自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★上勝 奇跡の葉っぱ-中-

2012年03月02日 | ⇒トピック往来
 「葉っぱビジネス」のカリスマ、横石知二氏=写真=の話ぶりは明確で、修羅場をくぐってきた人生経験に裏打ちされた言葉は蓮田のように深い。28日の講演は以下続く。

 葉っぱビジネスは軌道に乗っているものの、平均年齢70歳、高齢化比率49%の上勝町はいまでも危機感を募らせている。が、世の中の風の流れが変化し、3年ほど前から「田舎暮らし」のニーズが強くなってきた。昨年、上勝町での就業や起業、定住を目指す学生・社会人のインターンシップを募集したところ、260人(18-65歳)の参加があった。うち実際に移住したのは16人だった。そのほとんどが社会性や地域性を目的とし、社会に貢献したいという気持ちを持つ若者たちだ。つまり、彼らが来る目的は、自分が何をやりたいというよりも、社会に役にたつ、認められたいというのが動機のように思える。

     応援ではなく、共感を得る時代

 ところが、彼らには自分が起業するという意識は薄く、自身が会社を立ち上げる、新しく仕事を創るという発想に乏しい。日本全体がチャレンジ性が薄まっている中、受け身型になっていると常々考えている。事業をすることで地域が活性化し、社会貢献の意識があっても事業性がなければ継続しない。しかし、社会貢献をしようという若者を受け入れることは大いにプラスである。それはなぜか、現代は「役割ビジネス」だと思うからだ。

 では、「役割ビジネス」とは何か。地域にとって必要なソーシャルビジネスやコミュニティビジネスの担い手は少ないが、それは現在の社会自体が人材養成をする環境にないからだ。リスクを避けている。ただ、あなただったらこの仕事ができるというビジネスだったら、UターンやIターンの人材はその能力を発揮する。ITやデザインなど、個々の若者たちが有する能力は優れている。これが役割ビジネスだ。ただ、「横石知二」の替わりをやってくれと言われたら、皆ここから離れていくだろう。そこが難しいところだ。やはり、ステップバイステップで人間力を高めていく、仕事を教えるのではなく、生活のなかで生きる力をつけてもらうことが肝心なのだ。

 役割ビジネスは 一人ひとりの社員に役割を持たせるというもの。横並びではない。また、誰にでもできるというものでは稼げない。横並びは安いコストへの競争となっていくので、横並びから抜け出ていかなければならない。上勝ほど地域を看板に成功しているところは他にない、と確信している。所得も高く、1200万を超える収入の農家もある。要は「個」の力をいかに発揮させるか、持っている力の最大限を追求する、それによって人間は変わってくる。人間の力、10の能力がある人が競争心を失っていくと生産量が落ちるものだ。

 モノをつくるところからの発想ではなく、この人だったら何ができるかというところからの発想が必要だ。人と地域と商品が輝く舞台づくりができたのが、上勝の成功要因だと考えている。昔、棚田は荒れていたが、現在はそこの米が高く売れるようになった。そこにはハブとスポークの発想がある。棚田を耕すという発想がまずあるのではなく、棚田で幸せを実現するという目標(ハブ)を置き、そこから棚田のファン、オーナー、研究、ゾーン、インターン等の複数のスポークを作る。いろいろなスポークをつくり、多くの人とつながることによって交流・循環ができてくる。それにはリーダー型プロデューサーが必要だ。

 いいモノをつくっても売れない時代でもある。むしろ、共感を得ることで応援団ができ、いいモノが売れるような時代になってきている。「あなたが作ったものだったら買いたい」という共感。そういう時代になってきた。価値が品質以外のところに生まれてきている。共感する人をどれだけ自分の地域に引っ張ってくるか、だ。

⇒2日(金)朝・金沢の天気   はれ
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