「トランプ大統領の経済刷新に向けた行動はあまりにも常軌を逸してる」。ロイター通信Web版(13日付)によると、 ロイター社が世論調査会社と共同で行ったアメリカでの調査(3月11、12日・回答1422人)で、トランプ大統領の関税政策が貿易戦争を引き起こしていることについて、「being too erratic(あまりにも常軌を逸している)」との回答が57%に及んでいることが分かった=写真=。「そこまで常軌を逸していない」は32%、「分からない」あるいは無回答が11%だった。

そのトランプ氏の貿易戦争の矛先がいよいよ日本に向けられてきた。メディア各社の報道(14日付)によると、トランプ氏は12日、ホワイトハウスで記者団に対し、アメリカにおける大量の輸入車について日本を「最大の輸入元の国の一つ」と名指し、「日本にはアメリカ車がない」「日本はアメリカ車を受け入れない」と不満を示した。アメリカ政府は4月2日をめどに25%程度の自動車関税の詳細を発表する方針で、日本政府は日系メーカーの対米直接投資の実績を訴えて関税の除外を求めているが、日米間の溝があらためて浮き彫りとなった(14日付・北陸中日新聞)。
日本は2024年、アメリカに137万台の自動車を輸出し、対米輸出総額は全体の3割を占める6兆円に上った。一方、日本はアメリカからEVの「テスラ」や「ジープ」などを輸入しているが、その台数は日本が輸出する台数の100分の1ほどにとどまるとされる。トランプ氏はここをやり玉に挙げて、現在乗用車に課している2.5%の関税を10倍にすると述べたのだ。日本は1978年以降、輸入車に対する関税を課していない。
乗用車の輸出入についてはトランプ氏の恨みは根深い。日経新聞電子版(2月20日付)によると、大統領1期目で「(日本は)日本市場でアメリカ車を売れないようにしている」として非関税障壁をやり玉にあげていた。輸入時の認証や安全、軽自動車への税優遇、環境を巡る規制が厳しいことなどが念頭にあるとみられる。アメリカ通商代表部(USTR)は2024年の報告書でも「アメリカの安全基準認証が日本の基準と同レベルであると認められていない」と車に関する障壁の指摘を続けている。
同じ輸入車でもドイツ車は日本市場で快走する。日本政府や自動車業界の関係者は「不公正な障壁はなく、日本の道路事情や消費者に合わせた商品づくりの問題」と反論してきた。通商の世界で車の非関税障壁を巡る日米のやり取りは、古くから続く論争でもある(同)。これからさらに、トランプ氏の「being too erratic」発言が続くのか。
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