前回のコラムの続きである。けさの新聞各紙で、今月5日に自ら命を絶った、理化学研究所の笹井芳樹氏の家族の代理人の弁護士が12日夜、大阪市内で記者会見を開いて、家族に宛てた笹井氏の遺書の内容を明らかにした、と報じている。では、NHKはどのように報じているのかとホームページを検索した。以下本文を引用する。
「記者会見した中村和洋弁護士によりますと、家族に宛てた遺書には、今までありがとうという感謝のことばと、先立つことについて申し訳ないというおわびのことばが書かれていたということです。また、みずから命を絶ったことについて、『マスコミなどからの不当なバッシング、理研やラボへの責任から疲れ切ってしまった』ということが記されていたということです。」
さらに末尾ではこう伝えている。「会見した中村弁護士は、『家族の話では笹井氏はSTAP細胞の論文の問題が指摘された3月ごろから心労を感じていた。特に心理的に落ち込んだのが、6月に改革委員会が組織(笹井氏が副センター長を務めていた発生・再生科学総合研究センター)の解体を提言した時で、そのころから精神的につらい状況に追い込まれ、今回の自殺につながった』と述べました。」
このNHKニュースを読んでの印象はこうだ。「笹井氏の自殺の原因は、メディアなどからのバッシングもさることながら、6月に改革委員会が組織の解体を提言したことによるショックが直接の原因だ」と言っているようにも取れる。文章の運びが、バッシングをした側の責任を逃げている印象を与えるのだ。
きょうの朝日新聞の記事はこうだ。以下引用する。「笹井芳樹副センター長の遺族が12日、代理人の弁護士を通じて、『深い悲しみとショックで押しつぶされそうです。今は絶望しか見えません』とのコメントを発表した。コメントでは、理研の研究者や職員に対して『皆様の動揺を思うと胸がつぶれるほどつらいです。今は一日も早く研究・業務に専念できる環境が戻ることを切に願うばかりです』と心情がつづられていた。会見した中村和洋弁護士によると、妻と兄宛ての遺書2通が自宅にあり、『今までありがとう』『先立つことについて申し訳ない』などと書かれてあった。ほかにも『マスコミなどからの不当なバッシング、理研やラボへの責任から疲れ切ってしまった』などと記載されていたという。」
以上の朝日新聞の文章の運びでは、「マスコミなどからの不当なバッシング」を後尾に持ってきているので、読んだ印象は「メディアからのバッシングで相当気が滅入っていたのだろう」と感じる。もちろん、テレビと新聞の書きぶりは違うし、中日新聞の記事もどちらかというとNHKと同じく、発生・再生科学総合研究センターの解体提言が直接の原因ではないかとの印象を与える記事構成になっている。
きょうのブログで言いたかったことは、メディアの各社の書きぶりの違いではない。遺書に「マスコミなどからの不当なバッシング」と書かれ、それが公開されたのではあれば、笹井氏を追い詰めた一連の報道を検証することもメディアの報道姿勢ではないだろうか。とくに、NHKの場合、番組「STAP細胞不正の深層」(7月27日放送)の事前取材(同月23日)で小保方氏への不適切な取材行為があり、放送後の8月5日朝、笹井氏が自殺した。この事件に関心を寄せる視聴者の多くは、これは単なる偶然ではなく、NHKの番組が笹井氏を自ら死へと追む、一つの引き金になったのではないかとの印象を持っているのではないだろうか。
⇒13日(水)朝・金沢の天気 はれ
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さらに末尾ではこう伝えている。「会見した中村弁護士は、『家族の話では笹井氏はSTAP細胞の論文の問題が指摘された3月ごろから心労を感じていた。特に心理的に落ち込んだのが、6月に改革委員会が組織(笹井氏が副センター長を務めていた発生・再生科学総合研究センター)の解体を提言した時で、そのころから精神的につらい状況に追い込まれ、今回の自殺につながった』と述べました。」
このNHKニュースを読んでの印象はこうだ。「笹井氏の自殺の原因は、メディアなどからのバッシングもさることながら、6月に改革委員会が組織の解体を提言したことによるショックが直接の原因だ」と言っているようにも取れる。文章の運びが、バッシングをした側の責任を逃げている印象を与えるのだ。
きょうの朝日新聞の記事はこうだ。以下引用する。「笹井芳樹副センター長の遺族が12日、代理人の弁護士を通じて、『深い悲しみとショックで押しつぶされそうです。今は絶望しか見えません』とのコメントを発表した。コメントでは、理研の研究者や職員に対して『皆様の動揺を思うと胸がつぶれるほどつらいです。今は一日も早く研究・業務に専念できる環境が戻ることを切に願うばかりです』と心情がつづられていた。会見した中村和洋弁護士によると、妻と兄宛ての遺書2通が自宅にあり、『今までありがとう』『先立つことについて申し訳ない』などと書かれてあった。ほかにも『マスコミなどからの不当なバッシング、理研やラボへの責任から疲れ切ってしまった』などと記載されていたという。」
以上の朝日新聞の文章の運びでは、「マスコミなどからの不当なバッシング」を後尾に持ってきているので、読んだ印象は「メディアからのバッシングで相当気が滅入っていたのだろう」と感じる。もちろん、テレビと新聞の書きぶりは違うし、中日新聞の記事もどちらかというとNHKと同じく、発生・再生科学総合研究センターの解体提言が直接の原因ではないかとの印象を与える記事構成になっている。
きょうのブログで言いたかったことは、メディアの各社の書きぶりの違いではない。遺書に「マスコミなどからの不当なバッシング」と書かれ、それが公開されたのではあれば、笹井氏を追い詰めた一連の報道を検証することもメディアの報道姿勢ではないだろうか。とくに、NHKの場合、番組「STAP細胞不正の深層」(7月27日放送)の事前取材(同月23日)で小保方氏への不適切な取材行為があり、放送後の8月5日朝、笹井氏が自殺した。この事件に関心を寄せる視聴者の多くは、これは単なる偶然ではなく、NHKの番組が笹井氏を自ら死へと追む、一つの引き金になったのではないかとの印象を持っているのではないだろうか。
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