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相棒CBR1000RR (SC59)でのツーリングや色々
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応募書類が通り始める。アパレルの生地検査など。

2018年10月12日 | 繊維業界の転職
先日1回目の面接を受けたんだけども、別に応募していた2社の書類が通った。
通算成績は、
9社応募して、5社書類落ち、3社書類通過、1社選考中である。書類通過率約33%。
現状は、1社が1次面接結果待ち、2社が面接予定である。選考中の1社は2週間以上連絡無いので落ちたと思う。
面接結果はまだ来ない。
落ちた場合は電話連絡で、通った場合はメールで2次面接の案内が来ると思う。2年前に、今回の競合ブランドの面接受けた時は、帰る途中に駅でタバコ吸ってたら不採用の電話だった。早い。

別で通過した1社は、一般的なアパレルと違う製品である。ライブやイベントの物販やweb、店舗で売るようなグッズ系のメーカー。
メインは親会社である芸能事務所や他社のOEMだけど、前職で経験がある製品なので応募した。ライブTeeとか、アーティストコラボアパレルは中々面白い。今回の企業は規模や知名度が半端なくでかいので、前よりもさらに面白いかなと思った次第である。業績は良さそうである。ライブやイベントの物販がめちゃくちゃ売れるのは、僕も趣味を通じてよく知っている。
調べたら、とある本体在籍のアーティストはのライブツアー1回(ライブ15回)で25万人くらい動員している。
ライブTee何枚売れるんだ、、。仮に¥3,800で10万枚でも売り上げ3.8億。やべぇ。
原価なんて1枚¥300以下でしょ、、。
客単価¥5,000は堅いだろうから、125億は売り上げあるな。

もう1社は老舗のカジュアルメーカーである。
数年前に破産寸前までいったけど、国内大手の商社の融資を受けて傘下に、順調に立ち直しているように見える。かつてカジュアルゾーンを開拓した技術力、高い知名度とブランド力が有るのが強い。再生パートナーに手を挙げた企業が大手揃いだったことからも分かる。これが中途半端なアパレルメーカーだったら応募していない。
企画生産なので、企画デザイン業務が発生する。しかしそもそもデザイナーがいない。前に経験した若い子向けのメンズと同じく、企画提案から生産管理して納品までを担当する。

ちょっと前まで書類が全然通らなかったけど、ここに来て通り始めた。通過確率も収束してきている。

3社目の人材会社から新しい案件の紹介があった。
先日面談を受けたキャリア転職向けのアドバイザーではなく、最初に再就職支援で話したアドバイザーである。
これがまたいいとこ突いてくるなぁって印象の求人である。
大手商社グループの生地検査事業部の検査担当者。詳しくは僕も知らないのだけど、財団法人のカケンとか、ニッセンケンの並びだと聞いている。会社自体はブランディングやマーケティング代行が強いらしい。
アパレルメーカーが製品に使う生地の物性検査のことである。前職ではかなり世話になった。一般的に世の中の洋服の殆どが、メーカーで検査をしている。
洗濯したら色が落ちないか。
洗濯したらサイズが変わらないか。
ドライクリーニングは可能か。
外観が変わらないか。
紫外線に当たって変色しないか。
混用率。
引っ張って破れないか。
擦って毛玉が出来ないか。
火を近づけたら瞬時に燃える表面フラッシュは起きないか。
発ガン性の有るホルマリンが検出されないか。

などなど、それぞれ専門の器具と検査装置を使って検査をする。
この生地検査は、商品に使う生地全て、縫製が完了した製品を抜き打ちで行う。
検査する理由は単純に品質管理である。洗濯して酷く色が落ちたり、サイズがcm単位で縮んだりするような服は市場には出せない。
検査結果は程度により等級数で表示される。アパレルブランドメーカーはそれぞれ自社の基準を定めており、その基準に達しない生地は原則製品には使用出来ない。

僕がいたような若い子向けのアパレルでは、この生地検査をやっていない。なぜなら、会社にもよるけど、同じようなレベルの服を作っている周りがやってないから。僕も当時は存在すら知らなかった。今考えると怖い。
前職で嫌になるほど検査に出して検査書を見てきたので、ある程度知識がついた。
前職の入社当時、生産管理ミーティングの出来ごと。

Aさん(新卒で商社、元生産事務。)
社長 (新卒で商社、元生産管理。ベテラン)


前の会社若い子向けで全く生地検査してませんでした。はい。

Aさん
え!!!?嘘でしょ?(絶句

社長
いや、あるで低価格んとことかな。
レディースの〇〇なんて、今まで109でヤングやったけど、ターゲット年齢上げ出したら生地検査やれー!言われたし。
ほかの▲▲なんて、低価格帯を新しくやるゆーて、生地検査とらんでいい言ったらしいわ。

この会話が忘れなれない。
そう、新卒からある程度品質が求められる製品しかやっていない人からすると、生地検査をしないことは有り得ないと感じる。
逆に社長の話からすると、やはり価格帯で生地検査の有無をメーカーが決めているのだなと知った。

