音楽家の坂本龍一氏が先月28日に亡くなったとメディア各社が報じている。坂本氏の公式ツイッターには、灰色の背景に黒文字で生没年が刻まれている=写真・上=。そして公式サイトには、「An Announcement」(声明)が掲載され、医療関係者やファンへの感謝が言葉が述べられ、坂本氏が好んだという言葉が引用されている。「“Arts longa, vita brevis.” Art is long, life is short.」。享年71歳。
自身の年齢と近いということもあり、若いころから映画『戦場のメリークリスマス』や『ラストエンペラー』のテーマ曲はよく耳にし、今も心に響く。『ラストエンペラー』で日本人として初めてアカデミー賞作曲賞を受賞(1988年)、そしてグラミー賞も獲得するなど世界的に評価された音楽家だった。
思想家でもあった。核のない世界、戦争のない平和な世界を訴えるメッセージを発信していた。東日本大震災による福島第1原発の事故後では、脱原発を訴えた音楽イベント「NO NUKES」を開催するなど被災地の復興支援にも携わってきた。時代の流れを感じ取り、社会に訴える「時代のカナリヤ」のような人物だった。
歌手の加藤登紀子氏はツイッターでコメントしている。「本当に素晴らしい音楽家であり、思想家であり、行動者だった坂本龍一さん。彼の亡き後も、彼の思いを受け継ぎ、音楽家として思考し、行動するひとりでありたいと願っています。心から哀悼を捧げ、共に生み出した音楽を大切に歌っていきます」と。
冒頭の言葉は、坂本氏の人生そのものだったように思える。芸術のために生き、そして人々の心を豊かにして使命をまっとうする。「それでいい」と。Art is long, life is short(芸術は長く、命は短し)。ファンの一人として冥福を祈る。
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