サルスベリの実がはじけていました。
殻には、それぞれの種を仕切っていた壁だけが残されていました。
部屋の住人は旅立ちました。
殻は、立派に役目を務め上げました。
余計なことは考えずに、ただひたすら種を守り、はぐくみました。
種が旅立ってから、いったいどれだけの時間が経ったのか。旅立つ種を見送った今は、安堵 (あんど) に包まれ、肌をひやりとなでる薄紫色の風に揺れるのみ。さみしくはありません。仲間がいるから。
殻には、それぞれの種を仕切っていた壁だけが残されていました。
部屋の住人は旅立ちました。
殻は、立派に役目を務め上げました。
余計なことは考えずに、ただひたすら種を守り、はぐくみました。
種が旅立ってから、いったいどれだけの時間が経ったのか。旅立つ種を見送った今は、安堵 (あんど) に包まれ、肌をひやりとなでる薄紫色の風に揺れるのみ。さみしくはありません。仲間がいるから。