季節の移ろいははやい。つい先日まで友人らとキノコの話題をいろいろとしていた。たとえば、キノコは合理的な施設栽培が主流となって、店頭では四季を問わず様々なキノコが並んでいる。しかし、それらのキノコからは味や香り、品質そして季節感が感じられない。味より合理性を重視した供給体制が多すぎる。
だからキノコは天然もの、山で採れた地のものを食べようといったたぐいの話である。たかがキノコ、されどされどキノコなどと言いながら、コノミタケと能登では呼ぶ雑ゴケと能登牛のすき焼きをつついたりした。
12月・師走に入り、いつの間にか話題はカニになっていた。オスのズワイガニより、メスのコウバコガニの方が味が詰まった感じがしてよいとか、「23日に能登でカニを食べる会に誘われている」などといったたぐいの話である。
そういえば、人生の先輩のTさんが面白いことを話していた。Tさんは、奥能登で蕎麦屋をやっていて、能登半島から「訪食」の時代の到来を発信したいと意気込んでいる。戦後、腹いっぱい食べたいという「豊食」を求めていた時代から、経済の急成長に伴って「飽食」の時代が訪れた。そして、モノがあふれ、何が本物か見分けのつかない、飲み放題や食べ放題の「放食」の時代、やがては食の安全性が問われた「崩食」の時代が来た。そして今、本当に安心しておいしく食べることができるのであれば、その地を訪ね歩く「訪食」の時代でもあるというのである。
私なりに解釈して、「奉食」もある。自然食のマクロビオテック料理である。「マクロ=長い・大きい」「ビオ=生命」「テック=術」の造語だ。食と健康、生命というものをとことん追求した料理。食に神が宿るとでも言いたげなネーミングではある。 食の最先端とでも言おうか…。
結論めいたものはない。とりとめのない話になってしまった。
⇒8日(金)朝・金沢の天気 くもり