自在コラム

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★「非常戒厳」が裏目に レームダック化したのか韓国・尹大統領

2024年12月05日 | ⇒ニュース走査

  韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領がこれほどレームダック化していたとは驚きだった。メディア各社の報道によると、尹氏は3日深夜の演説で「非常戒厳」を宣布すると発表した。韓国の憲法では、非常戒厳は戦時やそれに準じる国家非常事態に陥った際に大統領が宣言する。突然の発表に国会は混乱に陥った。尹氏は戒厳令をその後、6時間で解除したものの、政治家として瀬戸際に追い込まれた。ソウルで大規模な市民による抗議行動が起き、さらに最大野党「共に民主党」による尹氏に対する弾劾訴追手続きがなされた。近く開かれる国会で尹氏の真意が議論されることだろう。

  尹氏は2022年の大統領選で保守強硬派の候補として勝利し、同年5月に就任した。だが、今年4月の総選挙で野党が圧勝。政府として国会で予算案や法案を通すことができず、野党が通過させた法案に拒否権を発動する程度のことしかできない状況が続いていた。さらに、尹氏の夫人にまつわる汚職スキャンダルに見舞われている。高級ブランドのディオールのバッグを受け取ったとされる疑惑や、株価操作に関わったとされる疑惑だ(4日付・BBCニュース日本版)。  

  元検事総長の尹氏のかつてのイメージは、権力に遠慮することなく司法の刃(やいば)を向けてきたことだ。朴槿恵(パク・クネ)政権下での「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」では朴前大統領を拘束起訴(2017年3月)。この実績により、前大統領の文在寅(ムン・ジェイン)大統領からソウル中央地検長に抜擢された。尹氏はさらに李明博(イ・ミョンバク)元大統領も拘束起訴。2019年6月に検事総長に任命されてから、矛先は文大統領の側近に向けられた。曺国(チョ・グク)前法務部長官の捜査を手初めに、蔚山市長選挙介入疑惑、月城原発経済性ねつ造疑惑など次々と捜査のメスを入れた。(※写真は、2022年3月に韓国の新大統領に選ばれた尹錫悦氏=韓国・中央日報Web版)
 
  権力と対峙してきた尹氏は「私は人(権力)に忠誠を尽くさない」という言葉を放って国民に知られるようなった。尹氏が大統領になったことで期待されていたのは、「法治国家」の確立ではなかっただろうか。ところが韓国では大統領に権力が集中している。戦時でもないのにその権力を行使して非常戒厳令を宣告したとなると、動機がなんであれ、自らがその権力に溺れ込んだと韓国国民は思い込んだに違いない。
 
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