自在コラム

⇒ 日常での観察や大学キャンパスでの見聞、環境や時事問題、メディアとネットの考察などを紹介する宇野文夫のコラム

☆雑草をめぐる人々の価値観

2021年12月19日 | ⇒トピック往来

   冬の季節の話題としてはふさわしくはないが、趣味の一つが「草むしり」である。庭にはスギナ、ヨモギ、ヤブカラシ、ドクダミ、チドメグサなどが顔を出す。こうした雑草を無心で抜き取る。草むしりはまるで雑念を払う修行のようなものだ。きょう19日午後、石川県立自然史資料館で開催されたシンポジウム「石川県の雑草」を聴講してきた。雑草についていろいろ考えさせられた。

   昭和天皇のお言葉に「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」という有名なフレーズがある。その雑草の定義は何だろうか。話題提供の一人、本多郁夫氏(県地域植物研究会)がこう述べていた。「雑草は許可なく生える草と定義されることがあり、迷惑な草と思われがちですが、食料になったり、薬草になるなど有用なものが多くあります」と語り、コナギ、ミズオアイ、ホテイアアオイ、スギナ、セイタカアワダチソウを題材にその有用性について説明した。植物研究者の古池博氏(同)の話は哲学的だった。人間の都合で道路雑草、農耕雑草、すき間雑草などと呼ばれ、人々の暮らし方の変化にともない、雑草と呼ばれるようになった。反対に作物として利用されていたのに雑草になったものもある。雑草は人の価値観にもとづく定義である。

   確かに雑草であるか、花であるかは人の価値観でもある。5月に花咲く、シランはラン科の多年草で紫紅色の花が目をひきつける。このころになると、茶花としてシライトウやシマススキとともに床の間に飾ったりもする=写真=。でも、切り花として出回るような植物ではない。ヒメリュウキンカ(キンポウゲ科)は園芸用として国内に持ち込まれた外来種といわれる。春に黄色い花をつけ、そのあざやかさは50年ほど前まで金沢ではこの時節のあこがれの花だったと説明されていた。湿潤な土地を好み、繁殖力が強いのが特徴で金沢城公園の二の丸広場では駆除作業も行われているとのこと。あこがれの花が雑草化した事例ではある。

   マメ科のクズは「秋の七草」の一つ。なじみのある植物だが、樹木をすっぽり覆うほどのたくましさに驚かされることもある。当初、土砂崩れ防止の目的でアメリカに渡ったクズは、いまでは「モンスターKudzu(カズ)」と増えすぎが現地でも嫌がれているという。前述の古池氏は雑草の定義をこう述べていた。「人類とともに進化してきた植物のうち、人の統制・管理に従順には従わない一群」と。言い得て妙。まさにモンスター植物だ。

⇒19日(日)夜・金沢の天気      はれ

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★ラニーニャの冬来る

2021年12月18日 | ⇒メディア時評

   このような雪の積もり具合を北陸では「うっすら積もった」と言う。金沢の自宅周辺の積雪は数㌢ほど。屋根や樹木は少し雪を被った程度で、路面は積雪にはいたっていない=写真、午前10時20分ごろ撮影=。うっすら積もる雪のことを淡雪(あわゆき)と表現したりもするが、これは季節的に冬が終わり、春先にうすく積もる雪のことを指すので、「春の淡雪」と言う。冬の始まりの時節では使わない。これは雪国に実際住まないと理解できない感覚かもしれない。

   ニュースによると、石川県内の午前中の積雪は、白山市河内で8㌢、加賀市菅谷で6㌢、金沢市で2㌢、輪島市と珠洲市でそれぞれ1㌢となっている。白山麓の山の福井県との県境付近にある白山市の谷峠で57㌢の積雪を観測している(18日・NHKニュース)。山手に積雪が多い場合は山雪(やまゆき)、平地の方が山手より多く積もる場合を里雪(さとゆき)と言ったりする。

