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相棒CBR1000RR (SC59)でのツーリングや色々
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アパレル業界の男女の適正について。

2018年10月18日 | 繊維業界の転職
ちょっと前だけど2社目の人材会社に行った時に、こんな話をされた。
この企業さんは今は女性が欲しいみたいです。
ほら女性の方が細かい計算とか得意で、男性だとそういうの苦手みたいなのあるじゃないですか。

この話を聞いて、なるほど求人票には決して書かれないが、性別の希望があるのか、、まぁ確かにそうだろうなぁと感じた。
ちなみにブランド側の小売SPAである。
企業からのメールまで見せて貰ったが、確かに○〜○歳の女性と書いてある。次点で男性でもいいが○歳くらいでと。希望に見合う人間以外は紹介してくれるな的な文言とエクセテンションマークが並んでいる。

求人の慣習になるほどと思ったのと同時に、アドバイザーが言った男女の差異ってどうなのかと感じた。男も細かい計算してるよ。

洋服業界はレディースの方がメインである。メンズ・レディースを手がけるアパレルメーカーの社員男女比は、大体女性6男性4以上に女性が多い。これは製品の流通量や、製品の多様性、ファッション文化の成り立ちから言っても業界の常識である。ブランド側はそんな感じ。
メーカー側はというと、やはり女性が多いところも多いが、男性が多い会社もある。その最たる例が商社である。
僕は前職が商社の子会社で、社長が課の部長も兼ねるという特殊な状況だった。僕は社長や他の社長によく言われたことがある。
生産事務にはなるな。生産管理になれ。
この生産事務とは、商社などでは女性を指していると思われる。生産事務とは、商社の営業兼生産管理の社員のアシスト役として、社内で書類作成や生産管理をするポジションの社員を言う。
営業のアシスタントと言えば分かりやすいのだろうか、かなり違うけど、、
元々親会社で生産事務だった女性が社員におり、差別化した発言だった。

それを聞いた時に、そもそも自分に生産事務なんて付いてないし、営業は無いが全部自分でやっていると感じた。何を言ってるのかと。
そして、いないところで引き合いに出された女性の先輩は決して事務担当ではなく、生産管理である。その誤認にも腹が立った。
後で聞いたら、先輩は本社で社長(生産管理)付きの生産事務だった。なるほど、だからそんな言い方になったのかと、、。
それにしても古い考え方というか、アパレル業界とは距離を感じる言い方だと感じた。

この生産管理と生産事務の区別って、会社によってとても曖昧だ。生産管理募集としておきながら、職務内容を見ると、営業のアシスタントって書いてあることもある。
例えば、ブランド事業部制でサンプルまでの生産管理、量産をやる生産管理と別れているところもある。その場合、もしかしたら社内的にどちらかが、アシスト的な側面が強いかもしれない。さらに両者を繋ぐような生産管理募集もあるが、業務範囲が謎。それこそはアシスタントかもしれない。
僕は経験がないので想像が多くなるが、営業職は男ってイメージがある。発注の取次や数字・書類管理は営業事務は女性が多い。

商社の生産管理の場合、OEM事業自体が客先があることなので、営業に同行することも多く、客先とのやりとりも非常に多い。かつ仕入先の管理も徹底しなければいけない。営業兼生産管理のこともある。生産事務が確実に必要となる。
前職の親会社の担当者は、営業、生産管理、生産事務3人体制だった。この場合、営業にイニシアチブが有るように見えた。生産管理がアシストと見えなくも無い。ちなみに3人とも女性なので、男女の〜云々は関係無かった。

こういった経験則からすると、人材会社のアドバイザーは、女性のイメージとして生産事務を指して話していたように感じる。
そのアドバイザーは原料メーカー出身であり、アパレルブランド事業現場の経験が無い。原料メーカーは他の業種と同じように、男性の営業が多く、女性の営業事務が多い。取引先に対しては営業事務をアシスタントと呼ぶ。
さらに取引先としては商社との付き合いが長かったと聞く。
製品メーカーの生産管理・生産事務の実態にはあまり詳しくないのかもしれない。企業が女性がベターと言うことに対してミスリードしていた可能性は否めない。

