自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★「ブルゴーニュ」で迎えた令和の幕開け

2019年05月01日 | ⇒トピック往来

   4月30日「平成の大晦日」の夜、金沢のワインバーで過ごした。じっとしておれない「わくわく感」がそうさせた。というより、テレビはどのチャンネルも「平成最後の・・・」のオンパレードである。誰に向けての番組コンテンツなのか、何を発信しようとしているのか、そしてコメンテーターやキャスターの敬語の乱用にも少々嫌気が差して、「オワコンだな」と思いながら外出した。

   店に到着したのは夜9時30分ごろ。休日の夜にもかかわらずカウンターがいっぱいだった。ソムリエのマスターに「さすが10連休ですね」と声掛けすると、マスターは「今夜は令和へのカウントダウンをしないのかと問い合わせ電話もありますよ。カウントダウンで盛り上がりますか」と。勧めてくれたワインが1976年産のブルゴーニュワインだった。ブドウ品種はピノ・ノワール。ボトルに「PREMIER  CRU」と書いてあり、「一級のブドウ畑」の意味だとか。ことし2月に日本とEUのEPA(経済連携協定)が発効して関税が撤廃、ヨーロッパ産ワインが求めやすくなったと同時に、フランス産の高級ワインも入ってくるようになった。

   目の前のブルゴーニュワインは初対面だった。マスターの解説によると、ピノ・ノワールは水はけがよい石灰質の土壌で冷涼な気候で育つが病気にかかりやすく、なかなかデリケートで栽培が難しい。農家泣かせのこの品種のことを欧米では「神がカベルネ・ソービニオンを創り、悪魔がピノ・ノワールを創った」と言うそうだ。40年余りも年月が経っているので、コルク栓が柔らかく崩れてなかなか抜けない=写真=。コルクがそーっと抜かれると、芳しい香りが漂ってきた。ヴィンテージものだがまだ果実味もあり、優しく熟成を重ねたブルゴーニュワインだった。

     ワインの話で盛り上がっているうちに、カウントダウンが近づいた。5月1日まであと10秒。カウンターの客が「9、8、7、6、5、4、3、2、1」と声をそろえた。令和が始まった。すると、マスターがシャンパーニュを振る舞ってくれた。改めて、令和の幕開けに乾杯した。時は過ぎていく。その一刻一刻をワインで事実確認した思いだった。

⇒1日(水)午前・金沢の天気    こさめ


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