   それにしても寒い。気象庁ホームページによると、きょうの金沢の最高気温は4度の予想だ。今シーズン一番の寒気が流れ込んでいる上、冬型の気圧配置が強まっている。そして、きょうはおさまっているが、きのう午後から雷がよく鳴っていた。北陸では「雪出しの雷」と言う。ちなみに、気象庁の雷日数(雷を観測した日の合計)の平年値(1991-2020年)によると、全国で年間の雷日数がもっとも多いは金沢の45.1日だ。

   冒頭で述べたように、きょうの初積雪が「うっすら」だったからこの先も安堵できるかと言えばそうではない。気象庁は先月10日に太平洋の南米ペルー沖の監視水域で海面水温が低い状態が続き、世界的な異常気象の原因となるラニーニャ現象が発生したとみられると監視速報を発表している(11月10日付・時事通信Web版)。ラニーニャの年には豪雪がやってくる。直近で言えば、去年の冬は北陸では24時間で1㍍以上の降雪となり、観測史上1位の記録を更新した。2017年から2018年かけては福井県で豪雪となり、北陸自動車道で1500台の車が立ち往生。さらにさかのぼれば、あの1981年の「五六豪雪」も1963年の「三八豪雪」もラニーニャだったと言われている。

    ラニーニャが本格化するこれからの白い世界に身震いする。「ラニーニャ」冬将軍、いよいよ来たる。来るなら来い。こちらも戦闘態勢だ。

⇒18日(土)午前・金沢の天気    くもり

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☆民主主義と経済のデジタル化が「日本沈没」を救う

2021年12月17日 | ⇒トレンド探査

   前々回のブログ「☆日本は途上国へと退化していくのか」の続き。ことし9月に発足したデジタル庁の公式ホームページをチェックすると、牧島かれんデジタル大臣の記者会見(17日付)が動画で掲載されている。主な内容は、ワクチン接種の電子証明書アプリについて、今月20日午前中からスマートフォンでのダウンロードが可能になるとの見通しを示した。これによって、国内外の出入国の手続きの際に必要な書面の証明書(コロナパスポート)は必要なくなり、イベント会場などで求められてもスマホでOK ということになるとの説明だった。確かに便利ではあるが、単にアナログを補完しているだけの話で、大臣の説明からデジタル活用の本質が見えて来ない。

   デジタル大臣の言葉として期待したいことは、ぜひ総務省と組んで選挙を「デジタル投票」にしてほしい。そして、日銀と組んで「デジタル法定通貨」を使えるようにしてほしいということだ。デジタル投票の場合は、投票アプリに入り、マイナンバーカードをスマホにかざし、パスワードを入力することで本人確認をし、投票画面に入る。デジタル法定通貨による支払いも同じ要領だ。

   投票も通貨もポイントはマイナンバーカードなのだが、政府は普及を優先させている。先月、ニュースでマイナンバーカードの普及を図るために総務省はカードの取得などの段階に応じて最大2万円分のポイントを付与する制度を創設する費用として1兆8000億円を今年度の補正予算案に計上する方針を示した(11月25日付・NHKニュースWeb版)。発想が逆ではないか。お金をデジタル通貨にすると国が発表すれば、大人も高齢者も子どもも必死になってマイナンバーカードを取得するようになる。大切なのは普及ではなく、必然ではないか。デジタル投票は民主主義のデジタル化であり、デジタル法定通貨は経済のデジタル化だ。この発想がなければ国のデジタル化は進まない。逆に民主主義と経済のデジタル化が進めば、本格的なデジタル社会(Society5.0)が訪れるのではないか。

   Society5.0は、2016年に策定された国の「第5期科学技術計画」の中で用いられ、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society4.0)に続く、日本の未来社会の姿として提唱するものである。何もしなければ途上国へと退化する、進めば未来先進国へと進化する。日本の進むべき道は後者しかない。このようなことを、ぜひデジタル大臣が提言してほしい。

