自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆数字で読み解く金沢大学②

2005年06月06日 | ⇒キャンパス見聞
  金沢大学の「情報の防衛」最前線と言えるのが総合メディア基盤センターだ。2001年にギガネットワークが構築され、およそ1万台のパソコンがネットワークに接続されている。ちなみにギガネットワークは岩波書店の「広辞苑」が1秒で送れる伝送帯域に相当する。情報ハイウエイの防人(さきもり)と言ってよい。この総合メディア基盤センターがこのほど金沢大学のサイバー白書とも言える「COM.CLUB」=写真=を発行した。これを呼んで自分の目を疑った、「いち日ではなくひと月ではないか」と。なにしろ金沢大学のネットワークへ入ろうとする不正アクセスは「1日平均200万件に及ぶ」という驚くべき統計が掲載されていたからだ。

  白書を詳しく読んでみよう。この平均値は2004年1月から12月までのまとめで、1日当たり200万から300万件のアクセスがある。そのアクセスのうち、正常なものはわずか10-20%なのだ。不正アクセスの代表格がポートスキャン。任意のコンピューターのサービスポートに総なめでアクセスを試み、もしファイアウォールで接続拒否をしていないものがあれば入り込み、そこを足がかりにコンピューターの乗っ取り、情報の漏洩などをやらかす。この場合、そのコンピューターの持ち主は被害者ではなく、加害者になる。

  白書をさらに読む。金沢大学では、学外から配信されてくる電子メールのすべてにウィルスチェックを行っている。駆除件数は1日当たり千通以上にも及ぶ。2004年4月には1日7千通に及んだことがある。宣伝目的のスパムメールは全メールのうちの3分の2以上にもなる。面白いのは、このスパムメールは4月と9月のある日にいきなりドカンと来る。おそらく新学期や夏休み明けを狙った学生向けの勧誘のメールだ。ウィスルメールも2月、4月、6月、8月にヤマが来る。メール系のウィルスは新種・亜種の発生頻度が高いので波状的に来ているのかもしれない。

 この4月、個人情報保護法が施行された。上記のようなサイバー上のセキュリティー攻防戦がある一方、大学ならではのたとえば成績判定保留の学生呼び出しの張り紙を今後どう扱うか、また、大学病院で患者を診察室に呼び込む際に行っている実名のアナウンスをどうするかといったことも議論の対象として浮かび上がってきた。「古くて新しい問題」ではある。

⇒6日(月)午前・金沢の天気 晴れ
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