このところ近所のスーパーで地元産のコシヒカリが高騰している。きょうの価格は5㌔袋で3780円(税抜き)だった=写真・上=。米価について去年8月25日付のブログでも述べているが、そのとき同じスーパーで購入した新米は10㌔袋で4580円(税抜き)だった。5㌔で換算すると2290円なので、1490円高くなり、率にして7割近くのアップだ。コメの小売り価格の高騰は金沢市だけでなく全国に広がっているようだ。
そんな中、江藤農林水産大臣はきょう午前の記者会見で、米価の価格高騰に対応するため、政府備蓄米の放出について発表した(メディア各社の報道)。それによると、大手の集荷業者を対象に販売数量は21万㌧と定める。初回は3月上旬にまず15万㌧の入札を開始し、3月半ばには落札した集荷業者への引き渡しを始める。実際に備蓄米が店頭に並び始めるのは3月下旬から4月ごろになると見込んでいる。残り6万㌧に関しては今後の状況をみて判断していくとしている。江藤大臣は備蓄米の放出について、「この状況をなんとしても改善したいという強い決意の数字だ」「必要があればさらに数量を拡大することも考える」と述べていた。
そもそも、なぜコメの小売価格が高騰しているのか。去年、コメの小売価格が高騰したのは、2023年産米の収穫量が前年比1.4%減の661万㌧と過去最少となったことが原因だった。猛暑のため、イネの吸水が蒸散に追いつかずに枯れてしまう「高温障害」が各地で発生。この障害で白濁したコメが大量に出て、コメどころ新潟県などで深刻な被害が出た。去年夏、金沢のスーパーでも一時品切れ状態が続いた=写真・下、2024年8月20日撮影=。秋に新米の季節となりようやく落ち着いた。では、去年秋に収穫されたコメはどうだったのか。農水省の公式サイト(12月10日付「令和6年産水陸稲の収穫量」)によると、2024年産米の収穫量は前年比2.7%増の679万2000㌧で、収量が増加に転じるのは2018年産以来6年ぶりと発表していた。それなのになぜ価格高騰が続いているのか。
流通の在り方を問う見方が出ている。2024年産米を巡っては、JAなど既存のメインの流通業者に加え、中小業者や外食チェーンなど新興勢力も買い付け競争に参加した。買い付け業者の増加で在庫が分散したり、一部の業者が在庫を抱え込んだりした結果、JAなどを通じた主要なルートに流れるコメの量は前年比21万㌧減った(14日付・日経新聞Web版)。農水省が今回用意する備蓄米21万㌧は、この主要ルートで減った分を根拠に放出するようだ。
また、1月下旬に農水省で開かれた有識者会議では、出席者の一人から「スーパーがコメの販売抑制目的で値上げに踏み切っている」といった指摘が出ていた。卸からの供給が減るなか、店頭から商品が消える事態を避けるため、売価を上げることで販売数量をコントロールしているという(同)。流通サイドにいかるな理由があったとしても、消費者へのしわ寄せは止めてもらいたいものだ。
⇒14日(金)夕・金沢の天気 くもり時々はれ
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