⇒17日(金)夜・金沢の天気     あめ時々あられ

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★兼六園の未来にスタンバイ 名木の後継木

2021年12月16日 | ⇒トピック往来

   先日兼六園に立ち寄った。本格的な冬を迎える前にすでに雪吊りなどが施されていた。国の特別名勝である兼六園。ミシュラン仏語ガイド『ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン』(2007)で「三つ星」の最高ランクを得ている。広さ約3万坪、兼六園の名木のスターと言えば、唐崎松(からさきのまつ)だ。高さ9㍍、20㍍も伸びた枝ぶり。冬場の湿った重い雪から名木を守るために施される雪吊りはまず唐崎松から始まる。加賀藩の第13代藩主・前田斉泰(1811~84)が琵琶湖の唐崎神社境内(大津市)の「唐崎の松」から種子を取り寄せて植えたものと伝えられ、樹齢190年と推定される。近江の唐崎の松は、松尾芭蕉(1644-94)の「辛崎( からさき )の松は花より朧(おぼろ)にて」という句でも有名だ。

   兼六園の名木のスターであっても、植物はいつかは枯れる。あるいは、台風で折れたり、雷が落ちれば名木の寿命は尽きる。跡地には次なる唐崎松が植えられることになる。兼六園の管理事務所の隣地に唐崎松の世継(よつぎ)がすでにスタンバイしている=写真・上=。事務所では後継木(こうけいぼく)と呼ぶ。幹の根の辺りがくねって、すでに名木の片鱗を感じさせる。この後継木は、かつて加賀藩主がそうしたように、大津市の唐崎の松の実生を植えたもの。「本家」の世継でもある。

   その横に、これも名木のスターである根上松(ねあがりのまつ)の世継が植えてある=写真・下=。根上松は三本の幹をむき出しの根っこが支え、樹齢は210年といわれる。盛り土を徐々に取り除き、カタチづくった松だ。世継の松はこれから盛り土が除かれ、根上松の様相を現すのだろう。

   兼六園と命名したのは、日本史に出て来る「寛政の改革」で有名な松平定信とされる。定信が中国・宋の詩人、李格非の書いた『洛陽名園記』(中国の名園を解説した書)の中に、名園の資格として宏大(こうだい)、幽邃(ゆうすい)、人力(じんりょく)、蒼古(そうこ)、水泉(すいせん)、眺望(ちょうぼう)の6つの景観を兼ね備えていることと記されていたのにヒントを得て「兼六園」と名付けたと伝えられる。

   兼六園の樹木は一代限りではない、何百年という歴史を考えて、未来の歴史を創らなければならない。それを創っていくのはまさに「人力」だ。今回歩いてそんなことを考えた。

⇒16日(木)夜・金沢の天気   あめ

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☆日本は途上国へと退化していくのか

2021年12月15日 | ⇒トレンド探査

   このところの政治や経済、社会の動きを見ていると、日本は途上国へと退化しているような気がしてならない。こんなことが民主政治なのかと不信感を抱いたのが18歳以下の10万円相当の給付問題だ。11月9日に自民・公明両党が現金とクーポンを組み合わせて給付実施することで合意。それから国会での紆余曲折を経て、3パターンの給付方法(現金10万円の一括給付、現金5万円を2回給付、現金5万円とクーポン5万円分を2回に分け給付)にたどり着く。民意は明らかに現金10万円の一括給付だったが、この議論に1ヵ月以上も費やしている。民主政治は妥協の産物ではない。

   その間、外交問題は棚上げされた。来年2月の北京オリンピックについて、アメリカが問題を提起した「外交的なボイコット」をどうするかの議論だ。中国・ウイグル族への強制労働や、女子プロテニスの選手が前の副首相から性的関係を迫られたと告白した後に行方がわからなくなった問題、香港における政治的自由や民主化デモへの弾圧など、中国の人権状況に対して国際的な批判は強い。日本政府は中国からの招待の有無にかかわらず、政府代表団の派遣をどうするのか。岸田総理は「国益の観点からみずから判断していきたい」(12月7日付・NHKニュースWeb版)を繰り返している。国益で人権問題を判断するという言葉は、はたして自由民主主義国家の政府の長の言葉だろうか。

