日没が近づき、涼しくなったところで、買い物に出ました。
町の中には風が流れ、家の中よりずっと涼しいです。
空は一面青紫色の雲で覆われていますが、そんな青紫色の町もまた風情があって好きです。
足取りも軽く弾みます。
あ、こんなところに花が咲いてる。
あ、こんなところに運送会社がある。
いつもと違う角で曲がり、小さな発見を繰り返しながらお店に向かいます。
お店が見えてきました。
ぽつ
あ、雨粒が落ちたかな。
ぽつ
ぼつ
ぼつ、ぼつ、ぼつ
雨粒は、みるみるうちに大きくなってきます。
道行く人が走り始めました。服にも点々と大きな水跡ができてきました。
ぼつ、ぼつ、ぼつ、ぼつ、ぼぼぼぼぼぼぼ……
お店まであと100mほどのところで、夕立に取り囲まれてしまいました。
傘は持っていません。
夏だし、暑いんだし、濡れていこう。
そう決めて、デジカメと携帯電話が入ったバッグだけは濡れないように体でかばって、いつものお散歩ペースで歩きました。
辺り一面、無数の白い線がまたたくばかり。白い線は、雨粒が引いた残像。白く太い線が、数限りなく青紫色の町の中でまたたき、ゆらめき、アスファルトの道をたたきます。
服が濡れても気にしない。
髪が濡れても気にしない。
顔にかかる雨も気にしない。
雨に濡れるなんて、めったにできることじゃない。
だから、今日は雨に濡れる日。
青紫色の町の中を、雨に濡れて泳ぐ日。
お店に着いた頃には、服は絞れそうなほど濡れていました。顔にのっていた滴 (しずく) が頬 (ほお) を伝って落ちました。髪もシャワーを浴びた後のように束になりました。
濡れた、濡れた。ずぶ濡れになった。
お店の中は異様な冷気で満たされていました。強烈な冷房が生み出す人工的な空気です。何の味もしません。こんな空気が地上に存在していたことに、改めて驚きました。人々は、その異質な冷気の中に集まっていました。味のない冷気を吸いながら、味のない時間を排出していました。外で大粒の雨がお祭り騒ぎをしていたことも知らずに。
町の中には風が流れ、家の中よりずっと涼しいです。
空は一面青紫色の雲で覆われていますが、そんな青紫色の町もまた風情があって好きです。
足取りも軽く弾みます。
あ、こんなところに花が咲いてる。
あ、こんなところに運送会社がある。
いつもと違う角で曲がり、小さな発見を繰り返しながらお店に向かいます。
お店が見えてきました。
ぽつ
あ、雨粒が落ちたかな。
ぽつ
ぼつ
ぼつ、ぼつ、ぼつ
雨粒は、みるみるうちに大きくなってきます。
道行く人が走り始めました。服にも点々と大きな水跡ができてきました。
ぼつ、ぼつ、ぼつ、ぼつ、ぼぼぼぼぼぼぼ……
お店まであと100mほどのところで、夕立に取り囲まれてしまいました。
傘は持っていません。
夏だし、暑いんだし、濡れていこう。
そう決めて、デジカメと携帯電話が入ったバッグだけは濡れないように体でかばって、いつものお散歩ペースで歩きました。
辺り一面、無数の白い線がまたたくばかり。白い線は、雨粒が引いた残像。白く太い線が、数限りなく青紫色の町の中でまたたき、ゆらめき、アスファルトの道をたたきます。
服が濡れても気にしない。
髪が濡れても気にしない。
顔にかかる雨も気にしない。
雨に濡れるなんて、めったにできることじゃない。
だから、今日は雨に濡れる日。
青紫色の町の中を、雨に濡れて泳ぐ日。
お店に着いた頃には、服は絞れそうなほど濡れていました。顔にのっていた滴 (しずく) が頬 (ほお) を伝って落ちました。髪もシャワーを浴びた後のように束になりました。
濡れた、濡れた。ずぶ濡れになった。
お店の中は異様な冷気で満たされていました。強烈な冷房が生み出す人工的な空気です。何の味もしません。こんな空気が地上に存在していたことに、改めて驚きました。人々は、その異質な冷気の中に集まっていました。味のない冷気を吸いながら、味のない時間を排出していました。外で大粒の雨がお祭り騒ぎをしていたことも知らずに。