先の企業の求人はと言うと、はっきりとは分からない。
女性が多い会社で、レディースブランドなら生産管理も女性がベターだと判断したかもしれない。それは当然である。ファッションアパレルの場合、商社と違い、生産管理もブランドへの深い理解が求められる。しかし求人自体が生産事務かアシストポジションの可能性も無くは無い。

前職の例を見るに、男女の現場実務の差異はほとんど関係無いと感じる。まず現場に出ていた男性管理職は誰よりも数字を扱っていたし、僕も近い形で生産管理と事務両刀使いである。同様に女性プレイヤーもいたし、本社の営業担当も女性だ。

アパレル業界の求人は男女平等とはいかない。女性の方が適役なことが多い。そして世間の古いイメージに反して?男性が適役とされる位置に女性プレイヤーが多い。

仕事の適正云々については男女の差異は無いと思う。その点は平等で然るべきである。
これが言いたかった次第である。













繊維業界記者のブログと、繊維業界の転職経験など。

2018年10月18日 | 繊維業界の転職
タイトルの通り、アパレル業界の現場にいた僕が全力で首を縦に振って読んでいるブログがある。
繊維業界記者である南充浩氏のブログである。
アパレル業界の川上の原料メーカーから、製品を作る川中、小売の川下まで幅広くタイムリーな時事問題を取り上げている。時に業界人として目の肥えた視点からばっさりと切り捨てるような表現も有り、読んでいてとても楽しい。そして、僕はまだ若く、川中をうろうろしているキャリアの為、非常に勉強になる。
べったりと張り付いて読んでいるわけではないけど、読み始めてかれこれ3-4年くらいになるだろうか。僕がまだ若い子向けのメンズにいた時からだ。きっかけは、毎日繊研とかwwdを読むことを習慣付けた時に、リンクから飛んだような気がする。

転職についてのカテゴリーで書いてきたように、当時、僕がいた若い子向けのメンズというのは業界でもちょっと特殊なゾーンだった。世間ではギャル男という言葉で認識されている。
なぜ特殊なのかといえば、良く言えば新進気鋭のベンチャー、悪く言えば素人集団の集まりなのが理由である。そして一般のアパレルと比べて、突出して品質が悪い。大体が企画と言う名の単一的な生産部隊がおり、絵型と製品サンプル、雑誌の切り抜きなんかをOEMメーカーに丸投げして作ることが多い。投げ先が海外メーカーという場合もある。製品の物性検査もやっていないかメーカー任せである。そんな作り方で、楽天で低価格と呼ばれるアパレルと同じような品質でありながら、上代が高い。それこそ、大手アパレルと並ぶような価格である。とある総合ファッションビルにオープンした時、価格帯の位置付けがよく分かった。そして、雑誌媒体のPRが強く、世の中のアパレルメーカーが低価格化に勤しみ苦悩する中、一時期は飛ぶように売れた。しかし、あまりにも流行やモデルに依存した結果、ブームが終わると限られたメーカーを除いて、終わった。

要は、そんなメーカーに長年いると、業界的に完全に井の中の蛙だったのである。一般的なアパレルが良いかどうかは別として、それらがどのようなサプライチェーンを持つのか、どんな物性検査をしているのか、商社ってたまに耳にするけど、どんなものづくりしているのか、小売のSPA化の裏はどうなっているのか。
全くとは言わないにしても、ほとんど知らなかった。それは社員だけでなく、社長も含めてだ。長年働いてると社長の知識量が分かる。
コンプライアンスのコの字も無く、個人事業主の社長のお手伝いのような会社だ。組織的な仕組みがほぼ皆無で、少数の人間があらゆる職種、役職を掛け持ちしていた。