   日本は世界第3位のGDPを誇る経済大国とされているが、いつまでそれが続くのだろうか。人口の少子・高齢化は日に日に高まっている。人口が減る中で経済規模を維持していくことは難しい。さらに、労働者1人当たりの生産性も高齢化で簡単ではない。GDPや企業の競争力などの指標を見ても、日本はすでにG7に相応しい地位ではない。「世界競争力年鑑2021年版」(IMD=国際経営開発研究所)での日本の順位は31位と停滞が続いている。

   かつて、日本は「一億総中流」と言われたが、その言葉を最近すっかり聞かなくなり、代わって「貧困」をよく目にする。厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2019年版)によると、2018年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は127万円で、これ以下の「相対的貧困」の世帯の割合は15.4%と記されている。今後、独り暮らしの高齢世帯などが増えていく。貧困率はさらに高まっていくだろう。暗い話ばかりになってしまった。

   ただ、反転する可能性はある。それは「資源」があるからだ。2000兆円におよぶ個人金融資産が眠っている。日本全国に張り巡らされた光ファイバーなどのデジタル通信網がある。このブログで何度か述べたように、日銀が主導するデジタル法定通貨を実施することだ。2024年から新一万円札は「渋沢栄一」に変わるが、これを機に札や硬貨ではなく、デジタル通貨にしてはどうか。タンスに眠ったままとなっている金融資産を吐き出させ、消費を回す絶好のチャンスではないだろうか。この機を逃せば、日本は本格的に途上国へと退化するのではないかと思えてならない。

⇒15日(水)夜・金沢の天気       くもり

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★「キシダクーポン」に時間かけすぎ

2021年12月14日 | ⇒メディア時評

   このような単純な施策に時間のかけすぎだ。18歳以下に10万円相当を給付する政府の指針が揺れている。政府が5万円分を子育て関連に使途を限定した期限付きのクーポン給付とする方針にしたのは、全額現金だと貯蓄に回り、経済対策につながらないという問題意識からだろう。しかし、クーポンが消費に使われても、それによって浮いた金額が逆に貯蓄に回るであろうことは誰もが考える。消費刺激の効果は限定的にならざるを得ない。むしろ、このクーポン給付の必要経費に900億円もかかることを国民は問題視した。

   きょう政府が新たに示した方針は、3パターンの給付方法だ。一つめが現金10万円を一括給付する。二つめが現金5万円を2回給付、そして三つめが現金5万円とクーポン5万円分を2回に分けて給付する。15日までに自治体に通知する(14日付・毎日新聞Web版)。この政府の方針を受けて、松井大阪市長は18歳以下への10万円相当の給付について、今月27日に現金で一括支給すると発表した(14日付・時事通信Web版)。

   しかし、この3パターンの給付方式は何も新しいことではない。そもそも、一つめの現金10万円の一括給付は大阪市だけではなく、多くの自治体が求めてきたものだ。二つの現金5万円の2回給付は、三つめと一つめの折衷案であり、三つめはそもそも政府の原案である。ここまで来るの一体どれだけ時間がかかったことか。時間がかかり過ぎだ。

   自治体はもっと現実的だ。すでに大阪の箕面市は8日、迅速な給付の実現や事務費の削減などの観点から、10万円を全額現金で給付する方針を決めている。同市の上島市長は「市民の使い勝手やクーポンの準備にかかる時間などを考慮すると全額現金で給付するのが市民のニーズに適している」とコメントした(9日付・NHKニュースWeb版)。

   もたついている政府だが、急ぐべきは来年2月の北京オリンピックについて、「外交的なボイコット」をどうするかの議論だ。日本政府は中国からの招待の有無にかかわらず、政府代表団の派遣をどうするのか。時間をかけて議論すべきはこの問題ではないだろうか。

⇒14日(火)夜・金沢の天気       あめ

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☆いまだに続く総理公邸の都市伝説

2021年12月13日 | ⇒メディア時評

   やはりこの質問かと思わず笑った。岸田総理は13日午前、東京・赤坂の衆院議員宿舎から引っ越したばかりの総理公邸で「幽霊」を見たかどうかを記者団に問われ、こう答えた。「今のところ、まだ見ておりません」(13日付・産経新聞Web版)。記者の質問も冗談めいての質問だろうが、政権交代のときに公邸に住む住まないで記者から質問される都市伝説ではある。   

