映画「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」を見て来ました。
文芸オタクの所結衣は名門櫻葉学園高校に入学。文芸部を志すが不慮のアクシデントで入部試験を受けられず。しかも憧れの若手作家緑町このはが文芸部所属の学生ではなく正体も不明なことを部長から聞く。緑町このはの正体を突き止めてくれれば文芸部入部を認めると部長に言われ、唯一接点があるとされる新聞部に入部。新聞部がまた個性ある面々で。
学園物ですがとんでも系でないのが好感。有名校ですが体育系でなく文科系が盛んと言うのが面白いです。しかも文芸部は特進クラスの生徒が占めておりエリート候補。新聞部は学園の闇を暴いていくのですが、結構重めの問題です。ちょっと「響」を思い出すような天才ぶりもあり、無茶ぶりもあり、正義もあり。記者(汽車)になれない新米をトロッコと呼ぶ伝統とか、新聞はざら紙でないととこだわる部長とかリアルとフィクションのハイブリットです。俳優さんが瑞々しいのが良かったです。悪役は安定の高嶋政宏さんです。
藤原辰史「月刊たくさんのふしぎ 2024年1月号 食べる」読了。
人間はドーナツだと聞いたことがあります。トポロジー的に口からお尻までが1本の管でドーナツの穴にあたります。食べるに関する諸々のことを突き詰めていくうちに五感やそれらの食べ物の流通経路、育つ過程、歴史。微生物たちとの共存。物の循環。入れ替わって行く細胞と神経系の記憶。つまり体の中を毎日毎日水と塩と食べ物になった生き物が通り過ぎ、また地球に帰って行く。日々体の中を地球が通り抜けていると。人間だけでなくすべての生き物がそうだと。壮大です。うん、同じ食べるなら美味しく食べないとね。
町で外国人の方をよく見かけるようになりましたが、全然見かけないのが本屋。京都まんがミュージアムだと大勢いますが、ここは他言語の漫画も置いてあります。私が行くところが日本語の本ばかりのところだからでしょうが、初めて見かけました。漫画の本をかごいっぱいに詰めていました。業者の方?有名なもの水草を昨日買ってきたので今朝入れ替え。黒くなったスカスカの水草だったので、影が出来て嬉しいかなと思ったけど態度は変わらず。でも餌を食べている時以外姿が見えなかったのでいい隠れ家になっているのかな。
朝月アサ「転生令嬢ヴィオレッタの農業革命1 美食を研究していたら、氷の公爵様に溺愛されました?」読了。
農業物もいいですね。ヴィオレッタ・レイブンズは10歳の時バラ園で転んで前世が日本人だったことを思い出します。すると無性にお米が食べたくなりました。しかしこの国にお米はない。兄に城の図書館で調べてもらうと遠い南の国にあるらしい。困っていると世界中を回っている父が変なお土産を持って帰って来るのですが、その中にドライフラワーの花束が。コメの束付き。ヴィオレッタはそれをバケツで栽培。水源に近い畑を手入れしお米を増やしていきます。ついでに小麦の収穫量を増やすためクローバーを植えたり四輪作を実施。小麦も増え牛も増えはちみつも取れ収入アップでお店まで経営。農業改革に夢中で社交界に全然出ていなかったヴィオレッタですが、妹のルシアが姉の名前を使って夜会に出ていたので遊び人と言う噂が。でも煩わしい縁談がなくなってそれでいいと思っていたのですが。王国の北に位置するヴォルフズ領の侯爵と政略結婚することに。結婚式の後侯爵は好きにするといいと言って王都に行ってしまいます。ヴィオレッタは良かったと荒れた北の大地の改革に邁進。しかもヴィオレッタが結婚前に大量に買ってヴォルフ領に持って来たのが海藻肥料。ふふふ、わかってらっしゃる。ルース・カッシンガーの「藻類」を思い出します(2020.12.14参照)。そして牛の餌になっていた甘カブがサトウダイコンなのに気づき貴重な砂糖を作ることに。ヴィオレッタの手腕が見ていて楽しい。レイブンズ家は巨大烏を乗りこなすのがまたかっこいいです。ヴィオレッタの烏はクロ。ちなみにヴォルフズ家はオオカミ使い。もふもふがかわいい。続きが楽しみです。
久々にお風呂屋さんに行ってみました。ぬる湯が多め。外にミスト。あちこちに風鈴。嬉しいサービスでした。癒される。
