「ONE WORLD」
別にマスコミ批判ではない。
あらかじめ。
でも、いつから「News ニュース = わるい知らせ」になったのだろう。
テレビのニュースを見ていると、
流れてくる情報は決まって「マイナス」なものが多い。
8割以上がその類ではなかろうか。
おかげで、今世の中で起こっていることを正確に知ることができるようになった。
その中には直接、間接的に自分の生活に影響することもたくさんあり、
正直助かっている部分も多い。
でも、それでも「マイナス」なニュースが多いように感じるときがある。
自分から遠いところで起きた事件や事故、
それらに対して無関心でいいとか、
自分から遠く離れた場所のことは関係ないと言える勇気はない。
また、テレビ局の放送の限られた時間の中で、
いいこととわるいことがあったら、どちらを優先的に伝えるべきか。
いいことばかりを放送していたら、
それはそれでおかしな方向に行ってしまうのではないか。
そうした議論に明確な答えを持ち合わせているわけでもない。
一面的な情報を浴びると偏見が生まれ、
断片的な情報を鵜呑みにすると先入観が形作られる。
日本から遠い国。
地理的にも、文化的にも遠ければ遠いほど、
見ようとしても、触れようとしてもなかなか難しい
そんな国に対してほど偏見や先入観に、事実私の心は支配されていた。
別にマスコミ批判ではない。
あらかじめ。
でも、いつから「News ニュース = わるい知らせ」になったのだろう。
テレビのニュースを見ていると、
流れてくる情報は決まって「マイナス」なものが多い。
8割以上がその類ではなかろうか。
おかげで、今世の中で起こっていることを正確に知ることができるようになった。
その中には直接、間接的に自分の生活に影響することもたくさんあり、
正直助かっている部分も多い。
でも、それでも「マイナス」なニュースが多いように感じるときがある。
自分から遠いところで起きた事件や事故、
それらに対して無関心でいいとか、
自分から遠く離れた場所のことは関係ないと言える勇気はない。
また、テレビ局の放送の限られた時間の中で、
いいこととわるいことがあったら、どちらを優先的に伝えるべきか。
いいことばかりを放送していたら、
それはそれでおかしな方向に行ってしまうのではないか。
そうした議論に明確な答えを持ち合わせているわけでもない。
一面的な情報を浴びると偏見が生まれ、
断片的な情報を鵜呑みにすると先入観が形作られる。
日本から遠い国。
地理的にも、文化的にも遠ければ遠いほど、
見ようとしても、触れようとしてもなかなか難しい
そんな国に対してほど偏見や先入観に、事実私の心は支配されていた。
出発3日前に発生した事件はインターネットで見つけた。
なんでも首都近くのラーワルピンディというところで自爆があり、数人が亡くなった。
外務省の渡航情報のホームページを見れば、
パキスタンという国のほぼ全土がオレンジ以上、
場所によっては赤の色で塗りつぶされている。
渡航延期勧告もしくは避難勧告だ。
正直、渡航自体を迷った。
何か身の回りに変ったことは起きないだろうか。
そうすれば、
それはきっと所謂「虫の知らせ」に違いない。そんな変な期待を持ったものだ。
しかし、出発当日雨が強かった以外は、
残念ながら渡航を諦めさせるような大きな出来事はなかった。
なんでも首都近くのラーワルピンディというところで自爆があり、数人が亡くなった。
外務省の渡航情報のホームページを見れば、
パキスタンという国のほぼ全土がオレンジ以上、
場所によっては赤の色で塗りつぶされている。
渡航延期勧告もしくは避難勧告だ。
正直、渡航自体を迷った。
何か身の回りに変ったことは起きないだろうか。
そうすれば、
それはきっと所謂「虫の知らせ」に違いない。そんな変な期待を持ったものだ。
しかし、出発当日雨が強かった以外は、
残念ながら渡航を諦めさせるような大きな出来事はなかった。
イスラマバードの最高級ホテル「イスラマバード・マリオットホテル」
その周囲は鉄条網で覆われ、
駐車場には土嚢で築かれた機関銃掃射場があり、
ホテルに入るには銃を持ったガードマンが見守る中、
金属探知機のゲートをくぐって敷地内に入る。
またゲートからホテルの玄関までは直線ではなく、
折れ曲がったコースを歩いていかなければならない。
入国前から完全に身も心も固い殻に閉じこもっている私は、
できるだけ人の集まるところに行かないように心がけていた。
しかし、食べるためには市場に行かなければならない。
市場に行けば人がいる、たくさんいる。
必要なモノさえ買えば、彼らと話をする気もない私だったが、
半時でも街を歩けば、やはりその空気というものがわかるもの。
言葉はわからずも親切な対応、笑顔で「写真を撮ってくれ」と言ってくる彼らは、
先入観と偏見に凝り固まっていた私の印象とは
だいぶ異なっていると感じ始めた。
私が自分の殻を一枚脱ぎ捨てるのにそれほどの時間はかからなかった。
