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Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
【注目の天文現象】
4/22深夜 こと座流星群が極大

トールのかぶと

2019-04-08 23:40:00 | 遠征日誌

金曜日の晩に続いて土曜日の晩も☆撮り遠征してきました。行き先は久々の稲取です。
先月中旬に特殊なフィルターを入手していたので、そのテストを兼ねての☆撮りでした。
そのフィルターというのは "Nebula Booster NB1" という名称のもので、
直訳すると「星雲増幅フィルター」ってことになるのかなぁ・・・
ある特定の波長を発している散光星雲や惑星状星雲などの輝線星雲の写りを良くするアイテムで、
ごく狭い波長帯域の光を選択的に透過するバンドパス干渉フィルターの一種になります。
赤い散光星雲(HⅡ領域と呼んだりします)は電離水素由来のHα光(波長656nm)を強く発しており、
惑星状星雲はそれに加えて電離酸素由来のOⅢ光(波長496nm+501nm)を発するものが多いので、
それらの2波長域だけを通して他の波長域の光は極力遮断するフィルターがNB1の実体です。
つまりは余計な光がカットされ、結果的に星雲だけを際立たせる効果が期待できるみたいです。
そのフィルターの能力をチェックする目的で最初に選んだ被写体がコレです↓
ngc2359nb1_19.jpg

【トールのかぶと星雲 NGC2359】
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,NB1フィルター使用,
 F2.8,ISO1600,総露出時間56分(7分×8コマ),中型赤道儀使用,
 口径25mmガイド鏡にて恒星オートガイド,トリミングあり,伊豆稲取にて

おおいぬ座にあるマイナーな星雲で、ウォルフ・ライエ星と呼ばれる希少な種類の星から
放出されたガスが周囲に広がり、それが輝線星雲となって見えている天体です。
ニックネームは星雲の形が北欧神話に出てくる雷神トールがかぶっているヘルメットに
似ていることから付いたようですが、日本人には馴染みが無いんでピンと来ませんね。
それ以外にダック星雲(あひる星雲)と呼ばれることもあり、画像を拡大すると円形の部分から
嘴のような構造が下向きに突き出た姿が確認できて、アヒルの頭部に見えなくもない感じです。
この星雲はまさに赤色のHα光と緑色のOⅢ光が入り混じった輝線星雲であり、
低空に位置していたにも拘らずフィルターのお蔭でコントラスト良く描出できました。
でも星の色に黄色と青色が足りないのか、画像全体の色調に違和感を覚えてしまいます。
フィルター無しで撮った画像とブレンドした方がいいのかもしれません。