遺伝子と、サムシング・グレートは興味深く読んだ。
語り口もやさしく、筆者は女性かと思わせるやわらかさだった。
ただ、胎児や新生児は、強い感受性をもっているので、教育の原点は乳幼児期のおける
家庭教育、特に母と子との人間的な触れ合いにある。
仕事と子育てのどちらをとるか迷う女性に、子育てに誇りを持てといっているのが気になった。
子育てのために、自分の人生が犠牲にされたように、思うのは、とんでもない思い違いだと。
これでは、仕事に生きがいを持ち、子育ては、第3者の手助けを得なければなりたたない女性にとっては、子どもに悪いことをしていると、悩む人も出るだろう。
こどもに悪いと思う女性の気持ちが、生活に影響し、子どもの胎児にも影響するというのであれば、子そだてを自分だけで担わないことで、罪悪感を持ってしまったら、それはそれで、子どもに影響する場合を無視している。
子育てを社会で担う、子育てを地域でも担うということは、それなりに有意義なことのはず。
こどもは生まれてから死ぬまで、家族とだけで暮らすわけではないのだから。
愛情というものは、触れ合いの時間の長さも影響するが、濃度がもっとも大切だと思っている。
家庭のなかで、48時間自分のこどもだけで向き合っているのは、人によっては、苦痛に思ったり、ちょっとは、離れてみたいとか、思うもの。
適度な距離をおけるというのも、新鮮な気持ちになったり、スイッチが入れ替わったりという良さもある。
時間だけべったりの母子というのが最善だとは思わない。
時折、虐待とか育児放棄のニュースもある。
誇りを持つだけで乗り越えにくいことだってある。
母親なんだから、親なんだから当然、まして、大事業なんだからと押し付けるのは、違うと思う。
遺伝子からのメッセージ
「こころ」と「からだ」の関係をやさしく解く
村上和雄
朝日文庫