自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

★NYでの新婚生活は明るく自由で平和なのか

2021年10月02日 | ⇒メディア時評

   秋篠宮家の眞子さまの結婚問題が大きく動いた。NHKニュースWeb版(2日付)によると、宮内庁はきのう1日に記者会見を行い、眞子さまは今月26日に婚姻届を提出し、その後、小室圭氏とともに記者会見に臨む予定と発表した。この日は大安にあたる。また、結婚にあたって、女性皇族の結婚に伴う儀式をすべて行わないことや、皇室を離れる際に支給される「一時金」の受け取りを辞退されることなども明らかにした。眞子さまは、結婚に当たり、両陛下や上皇ご夫妻を訪ねてお別れのあいさつをされる。

   さらに、宮内庁の会見で明らかにされたことは、「眞子さまは、ご自身やご家族、それに小室さんとその家族への誹謗中傷と感じられる出来事が続いたことで、『複雑性PTSD』(=複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になられている」(2日付・NHKニュースWeb版)。宮内庁の会見には、医師も同席し、「結婚について周囲が温かく見守ることで回復が進むものと考えられる」などと述べた。

   この会見内容を読んでの率直な感想だ。お二人の婚姻手続きから記者会見の設定まで、宮内庁は一応すべての段取りを終え、ようやく発表にこぎつけた。きのうは金曜日だったので、記者発表の日程としてはぎりぎりセーフだろう。そして、「PTSD」を公表して、周囲が温かく見守ってほしいと医師に語らせた。この周囲とは「国民」のことと解釈する。さらに、宮内庁はPTSDの原因を誹謗中傷によるものとしている。SNSなどの誹謗中傷による侮辱罪を厳罰化する法整備が進められているので、宮内庁は「黙れ、訴えるぞ」と言っているようにも聞こえる。

   結婚後にニューヨークで暮らすことも報じられているが、アメリカのメディアは今回の結婚をどう報道しているのか。ニューヨークに本社がある「The Wall Street Journal」Web版(1日付)は「Japan’s Princess Mako to Marry as Palace Blames Media for Her PTSD」と、PTSDをあえて見出しに入れて報じている=写真=。同じくニューヨークに本社がある「Bloomberg」Web版(同)は「Japanese Princess Giving Up $1.4 Million to Wed Fordham Grad」と140万㌦の持参金をあきらめたとの見出しで報道している。その理由として、弁護士志望の小室氏の家族の背景に関する厳しい世論などに配慮したものと報じている。アメリカメディアは、基本的人権の問題であるので他人が干渉すべきではないとの論調が主流だ。

   一つ案じることがある。それは、「Japan’s Princess」へのアメリカの国民感情だ。異なる民族の集合体でもあり、実に多様で複雑だ。中には、第二次世界大戦と天皇について語り、日本はいまだに十分な謝罪も償いもしていないと声高に主張する東南アジア系市民もいるだろう。韓国系市民団体などは慰安婦像の設置や、ハーバード大学教授の学術論文を批判、日本製品の不買運動など活発な運動を展開している。あるいは逆に、「Japan’s Princess」を政治的に活用しようという動きも出て来るかもしれない。これまでよく引き合いに出されるイギリスのヘンリー王子とメーガン夫人の王室離脱騒動とは違った次元だ。自由で明るい、平和な暮らしだけがニューヨークにあるわけではない。

⇒2日(土)午前・金沢の天気    はれ時々くもり


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