くまだ乙夜「魔道具師リゼ開業します -姉の代わりに魔道具を作っていたわたし、倒れたところを氷の公爵さまに保護されました- 1」読了。
実家の魔道具屋で母や姉から奴隷のようにこき使われていたリゼ。無理矢理参加させられた舞踏会で倒れてしまいます。その場にいた氷の公爵ディオールに助けられ保護されます。ディオールはリゼが天才魔道具師なのに気づきますが、このまま家に帰すと家族に殺されるとリゼと婚約したことに。
お姉さんも怖いけど第一王子も怖いよ。優秀な魔道具欲しさにリゼの姉アルテミシアと婚約。本当はリゼが作っていたと知れるとその技法を盗もうと特許を取ることを薦めています。これは絶対戦争になるよ。スターウォーズならエピソード2ね。2巻もあるそうで。嫌な展開になるんでしょうね。キラキラなイラストからは考えられない不穏さです。
田中陵二文・写真「月刊たくさんのふしぎ 2024年8月号 光る石 北海道石 新鉱物Hokkaidoiteはっけん記」読了。
石はまず「鉱物」と「岩石」に分かれるそうです。鉱物は組み合わさっている元素の種類と、その原素同士がどんなふうに組み合わさっているかが決まっている石。つまり天然の結晶。花崗岩や玄武岩など岩石は数種類の鉱物が雑多に集まった塊。岩石を形作るのに大切な部品が鉱物です。鉱物も年々見つかっており日本で見つかったものもあります。たいていの鉱物が無機物です。地球の深くで作られるので熱に弱い炭素はすぐに分解してしまいます。でも炭素を含む有機鉱物もあるそうで。著者は石仲間からカルパチア石かもしれないという石を北海道で見つけたと聞きます。カルパチア石はウクライナやアメリカ、ロシアなどでも数か所でしか見つからないとても珍しい石で有機鉱物です。すごいことだしもう検査には出していると聞きましたが半信半疑で調べたいので送ってもらうことに。カルパチア石は紫外線を当てると光るので光っている粒を取り出し粉にして検査します。するとカルパチアでない波形が。他の光る粒を調べるとそれはカルパチアでした。ではさっきのは何だということで調べることに。でも量が少なすぎて試料がないので現地に行くことに。ここからもまた大変なのですが、無事新鉱物と認められ北海道の名前を付けることができました、と言うお話。しかしここからも大変。産地は国立公園の中。勝手に取って行かれても困りますし、ここはヒグマなど野生動物のすみか。ずっと未来に残せるように町と連携や他の土地でも見つからないか連絡を取っています。次に見つかったのは九州。九州産でも北海道石です。アメリカで見つかっても北海道石。ちょっと楽しい。
「信濃橋洋画研究所 大阪にひとつ美術の花が咲く」に行って来ました。
大正末から昭和初期にかけて大阪が面積人口ともに日本一になった大大阪時代。その時代大阪市西区信濃橋交差点に「信濃橋洋画研究所」が誕生しました。東京や京都に比べて芸術の実らない地とされてきた大阪で、洋画を志す者の指導を目的に開催されたものです。なんだろう、熱いです。確かに古いんだけど今日見たブルーピリオドの作品に似ている。デッサンに奮闘したり、新しい技術を取り入れようとしたり、絵そのものがエネルギーのような。同じ窓から見た風景画なのに先生によって違うのが面白かったり。看板の字まで正確に描くのに建物の位置を変えてる先生、そのままでざっくりな先生。デッサンになれない生徒が目から正確に描きだすので最初はお化けが出来上がるとか。時代を超えて同じようなことが起こるんだなと。何とか表現しようという気持ちが熱いです。
ほしおさなえ「言葉の園のお菓子番 未来への手紙」読了。
祖母が通っていた連句会・ひとつばたごに祖母の亡き後祖母の代わりにお菓子を持って行ったところその連句会に通うことになった一葉の物語、第五弾です。お菓子はいよいよ二周目に。定番だったり変えてみたり。今回は他の連句会に参加する話や文芸マーケットの話も。文芸マーケットの描写を読んでコミケやんと。そう言えばコミケでも文芸誌は売っていたぞ。今はどうか知らないけど。今は文芸も熱いのね。一葉の職場でも期間限定の文芸同人誌のコーナーを作ることに。今回は一葉のお父さんの写真の話も出て来ます。そうそう現像するまでわからなかったのよね。昔と今とがいい具合に交差していきます。連句をどうやって発信していくかの話も出て来ました。楽しそうだけど難しそうなのよね。