※しかし大変残念なことに、私の泊まった安宿の数百メートル先で自爆テロが発生し警官2名がお亡くなりになりました。
その周囲は鉄条網で覆われ、
駐車場には土嚢で築かれた機関銃掃射場があり、
ホテルに入るには銃を持ったガードマンが見守る中、
金属探知機のゲートをくぐって敷地内に入る。
またゲートからホテルの玄関までは直線ではなく、
折れ曲がったコースを歩いていかなければならない。
入国前から完全に身も心も固い殻に閉じこもっている私は、
できるだけ人の集まるところに行かないように心がけていた。
しかし、食べるためには市場に行かなければならない。
市場に行けば人がいる、たくさんいる。
必要なモノさえ買えば、彼らと話をする気もない私だったが、
半時でも街を歩けば、やはりその空気というものがわかるもの。
言葉はわからずも親切な対応、笑顔で「写真を撮ってくれ」と言ってくる彼らは、
先入観と偏見に凝り固まっていた私の印象とは
だいぶ異なっていると感じ始めた。
私が自分の殻を一枚脱ぎ捨てるのにそれほどの時間はかからなかった。
※しかし大変残念なことに、私の泊まった安宿の数百メートル先で自爆テロが発生し警官2名がお亡くなりになりました。
■「チップをねだる人を戒める人々がいる」
■ 「おじいさんに内緒で写真撮ったことがばれると、
怒るどころか今度はきちんと正面から撮ってくれと言ってくる」
■ 「2種類のオレンジジュースについて、
『こちらは海外ブランド、こちらは国内ブランドだけど、
ローカルのほうが安くていいよ』と薦めてくる小売店店主」
■ 「長距離バスカウンターでは、
自分だけを職員用ブースに入れてくれて椅子を与えてくれる」
■「長距離バスの移動では、
自分に真ん中の揺れない席をとってくれたり、
ドライブインでは運転手用の奥のトイレを教えてくれる」
■ 「お土産に買った石のネックレスの紐が切れてしまえば、
かしこまって交換してくれるお土産屋」
■ 「両替の計算方法がわからないために、
私に電卓を叩かせ、その額を信用するホテルマン」
■ 「車内に載せた私の荷物が大きすぎるために、
その一部を膝に抱えてくれる見ず知らずの乗客」
■ 「勝手に入っていった木工房数軒では、
ミルクティーの薦めを断るのがやっとだった」
■ 「ご飯を食べにいったホテルのレストランでデジカメを忘れても、
当たり前だけど戻ってくる」
これらの出来事のどれもが、
平均よりは多いと思われる私の海外旅行経験からすれば、
意外だった。暖かかった。
たとえ人がごった返す首都のバスターミナルでも、
目的地に着いて不安にバスを降りるときでも、
「売り場はあそこにあるよ」と口で教えるだけでなく、
実際にそこに連れて行ってくれ、
現地語がわからない私の代わりにチケットを購入してくれ、
「乗り場はあそこだから、何時までこのベンチに座っていればいい」
と、アフターフォローまで完璧。
まるで自分専用の執事が
各ポイントに何人も待機してくれているような錯覚だった。
■ 「おじいさんに内緒で写真撮ったことがばれると、
怒るどころか今度はきちんと正面から撮ってくれと言ってくる」
■ 「2種類のオレンジジュースについて、
『こちらは海外ブランド、こちらは国内ブランドだけど、
ローカルのほうが安くていいよ』と薦めてくる小売店店主」
■ 「長距離バスカウンターでは、
自分だけを職員用ブースに入れてくれて椅子を与えてくれる」
■「長距離バスの移動では、
自分に真ん中の揺れない席をとってくれたり、
ドライブインでは運転手用の奥のトイレを教えてくれる」
■ 「お土産に買った石のネックレスの紐が切れてしまえば、
かしこまって交換してくれるお土産屋」
■ 「両替の計算方法がわからないために、
私に電卓を叩かせ、その額を信用するホテルマン」
■ 「車内に載せた私の荷物が大きすぎるために、
その一部を膝に抱えてくれる見ず知らずの乗客」
■ 「勝手に入っていった木工房数軒では、
ミルクティーの薦めを断るのがやっとだった」
■ 「ご飯を食べにいったホテルのレストランでデジカメを忘れても、
当たり前だけど戻ってくる」
これらの出来事のどれもが、
平均よりは多いと思われる私の海外旅行経験からすれば、
意外だった。暖かかった。
たとえ人がごった返す首都のバスターミナルでも、
目的地に着いて不安にバスを降りるときでも、
「売り場はあそこにあるよ」と口で教えるだけでなく、
実際にそこに連れて行ってくれ、
現地語がわからない私の代わりにチケットを購入してくれ、
「乗り場はあそこだから、何時までこのベンチに座っていればいい」
と、アフターフォローまで完璧。
まるで自分専用の執事が
各ポイントに何人も待機してくれているような錯覚だった。
杏の里とも、風の谷とも、長寿の村とも言われ、
つまりは一言でいうと「桃源郷」の異名があるフンザ。
険しい谷に杏を植え、段々畑と妙にひょろながいポプラが印象的なこの景色は、
