自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆クマの飢え、馬の嘆き

2020年10月16日 | ⇒トピック往来

   このところツキノワグマの出没が相次いでいる。石川県庁は先月9月11日にクマの出没注意情報を発令して注意喚起をしたが、以降でもクマの出没が急増していることから、人身事故の危険性が高まっているとして今月8日には出没警戒情報を発令した=写真=。ことしに入ってクマの目撃情報は357件(10月9日現在)とこれまで過去最高だった2010年の353件を上回った。

   クマの出没による農作物の食い荒らしなど被害も多発している。今月14日に金沢市山間部の果樹園でリンゴが数十個食べられているのが見つかったほか、カキの実などがあちらこちらで荒らされている。同じ日にあわや人身事故になりかけたこともあった。14日午前8時ごろに、小松市の小学校で体長1㍍の成獣のクマ1頭が学校正門から侵入した。クマは校外へ逃げ去ったが、この日は屋外の授業を中止し、教職員が付き添って集団下校させた。小松市ではことしに入って目撃情報が105件もあり、すでにケガ人も出ている。今月7日には同市の住宅街で79歳の女性が朝、新聞を取るために家から出たところ目の前にいたクマに突然襲われた。

   県によると、ことしはクマの冬眠前の餌となる木の実のうち特にブナが大凶作になっていて、エサを求めて人里近くに出没しているようだ。県では、庭のクマはカキやクリを早く収穫するように、合わせて屋外に生ゴミを放置しないなどの対策を徹底するよう呼びかけている。冬眠前のクマの飢えと住宅地での徘徊、解決策はあるのだろうか。

   地元紙では、「金大馬術部 存続危機」との大見出しで記事が掲載されていた(10月15日付・北國新聞)。新型コロナウイルスの感染拡大で、多くのイベントなどが中止となったが、金沢大学馬術部では収入の道が絶たれたカタチで餌代の確保に苦戦しているという内容だった。県内では気多大社「おいで祭り」(3月・羽咋市)や「お旅まつり」(5月・小松市)といった祭事や伝統的な行事が各地で開催されるが、その折に神馬として馬術部の馬も出場してアルバイト代を稼いでいた。これが中止となった。

   同部では13頭を飼育していて、年間で餌代や装蹄などに400万円ほどかかる(同紙)。所属する学生たちもアルバイトで費用を捻出していたが、そのアルバイトも減少。また、部員もこれまで30人ほどいたが、コロナ禍でオンライン授業が主流となり、新入部員の勧誘すらままならない状態のようだ。コロナ禍での馬の嘆きが聞こえる。

⇒16日(金)朝・金沢の天気    はれ  


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