冬将軍が列島を襲っている、というのだ。
いうのだが、寒の入りとは思えない暖かさである。



池には、まだ氷が張らない。
薄氷(うすらい)で、句が詠めない。

例年だと、初氷から毎日のように薄氷が詠める。
思いがけない場所で薄氷が張っていたりして、その発見が楽しい・・・筈なのだ。



今日あたりから、薄氷が詠めそうである。
霜が、限られた場所でしか見られないのも哀しい冬である。







「黄水仙微熱の続く夢の後」







水仙は、例年になく綺麗である。
而して、鼻を突くほどの芳香を放っている。

とりわけ、日本水仙の芳香は強い。
黄水仙は、穏やかである。



      荒 野人

ホトケノザ

2016年01月10日 | ポエム
仏の座・・・である。
花の下が、蓮華の葉のようであるからだ。

仏が鎮座するのに、最も相応しい形である。



ホトケノザも暖かさに誘われたのであろう。
哀しいけれど、心に灯が点るではないか。







「ホトケノザ自然に決まる生死かな」







近所の畑である。
記憶だと、ここには大根が植わっていた。

冬本番はこれからである。
だが、春遠からじ・・・である。



       荒 野人