何世代にもわたるフンザの民の苦労で築き上げられてきたものだ。
「7000メートル以下の山は山に非ず、名はない」
とも言われる峻険な山々が差し迫る光景は自分の中に比較するものがなく、
いかに素晴らしい風景に身をおいているかという実感が
その時はまだいまいち湧いていなかった。
つまりは一言でいうと「桃源郷」の異名があるフンザ。
険しい谷に杏を植え、段々畑と妙にひょろながいポプラが印象的なこの景色は、
何世代にもわたるフンザの民の苦労で築き上げられてきたものだ。
「7000メートル以下の山は山に非ず、名はない」
とも言われる峻険な山々が差し迫る光景は自分の中に比較するものがなく、
いかに素晴らしい風景に身をおいているかという実感が
その時はまだいまいち湧いていなかった。
知る人ぞ知る、
このフンザは「風の谷のナウシカ」の舞台と言われている。
ホテルの屋外テラスから、
その高低差のある谷を俯瞰すれば、
自分の目線の下を鳥たちが滑空している。
すっと、ナウシカが乗って飛んでいたあの白い乗り物が
思い出され、
ここがその着想の生まれた場所であったと信じることができる。
しかし、
ここ桃源郷のフンザにも時代の波は確実に押し寄せている。
自給自足だった農作面では、
主食の小麦に代わり換金作物であるじゃがいもが増え、
国際市場の小麦価格の上昇の影響を受け、
食生活の変化により寿命の短命化、病気の増加傾向
宗教を重視しない若者が増えるなどなど。
これもまた「ONE WORLD」。
このフンザは「風の谷のナウシカ」の舞台と言われている。
ホテルの屋外テラスから、
その高低差のある谷を俯瞰すれば、
自分の目線の下を鳥たちが滑空している。
すっと、ナウシカが乗って飛んでいたあの白い乗り物が
思い出され、
ここがその着想の生まれた場所であったと信じることができる。
しかし、
ここ桃源郷のフンザにも時代の波は確実に押し寄せている。
自給自足だった農作面では、
主食の小麦に代わり換金作物であるじゃがいもが増え、
国際市場の小麦価格の上昇の影響を受け、
食生活の変化により寿命の短命化、病気の増加傾向
宗教を重視しない若者が増えるなどなど。
これもまた「ONE WORLD」。
「10年来の想い」
それは10年以上前に旅行経験豊富なK先輩から
聞いた話だった。
「ヒマラヤの向こうに風の谷って呼ばれる、
ナウシカの舞台になった谷があるんだよ。
険しい道を抜けて辿り着くその谷は
村一面が杏の花に覆われていて、
まさしく桃源郷と呼ぶに値するところなんだ」
「いつか行ってみたい、
満開の杏が谷を覆う景色を、香りを感じたい」
その想いを10年間抱き続け向かったフンザだったが、
天気の神様に恵まれず
数日の差で杏の満開時期には早すぎた。
はっきり言って寒かった。
つまり残念にも
この旅は未完であると言わねばならない。
でも未完であるならいつの日かまた来ればいい。
もう一度パキスタンを訪れる口実ができた。
そのくらいの気持ちでいいと思う。
そしてなによりも、私はこの旅で大きな収穫を得た。
改めて大事なことを教わった。
凝り固まった偏見と先入観による
大いなる誤解をひとつ解くことができた。
「パキスタンほど旅がしやすく、
パキスタンほど人が温かい国はない。」
それは10年以上前に旅行経験豊富なK先輩から
聞いた話だった。
「ヒマラヤの向こうに風の谷って呼ばれる、
ナウシカの舞台になった谷があるんだよ。
険しい道を抜けて辿り着くその谷は
村一面が杏の花に覆われていて、
まさしく桃源郷と呼ぶに値するところなんだ」
「いつか行ってみたい、
満開の杏が谷を覆う景色を、香りを感じたい」
その想いを10年間抱き続け向かったフンザだったが、
天気の神様に恵まれず
数日の差で杏の満開時期には早すぎた。
はっきり言って寒かった。
つまり残念にも
この旅は未完であると言わねばならない。
でも未完であるならいつの日かまた来ればいい。
もう一度パキスタンを訪れる口実ができた。
そのくらいの気持ちでいいと思う。
そしてなによりも、私はこの旅で大きな収穫を得た。
改めて大事なことを教わった。
凝り固まった偏見と先入観による
大いなる誤解をひとつ解くことができた。
「パキスタンほど旅がしやすく、
パキスタンほど人が温かい国はない。」
旅にはいろいろな目的があるけれど、
人との触れ合いをとおして、
互いの偏見や先入観、誤解を解き、
互いの共通点と違いを認識し、
「ひとつの世界」を形作っていく手助けをしてくれるものだ。
「ひとつの世界=ONE WORLD」
旅が終わるころ、
自然とこの「ONE WORLD」が今回の私の旅のテーマになっていた。
人との触れ合いをとおして、
互いの偏見や先入観、誤解を解き、
互いの共通点と違いを認識し、
「ひとつの世界」を形作っていく手助けをしてくれるものだ。
「ひとつの世界=ONE WORLD」
旅が終わるころ、
自然とこの「ONE WORLD」が今回の私の旅のテーマになっていた。