春分のこの時節、金沢でもウグイスの鳴き声を聞く。庭にはウメやツバキが、地面にはヒメリュウキンカの黄色い花が咲いている。床の間に季節の花を活けてみる=写真=。ヒメリュウキンカの花は小ぶりなので主役ではないが、愛くるし眼差しのようで目を引く。
これまで意識はしていなかったが、ヒメリュウキンカはヨーロッパが原産のいわゆる外来種のようだ(3月21日付・北陸中日新聞)。日本の固有種を駆逐するような特定外来生物などには指定されていない。1950年代ごろに園芸用として国内に入り、金沢市内でも一時、流行したという。葉の形が似たリュウキンカから名前が取られたが、属は異なる。英語名のセランダインとも呼ばれる(同)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/d9/59145dc89cc8500ef01ae624ccb83c03.jpg?148787)
外来種といえば、このブログでも何度か取り上げたタカサゴユリもそうだ。旧盆が過ぎるころ、花の少ない季節に咲く。「高砂百合」の名前の通り、日本による台湾の統治時代の1924年ごろに園芸用として待ちこまれたようだ(ウィキペディア)。当時は外来種という概念もなく、花の少ない季節に咲くユリの花ということで日本で受け入れられたのではないだろうか。匂いもなく、同じころに咲くアカジクミズヒキやキンミズヒキといった花と色合いもよく、床の間に飾られてきたのだろう。
ヒメリュウキンカにしても、タカサゴユリにしても外来種だからといって、自身はほかの在来種と分け隔てしているわけではない。ただ、両方とも繁殖が旺盛なため、増えすぎると根ごと除去することにしている。そして、庭を眺めて植物の生存戦略というものに感じ入ったりする。タカサゴユリは同じ場所に何年も生育すると、土壌に球根を弱める特定のバクテリア(病原菌)が繁殖して枯死してしまう。連作障害だ。そのため、タカサゴユリは種子を風に乗せて周辺の土地にばらまいて新たな生育地に移動する。「旅するユリ」とも称される。
ブログでこのようなことを書くと、知り合いの植物学者からは、「外来種を床の間に生けるなんて、そんなのんきなことをやっているから在来種が駆逐されるんだ」と言われそうだが。
⇒21日(日)夜・金沢の天気 くもり
ブログでこのようなことを書くと、知り合いの植物学者からは、「外来種を床の間に生けるなんて、そんなのんきなことをやっているから在来種が駆逐されるんだ」と言われそうだが。
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