日光では華厳の滝も見学した。鬼怒川支流の大谷(だいや)川を渡って、「第二いろは坂」(国道120号)の上り坂を走行する。ヘアピンカーブの連続はスリルと同時に妙なふらつき感も伴う。
そうこうしながら華厳の滝に。「華厳滝エレベーター」で100㍍下の展望台まで行くことにした。エレベーターの料金は1人550円。受付入口でこの値段を聞いて引き返すインバウンド観光のカップルもいた。パンフによると、エレベーターは岩盤をくりぬき1930年に造られたとある。2基のエレベーターには改札口があり、車掌の姿をした係員もいる。民間会社が経営しているが、おそらく上下を移動する交通機関という位置づけなのだろう。30人乗りで60秒の移動だ。
エレベーターを降り、スロープと階段を下り展望台に行く。少々霧がかかっていたが、高さ97㍍を一気に落下する壮大な景観は、まさに自然の造形美だ。爆音とともに水しぶきが弾ける豪快な姿。滝のことを「瀑布(ばくふ)」と称することもある。高所から白い布を垂らしたような。まさにその景観=写真=には圧倒された。展望台は小学生の修学旅行と思われる児童たちが滝をバックに記念撮影をしていた。腕章に「富」と書かれてあったので、「どこの小学校なの」と男子児童に尋ねると、「神奈川県の・・市立富士見小学校です」と即答があった。さらに「富士山を毎日のように見ることができて、そしてきょうは華厳の滝、いい修学旅行だね」とさらに言葉をかけると、「富士山はきれいで眺めるだけですが、ここは音に迫力があって、とても心に残ると思います」と。理解しやすく無駄のない言葉使いだった。
30分ほど滝の迫力を楽しんで、エレベーターに戻った。車掌に尋ねた。「展望台まではスロープと階段がありますが、車椅子の障害者が展望台に行きたいと希望した場合、介助や支援はされているのですか」と。すると「そこまでやっていません」と。「介助なしですか」と確認すると、「そうなんです。民間ですから」と。エレベーターの案内入口では車椅子の見学者には地下ではなく地上の展望台を案内しているようだ。私見だが、上から眺める滝より、下から見上げる滝の方が、先の小学生の言葉通り、音響が得られる分、臨場感がまるで違う。
会社が人手不足などで車椅子の障害者を介助する常駐スタッフまでは確保できないとすれば、「550円のエレベーター料金は無料にしますので、お客さんの中で車椅子の介助を手伝っていただける方を募集します」と場内アナウンスで呼びかけてもよいのではないか。先に引き返したインバウンドのカップルは手を挙げるかもしれない。そんなことを思いながら華厳の滝を後にした。戦場ヶ原(標高1400㍍)はうっすらと草紅葉(くさもみじ)が色づいていた。
⇒28日(金)夜・金沢の天気 くもり
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