自在コラム

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☆日光東照宮で見たこと

2018年09月27日 | ⇒ドキュメント回廊

     東京へ行くついでに足を延ばして、日光を訪れた。北陸新幹線の大宮駅で下りて、東武線に乗り換えて日光駅へ。駅前でレンターカーを借りて日光東照宮と華厳の滝などをめぐった。実は日光は初めて。「三猿」や「眠り猫」はよく知られているが、ぜひこの目で見てみたいと思い立った。

   駅から参道の坂道を走行すると、「ゆば料理」の店が看板があちらこちらに見えてくる。日光東照宮の表門に到着し、外に出ると小雨ということもあって少々肌寒い。小さな案内板があった。「ここは標高634㍍ 東京スカイツリーと同じ高さです」と。平地に比べ寒いわけだ。30㍍はあるだろう杉の大木に圧倒されながら、表門に行く。

   表門の入口に拝観受付所(料金所)があった。霊験あらたかな気持ちで受付所に行くと、待っていたのは「Suica(スイカ)」の自動拝観券売機だった。交通系電子マネー決済システムでありがたく拝観券をいただく。そう言えば、レンタカーの窓口の従業員が言っていた。昨年、日光東照宮の国宝「陽明門」の4年の大修理が完了したので、参拝客やインバウンド観光の客で随分増えた、と。確かに、Suica販売機は現金を入れない分、人のさばきが速い。また、英語や中国語、韓国語にも対応している。「さすが、ユスネスコの世界遺産」と感心しながら表門をくぐった。

    「神厩舎(しんきゅう)」と呼ばれる神馬の厩(うまや)が左側に見えてきた。「見ざる・言わざる・聞かざる」三猿の木彫がある建物だ。正面と側面合わせて8面の彫刻があり、男性ガイド氏の「悪いことは見ない、言わない、聞かないという、親から子どもへの躾(しつけ)教育を表しているといわれています」との説明に聴き入る。

    厳かできらびやかな「陽明門」をくぐる。極彩色で精緻な彫刻の数々。門の内側の天井には狩野探幽が描いた「昇り龍」と「降龍」が。徳川三代将軍・家光が家康を神格化するために大改造を行ったとされる。高さ11m、幅約mの門にどれだけの江戸の建築の技、工芸、そして美術の粋が凝縮されていることか、圧倒的な存在感がある。

    唐門から本社を仰ぎ、右に回って「眠り猫」=写真・上=がいる坂下門へ。家康公の眠る墓所に通じる門に刻まれている、あの有名な体を丸めて寝ている猫。門をぐぐって振り向くと、眠り猫の裏側に当たる木彫は二羽の雀(すずめ)が躍っている姿だ。作者は左甚五郎。この二つの作品から読み取れる意図は「共存共栄の世界」かと想像した。戦乱の世をかいくぐって天下を治めた初代の威厳を借りて、三代目は泰平の世の願いを東照宮の大改造に込めた。もし、三代目の発想が眠り猫の作成に反映されているとすれば、武家諸法度や参勤交代などもろもろの制度による泰平の世を構築することが、まさに眠り猫と雀の共存共栄ではなかったか。

    墓所がある奥宮までの階段207段を上った。石坂と石段、石垣=写真・下=が続く。日光の山奥までこれら石をどのように運んだのか。普請した大名たちの嘆き節が聞こえてきそうだ。

⇒27日(木)夜・金沢の天気     くもり


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