世の中で怖いものの例えとして、「地震、雷、火事、親父」がある。最近は「親父」は怖くなくなり、代わって台風が入る。「地震、雷、火事、台風」だ。一番怖いのは筆頭の「地震」だ。いつ、どこで強い揺れに襲ってくるか分からない。政府の地震調査委員会は、全国の活断層や海溝型の地震に関する最新の研究成果などに基づき、今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れに襲われる確率などを推計した「全国地震動予測地図」の2020年版を公表した(3月26日)。防災科学技術研究所の公式ホームページ「地震ハザードステーション」に掲載されている。以下引用する。
地震は世界中どこでも起こっているわけではなく、地震が多発する地域とそうでない地域がある。1977年1月から2012年12月までに世界で発生したマグニチュード5以上の地震統計によると、日本の面積は世界の1%未満であるにもかかわらず、世界の地震の約1割は日本の周辺で起きている。つまり、日本は地球規模で見ても地震による危険度が非常に高い。
2020年版=写真=を見ると、今後、南海トラフや千島海溝沿いでの巨大地震の発生が懸念されている。また、房総沖の巨大地震や、首都直下地震など確率が高い地域が赤紫色で塗られている。自身が住む金沢市も「森本・富樫断層帯」があり、今後30年以内に震度6弱以上の激しい揺れの確率は2%から8%と高レベルだ。長さ26㌔のこの断層帯は市内の中心地を走っている。中心地を走っているというのは、1799年(寛政11)6月29日の金沢地震が起き、断層で崩れたくぼ地などを道路として金沢の街が形成された。再度地震が起きれば市街地を揺れが直撃することになる。
金沢は「加賀百万石」の優雅な伝統と文化の雰囲気が漂う街と思われている。一方で、江戸時代からの防災の街でもある。加賀鳶(とび)に代表される、伝統的な自主防災組織が金沢にある。また、市内には「広見(ひろみ)」と呼ばれる街中の空間が何ヵ所かある。ここは、江戸時代から火災の延焼を防ぐため火除け地としての役割があったとされる。また、城下町独特の細い路地がある町内会では、「火災のときは家財道具を持ち出すな」というルールが伝えられている。
なぜそこまで、と考える向きもあるだろう。気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1981~2010年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の42.4日だ。雷がとどろけば、落雷も発生する。1602年(慶長7)に金沢城の天守閣が落雷による火災で焼失している。石川県の消防防災年報によると、県内の落雷による火災発生件数は年4、5件だが、多い年(2002年)で12件も発生している。1月や2月の冬場に集中する。雷が人々の恐怖心を煽るのはその音だけではなく、落雷はどこに落ちるか予想がつかないという点だ。
寛政の金沢地震から220年余り、震災はいつ起きるか分からない。雷鳴も激しくとどろく。自身のパソコンは常に雷サージ(電気の津波)を防ぐコンセントを使用している。実は怖い街なのだ。
⇒27日(土)夜・金沢の天気 くもり