前回のブログで能登半島は田起こし、田植えの季節だが、震災の影響で田んぼに亀裂が入り、ため池や水路が破損、農道も亀裂や隆起などで田植えができるかどうか見通せないと述べた。新聞各紙(2日付)によると、輪島の千枚田で地元有志でつくる「愛耕会」がきのう田起こしを始めたが、亀裂が入る棚田が多く、ことしは1004枚のうち60枚に限って作付けすることになった。(※写真は、4㌶の斜面に小さな棚田が連なる白米千枚田。2001年に文化庁「国指定文化財名勝」に指定されている)
1004枚のうち60枚とは極端に少ないとの印象を受けるかもしれないが、これには棚田独特の事情がある。棚田の上段から下段に向ってすべての田んぼに水が流れるように水路設計が施されている。しかし、たとえば中段の田んぼにひび割れが入ると水が中段から下段に水は流れなくなる。千枚田の現地を見渡すと、上段の広めの田んぼ、ならびに展望台サイドの田んぼは無事であるものの、とくに中段ではひび割れが激しい。すると、60枚しか耕せないというのも分かるような気がする。報道によると、ことしは耕作よりむしろ割れた田んぼの修復が愛耕会の主な作業になるようだ。
激減するのは千枚田の耕作枚数だけではない。同じく新聞報道によると、震源地に近い珠洲市大谷地区にある小中学校では新学期に在籍する児童生徒は前年度の23人から5人に減少する見込みと伝えている。同地区では現在も断水が続き、体育館は避難所として使われている。地元に唯一あったスーパーも倒壊。教育環境を優先したい親たちの転居が相次いでいるようだ。
珠洲市だけの話ではない。地震で甚大な被害を受けた奥能登4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の今年1月から3月の転出者数が計1708人となり、前年同期比で2.4倍に上る(2日付・北國新聞)。生活インフラの復旧の遅れなどで転出者はさらに増え、過疎化現象にさらに拍車がかかる。この厳しい現実にどう対応していけばよいのか。
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