新年度の石川県予算ならびに今年度の補正予算に震災対応として7718億円が計上されることになった(2月15日・石川県発表)。この予算額は今年度の一般会計当初予算(6170億円)を上回る規模だ。県は新年度から「能登半島地震復旧・復興推進部」を設置し復旧を加速させる。
震災関連予算は「生活の再建」「生業の再建」「災害復旧」の3本柱となっている。生活の再建については、仮設住宅の整備やみなし仮設住宅の確保、物資の支給といった「災害救助法に基づく応急救助」に2492億円を充てる。住宅の損壊(全壊、半壊、部分損壊)が6万戸にも及ぶことから、応急仮設住宅を3月末までに4千戸着工する。全壊の世帯を対象に300万円、半壊の世帯に最大で100万円を支給することにし、31億円を計上している。(※震災で焦土と化した輪島市河井町の朝市通り=2月6日撮影)
また、被災地の復旧工事を加速させるため、輪島市にある「のと里山空港」の敷地にプレハブの宿泊施設(134人分)やキャンピングカーを借り上げて、復旧工事の作業をする人々の宿泊拠点を開設する。被害が特に大きい奥能登(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)の民間や公的な宿泊施設がダメージを受けている。このため、外部から訪れた道路復旧の作業員は車中泊で寝泊まりしているのが現状だ。宿泊拠点の整備に15億4000万円を計上している。
新年度予算案の発表にともなう記者会見での馳知事の発言が物議を醸している。予算の中で、「大阪・関西万博を見据えた国際文化交流の推進」として1000万円を計上している。国際交流プログラムの費用として友好交流協定を結んでいる韓国の全北特別自治道(旧・全羅北道)に県の文化団体を派遣する費用だ。手短に言えば、文化交流を通じて万博をPRするという内容なのだろう。
メディア各社の報道によると、記者会見で「(大阪万博の開催を推進する「維新の会」に)かなり気を使っているのでは」 と質問され、馳知事は「私は大阪維新の顧問。馬場(伸幸)代表、松井(一郎)さん、吉村(洋文・大阪府)知事、また橋下(徹)さんとも古い友人です」と答えたという。
先月、自民党の高市経済安保大臣が岸田総理に震災復興を最優先し大阪万博の開催延期を進言したことが注目された。全国的に建設業界の人手不足が叫ばれる中で、震災の復旧復興と万博会場の建設の両立は果たして可能なのか、との議論だ。震災の復旧復興を最優先で取り組むべき石川県の知事の言葉とは思えない、「古い友人」にくみした発言のように聞こえる。「万博を見据えた」予算をめぐっては、あさってから始まる県議会定例会で議論が起きるだろう。
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