そんなメーカーに疑問と危機感を覚えたのが、2014年頃である。きっかけは、社長の古巣で元部下だった生産管理の人と、本格的に取引きが増えた頃である。僕が自社の生産背景で作れない製品を軽々とこなし、かつ社長と同じリプロメーカー出身でありながら、大手セレクト向けのOEMをこなしているのを知った時である。
今のままこの会社にいたら、何も得るものは無いと感じた。入社して7年目に初めて転職の2文字が浮かんだ。

それからもっと業界のことを知ろうと考えていた時に知ったのが南氏のブログである。
ジーンズカジュアルメーカーの歴史と動向、国内原料メーカーのニュース、国内縫製工場の苦悩、セレクトショップのSPA化、ファストファッションの動向、大手アパレルの動向などなど。
とても勉強になり、かつ普段の仕事でかいつまんだ事なんかは全力で首を縦に振っていた。
南氏のブログは僕が知らなかった、知りたいことで溢れており、業界人でありながら業界を極めて客観視した主観を通したコメントが聞ける貴重な機会だった。客観的なニュースはいくらでも他で読めるが、主観が伴うのはブログの良い所だと感じる。
業界の見聞というのは、通常は取引きする原料メーカーやOEMメーカーから入手出来るが、僕は海外直接貿易がメインだったからほとんど聞ける人間がいなかった。そういう意味で、南氏のブログは業界の先輩が話しているような感覚で読めるので、とても有り難い。

あれから前職の百貨店向け繊維製品メーカーを経て、親会社の商社からもだいぶしごかれて?色々と知見が増えた。縫製工場、原料メーカー、OEMメーカー、商社と接する機会を得られたことが理由である。もちろんまだ穴が空いているけど、若い子向けにいた時と比べ、業界マップがかなり埋まってきたと感じる。

若い子向けからの転職の合間に、人材会社のアドバイザーに言われたことがある。
この業界にスタンダードは無い。自信を持ってやればいいですよ。
この言葉を聞いた当時は、にわかに信じ難いと感じたけど、今では確かになぁと感じる。
というのも、前職の経験や転職活動を通して、本当にメーカーによってやり方が違う。仕様書のフォーマットもさることながら、比重の置き方、現場の人間が持っている知識量など、勝手に想像していた完璧な人間なんていなかった。
ある生産管理は時間の管理と根回しは完璧だけど、検品が出来ない、コンシールファスナーを知らない。
とあるデザイナーはデザインは優秀でも、別地を使っていくら原価が上がるか試算出来ない。
とあるパタンナーは徹底的にパターンと縫製指示ができるのに、コミュニケーションが出来ない。
とある生産管理は、仕入先の管理は確実だけど、絶対に慣習のまま業務範囲を越えようとしない。

自分が当たり前のことを周りが知らないとか、自分が全く知らないことが常識だったり。そんなことがいくつもあった。そして、そういった事柄を年代を超えて話すことが難しいことも。
あとは、直感でヤバいと思ったことは、後々厄介になるということ。どこで線を引くかは、一回ヤバくなってみないと結果的に分からない。それは皆同じである。誰かがヤバいと知っていたら、ヤバくならない。
もしスタンダードが有るとすれば、知識よりも対応力であり、それは繊維業界に限ったことではないのだと思った。

そういった対応力はいかに知識と経験の引き出しを作るかが重要だと感じる。その為の経験はなかなか増やすのが難しいが、人の経験を知って参考にすることが出来る。
僕が南氏のブログを読む理由と、自分の個人的なブログを書く理由がそこにあると感じる。

ちょっと補足すると、若い子向けのメーカー全てが品質の悪い製品を作っていて蛙の如き有様というわけではない。生き残ったメーカーは製品価格を見直したり、そもそもどこにでも出せる品質だったり、常に新しいものを発信してユーザーに指示されている。
僕のいたメーカーは極端に自社海外生産比率が高く、原価を削っていたということ。
そしてユーザーに指示されていることには、品質云々、会社の規模は関係無い。
国内ファッションブランドの総本山である東京コレクションに出展して、あまりにもビジネス精度の低いブランド企業に対して逆に、お前らそれでいいのか?とたんかを切ったブランドもある。賛否両論だったけど、、
それについては別に記事にしてみたい。