みぃちゃんの頭の中はおもちゃ箱

略してみちゃばこ。泣いたり笑ったり

拡大成長の呪縛

2007年06月28日 19時15分58秒 | お仕事・学び
ERIKAのCD「FREE」を予約しましたが、手に入るのは早くて7月3日。まだ1週間も先です。それまで指をくわえて待っているのは耐えられません。YouTubeにプロモーションビデオがアップロードされていたので、CDが手に入るまではこれを聞いて楽しむことにします。

YouTubeは著作権の問題が取りざたされ、規制も議論されていますが、予約したもののまだ発売されていない曲を聞いて楽しむのは構わないでしょう。実際に聞いてみてCDやDVDの購入に至るケースも多いはずです。

ところで、なぜコピー品で満足してしまう消費者がいるのでしょうか。私は、コピー品で満足されてしまうのは元々のクオリティが低い証拠だと考えています。本当にいいものならお金を出すはずです。1週間ほど聞くと飽きてしまうような曲に誰がお金を出すでしょうか。

音楽も大量生産大量消費の流れがすっかり定着し、ほとんど使い捨て (聴き捨て?) の様相を呈しています。音楽業界は次から次へと歌手やバンドをデビューさせては矢継ぎ早に新曲を発表させます。その中で、5年後、10年後、20年後にも受け継がれる曲は果たしてどれくらいあるでしょうか。記憶に残るミュージシャンは何人いるでしょうか。楽曲だけでなく、人間であるミュージシャンも使い捨てになっています。

また、最近のテレビアニメは、最終回に至るまでに主題歌が何回か入れ替わります。主題歌が変わるたびに、視聴者がCDやら着メロやら着うたやらダウンロードやらにお金をつぎ込み、制作元がもうかる仕組みになっています。そこまでして売上を立てなければならないのでしょうか。

中古CDショップの店頭では、CDが100円や200円で投げ売りされています。音楽業界は大量に販売されたCDの末路をどう考えているのでしょう。

消費者の財布の中身を何とかして搾り取ろうと躍起になる音楽業界。あまり利己的な経営姿勢に走ると、消費者は離れてしまうのですが。

消費者の音楽離れは、かつて小室哲哉が経験しています。

当時、既にカラオケが娯楽として一般化していました。カラオケは社交のひとつとして定着しており、サラリーマンやOL、学生などが交流する場になっていました。

消費者は、カラオケで互いに歌を披露し合います。難しい曲を歌えれば皆の注目を集めることができます。しかし、難しい曲を歌いこなすには、それなりの練習が必要です。練習するためにはCDを買わなければなりません。

ただし、そのままではCDの販売数は増えません。歌を上手に歌えるようになれば、特にCDを買って練習する必要はなくなりますから、消費者は自分の聞きたいCDを買うだけにとどまり、カラオケのためにCDを買うことはなくなります。

これではCDが売れない。利益も拡大しない。

そこで考えられた戦略が、歌を少しずつ難しくしていくこと。そうすれば、消費者はいやおうなしにCDを買って練習せざるを得なくなります。

こうして、新曲が発表されるごとに、歌が少しずつ難しくなっていきました。

歌はどんどん難しくなり、ついには専門的な声楽の訓練を受けなければ発声できないほど音域が広がってしまいました。

それでも追従して歌いこなす消費者がいたことは驚異的ですが、多くの消費者の心は次第に小室ファミリーから離れていきました。

絶頂を極めた小室ファミリーが没落した背景には、このような消費者離れも潜んでいました。

音楽業界は小室ファミリーの件から何を学んだのでしょうか。そろそろ売り手の論理を優先して粗製濫造する姿勢を見直すべきではないでしょうか。

そう言えば、ゲーム業界も同じ失敗をしていました。ビデオゲーム (テレビゲーム) をどんどん難しくしていった結果、顧客が特定のマニア層に絞られてしまい、かえってマーケットが縮小したことがありました。

その反動か、現在ニンテンドーDS用として売り出されているゲームはかなり裾野 (すその) が広くなっています。ただし、脳トレと称して販売しているソフトが多いことが気がかりです。今、消費者の間には、認知症など脳の機能低下に対する危機感が広がっています。その危機感に乗じて脳トレゲームを販売する姿勢は、健康食品や化粧品の販売手法に通じるものがあります。

現代社会では、どの業界も消費者を食い物にしている気がしてなりません。

企業は、そこまでして業績を向上させ続けなければならないのでしょうか。拡大成長は永遠に続けなければならないのでしょうか。

純粋に聞きたいから聞く音楽、純粋に楽しいからプレイするゲーム、というものはごく少数です。そのような純粋に楽しむ商品は経営には組み込みにくいでしょうが、大切な柱のはずです。忘れないで欲しい。


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