自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★言葉の矜持

2019年02月23日 | ⇒ニュース走査

      日本は議会制民主主義の国である。しかし、最近の国会でのやり取りをテレビで視聴していて、我が国の民主主義はこれでよいのかと案じてしまう。今月10日の自民党大会で安倍総理がかつての政権交代に触れ「悪夢のような民主党政権・・」と述べたことについて、12日の衆院予算委員会で民主党政権時代を元副総理として担った岡田克也議員(立憲民主会派)が安倍総理に発言の撤回を求めた場面があった。

  岡田氏:「私たちは政権時代に、その前の自民党の歴代政権の重荷も背負いながら、政権運営をやってきた。撤回を求める」
  安倍総理:「私は自民党総裁としてそう考えている。そう考えていることを述べる自由はまさに言論の自由です・・・」
  岡田氏:「もちろん民主党政権時代の反省は我々にあります。しかし、政党政治で頭から相手を否定して議論が成り立つのか・・・」「全否定をするようなレッテル貼りはやめろと言っているのです」
  安倍総理:「全否定するなとおっしゃいますが、たとえば採決のときに安倍政治は許さないと全否定してプラカードを持ったのはどこの党・・・」「みなさん、悪夢ではなかった、それを否定しろとおっしゃるが、ではなぜ民主党っという名前を変えたのですか・・・」

  そもそも「悪夢のような民主党政権」発言は自民党大会で述べられたものだ。それを国会で追及するというのは少々無理があるのではないだろうか。岡田氏はその後に「今の発言はまったく理解できませんよ。取り消しなさい」と命令口調で声を荒げた。この発言をテレビで視聴した国民の多くは「まがりなりにも一国の総理に対して無礼な発言だ」との印象を抱いたのではないだろうか。与野党の議員は国民に選ばれた選良であり、矜持、プライドというものがあるだろう。このような発言が飛び交う議会制民主主義はいつまで持つのか。

       政治家は言葉を発することが職業である。その発言内容が問われる。さらに、言葉の説得力というのは、情熱と知性と論理性が聴き手に刺さり、初めて評価、納得されるものだ。言葉を丁寧に選び、それを発語するチカラは国会の場だけでなく、職場や地域コミュニティ、そして家庭でも求められているのは言うまでもない。現代ほど言葉の矜持が求められている時代はないと思う。

⇒23日(土)夜・金沢の天気     くもり


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