生地検査はメーカーとしては、凄まじい手間と費用がかかる。前の会社では、1スタイルあたり3万〜6万円×年間600スタイル、年間2000万以上かかっていた。
1スタイル3万円の場合、¥9,800のシャツ300枚だとして、1枚あたり100円も乗る。原価率25%だとして、原価¥2,450に¥100が含まれる。
これがサプライヤー仕入れだと、下代¥2,100に¥100が含まれることに。。生地検査無ければ、メーカーは3万儲かる。

生地検査の有無は結局は販売元のメーカー次第なので価格帯やゾーンに関わらずである。取ってなさそうなところはいくらでも名前を出せるけど、以外に低価格の商品でもしっかり取ってたりするので不明である。

あとは生地検査取っていても、一部形骸化があったりする。
というのも、生地から作り込む場合、生地が出来上がらないことには検査が出来ない。なので、メーカーによっては量産用で20反1000mとか作る前に、展示会サンプル用の1反50mを見本反として作り、場合によってそれを生地検査にかける。
しかしながら量産反でも検査が必要なので、検査費用は2倍、僕も詳しくないが、それは多分一部だろう。

生地が出来上がってから、検査を取る。仮に結果がかなり悪い場合、最悪1000m捨てることになる。サプライヤーは大損だ。
例えば、3級で合格する試験が2級との中間である2-3級の結果だった場合、または2級だった場合、生地検査として切り抜く場所を変えてみたり、検査用の生地を水で洗ってみたりして、3級が出るまで検査したりしている。5回繰り返したなんて話も聞く。
2-3級はほとんど違いが無い、または検査内容によっては2級でもさほど問題無い場合が有る。
それはメーカー側が、試験後の生地状態を見てジャッジ、酷くなければデメリットタグを商品に付ける。

一番メーカーを悩ませる検査項目。

・寸法変化率
洗濯して縮むのか、伸びるのかの試験である。
ひどい生地だと、縦-10%を見た。例えば洗濯すると、袖丈が0.6〜1cm縮む。
ニットでは鬼門となる試験である。特にテレコが縮む。縮むけど着れば元に戻る場合は、特に問題が無く、メーカーや小売の認識共有が大事。
大抵のニットは通らないので、手洗い洗濯表示となることも。

・ピリング
表面を擦ったらどの程度毛玉が出来るかどうか。
ひどい生地だと2級、1回洗濯したら毛玉が付く。
生地にアンチピリング加工をすれば、0.5〜1級くらい結果が良くなるが、コストがかさむ。
ポリエステル含有が多い化繊フリース生地が特に悪い。
ユ〇クロの化繊製品、パーカー、シャツ、アウター類は、毛玉が出来やすい。かなり等級が低いと思われる。

・表面フラッシュ
ひどい生地だと、火を近づけると0.0何秒で何十cmの火柱が立つ。
綿100%で表面が起毛したヴィンテージ調のネルシャツには必須な試験。柔らかい風合いを良くしようと起毛加工を強めれば強めるほど、試験結果が悪くなる。

このほか、僕を悩ませたのは縫い目の滑脱試験である。打ち込みが甘いガーゼ生地で、縫い目を両端から引っ張ると縫い目から裂ける。
縫製仕様で強化するか、縫い目に力が加わらないようにサイズを大きくするか、または生地の柔らかい風合いと引き換えに、織りの糸本数を増やすしかない。
メーカーによって対策がまちまちで、全く気にしないとこも有れば、めちゃくちゃ手間がかかる縫製を施すメーカーもある。座ったら破れたとか、酷いクレームに直結する為、なかなか難しい問題である。

検査結果が悪かったり、不明な点は、検査機関の担当者に電話して相談する。
他社、または検査機関としてはどの程度の基準なのかと。今までの話からすると、百貨店向けは特に高い。さらに百貨店向け卸メーカーよりも百貨店本体の方が高い。百貨店の社名入りタグが付くからだ。
検査機関には、会社毎に基準が登録されており、検査書にも百貨店名が入る。百貨店向け卸は量販店より高いが、それより厳しい。

なんかダラダラと書いてしまったけども、生地検査担当者って悪くないなという印象である。
なぜなら検査機関は絶対に無くならないのである。先に書いた通り繊維業界のインフラなのである。
検査担当者になると他にも利点がある。TES繊維製品品質管理士の資格が取れる。その資格が有ると、アパレルメーカーの品質管理にもなれる。
通称、品管は一定以上のアパレルメーカーなら必ず品質管理担当として在籍している。主に商品に付ける品質表示の最終判定を行なったり、仕入れ先メーカーに対して品質向上の施策や指導なんかを行う。
会社によっては、自社の品質管理室に検査機関相当の検査設備を持っていて、製品のチェックや品質の向上を担っている。

作ることばかり考えていたけど、こんな求人もあるんだなって、ちょっと面白かった。検討しようと思う。