   総理官邸と公邸は、同じ敷地内に建てられている。官邸は総理の仕事場で、公邸は住まいだ。現在の公邸はかつて官邸として使われた。1932年、海軍の青年将校を中心とするクーデター「5・15事件」で犬養毅総理が官邸で殺害された。その後、陸軍の皇道派青年将校らが起こした1936年の「2・26事件」では官邸で高橋是清大蔵大臣らが殺害された。その後、「犠牲者の幽霊が出る」との噂さが絶えなかった。

   有名な話がある。公邸に居を移さなかった当時の安倍総理が「公邸に住んだ森(元総理)さんが在任中に公邸で就寝直前に寝室の外から複数の軍靴が近づいてくるような足音を耳にしたとの話を聞いた」と出演したテレビ番組で明かしたことがある(2013年6月1日)。これが安倍氏が公邸に住まない理由ではないかと議員の間でも評判になった。番組でのこの話のきっかけは、ある野党議員が内閣に提出した質問主意書だった。「旧総理大臣官邸である総理大臣公邸には、二・二六事件等の幽霊が出るとの噂があるがそれは事実か。安倍総理が公邸に引っ越さないのはそのためか」(2013年5月15日)と。これに対して、政府は「お尋ねの件については、承知していない」とする答弁書を閣議決定した。

   この質問をしたのは当時の民主党の加賀谷健議員だった。質問の主旨は公費が使われている公邸が十分に活用されていないのではないかという趣旨だが、公邸と幽霊が国会の場で初めて取り上げられ、閣議決定にまで上った稀有なケースとなった。その話を安倍総理が番組で紹介してさらに広がり、すっかり都市伝説となった。岸田総理は冒頭の記者団の質問に「(公邸で)ゆっくり眠れた」と笑顔で語った(同)。公邸に入居するのは野田元総理以来9年ぶり。今のところ幽霊は登場していないようだ。(※写真は、首相官邸公式ホームページより)

⇒13日(月)夜・新潟市の天気   あめ

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★懐かしい言葉よみがえる「イマジン」「天国に一番近い島」

2021年12月12日 | ⇒ニュース走査

   懐かしい言葉が記憶によみがえってきた。ビートルズのファンだったので、ジョン・レノンが作曲した「イマジン」は学生時代によく口ずさんだ。きょうのニュースで、イギリスで開かれているG7の外相会談の夕食会がリバプールのビートルズ・ストーリー博物館であり、林芳正外務大臣は白いピアノに座り、「イマジン」を即興で演奏し、各国外相から拍手が送られた。林大臣は「誰かが『(ピアノに)座ってくれ、弾いてもいいよ』と、こういうふうに言われたものですから、せっかくイマジンの部屋であればということで、即興で『イマジン』を3分の1ぐらい」と。これまで国会議員らによる音楽グループ「Gi!nz(ギインズ)」などでもたびたびビートルズナンバーを披露していて、得意の音楽演奏で外交をアピールした(12日付・TBSニュースWeb版)。

   林大臣の即興ピアノをぜひ聞きたいと思い、動画を視聴したがピアノに向かう画像はあるが、弾いている動画がない。ほかのテレビメディアの動画ニュースもチェックしたが肝心の動画がない。BBCWeb版も検索したが、G7そのもののニュースがない。本人がほかの外相に気遣って、演奏動画は放送しないようメディア各社に申し入れたのかもしれない。それにしても、ビートルズ博物館で「ピアノ外交」デビューは見事だ。

   「天国に一番近い島」と言えば、南太平洋のニューカレドニアのこと。1966年に発刊され、ベストセラーとなった森村桂著『天国にいちばん近い島』だ。人生で初めて読んだ旅行記だったかもしれない。そのニューカレドニが中国に取り込まれるかもしれないとのニュース。フランス領のニューカレドニアで12日、独立の賛否を問う住民投票が行われた。同島はニッケルの世界有数の産地で、経済的な重要性も高いほか、フランス軍も基地を置き、インド太平洋戦略を進めるフランスにとって重要な拠点。一方、周辺の島しょ国では、中国がインフラなどさまざまな分野への投資を通じて関係を深めている。住民投票はこれまで2回行われ、いずれも反対が多数を占めていたが、2回目は賛成票の割合が増えた。投票の結果、独立することになれば、中国の影響力が強まる可能性があるという見方もあって、結果に世界の関心が集まっている(12日付・NHKニュースWeb版)。

   本の著者は、「ずっとずっと南の地球の先っぽに、天国にいちばん近い島がある」と父親から話を聞いて、貨物船に便乗してニューカレド二アを旅をする感動的な物語だ。読んで心が熱くなったのを覚えているが、残念ながら旅行したことはない。独立して中国に取り込まれることになるのか。開票結果が気になる。

(※写真は外務省公式ホームページより、日英外相会談の様子)

⇒12日(日)夜・金沢の天気      あめ

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☆これは大学の構造的な問題なのか

2021年12月11日 | ⇒ニュース走査

          なぜ記者会見が3ヵ月余りも開かれなかったのか。むしろ取材する側のメディアはそのことをなぜ指摘してこなかったのか。東京地検特捜部はことし9月に日本大学に強制捜査に入った。当時の理事が付属病院の設計監理業務と医療器具の納入に関して4億2000万円の損害を与えたとして背任罪で逮捕した。さらに、取引業者からリベートなど所得1億2000万円を隠していたとして、田中英寿理事長を所得税法違反容疑で先月29日に逮捕した。大学側はこれまでなぜメディアを通じて説明責任を果たさなかったのか。大学のガバナンスどころか、存在そのものが揺らぎかねない。

   大学側が東京地検特捜部の捜査について初めてコメントしたのは9月10日付のホームページだった。「INFORMATION(お知らせ)」のコーナー。「報道にありました件については、現在、東京地方検察庁が捜査しており、事実関係を把握していないことから、コメントは差し控えさせていただきますが、今後、東京地検の捜査に全面的に協力してまいります」。これだけである。

  その後。9月13日付で学長名でコメント。「学生、生徒等、保護者の皆様、そして教職員の方々には、大変ご心配をおかけし、誠に申し訳なく存じます。現在、東京地方検察庁が捜査中であり、本学も捜査に全面的に協力してまいりますのでご了解ください。なお、授業等については、これまでどおり実施してまいりますので、安心して学生生活をお送りいただきたくお願いいたします」。160字ほどの文章。学長名でたったこれだけの内容だ。学生や保護者、OB・OGは納得しただろうか。以降、きのう10日に初めて会見に臨むまでに、ホームペ-ジで12回簡単なコメントを発している。

   きのう(10日)の会見の様子をテレビのニュースで視聴したが、理事長を兼務することになった加藤直人学長が「田中前理事長と永久に決別する」と述べていた。違和感を感じた。先月29日に田中理事長が逮捕された段階ですでに「永久決別」は確定している。むしろ、大学の再建計画を示すことが発言の本筋ではなかった。「日本大学再生会議」を来年1月に立ち上げると述べていたが、遅い。むしろ、会議のメンバー表をこの日、メディアに配布するくらいのスピード感がなければ、関係者は納得しないだろう。

   また、「再生会議」と同時に「内部調査チーム」を立ち上げるべきではないだろうか。田中前理事長は2008年から5期13年にわたって理事長を務めた。どのような経緯で今回の不祥事に至ったのか、客観的に検証する必要があるのではないか。これは大学側の構造的な問題なのだろうか、ワンマン経営者がなぜ居座ることになったのか、そもそも大学の理事会は機能していたのか。

⇒11日(土)夜・金沢の天気     くもり

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★外交的ボイコット相次ぐ アスリートの憂うつ

2021年12月10日 | ⇒ニュース走査
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