<新型コロナ>第5波の医療現場「受け入れもう限界」 埼玉医科大総合医療センター・岡医師が警鐘
2021/08/07 07:36
(東京新聞)
新型コロナウイルスの感染「第五波」で病床が逼迫(ひっぱく)し、医療現場の危機感が高まっている。中等症以上の患者を受け入れる埼玉医科大総合医療センター(川越市)の岡秀昭医師(感染症科)に状況を聞いた。(近藤統義)
「先週は一日で六人のコロナ患者が入院した日もあった。受け入れ能力はもう限界で、現場の負担は冬の第三波を超えて今までで一番だ」。岡医師は第五波の猛威をこう語る。
同センターですぐに入院できる即応病床は二十三床(重症用二床、中等症用二十一床)。四日時点で二十二床が埋まり、ほぼ満床だ。これ以外の確保病床として、重症用の集中治療室(ICU)四床、仮設病床十床も今週から稼働させた。
仮設病床には症状が改善した四人を移し、感染症科以外の医師が対応する。「がんや心臓病なども診ないといけない中、何とかお願いして来てもらっている。確保病床を全て動かすには他の診療を停止する必要も出てくる」と危ぶむ。
岡医師によると、第五波の特徴は「どこにでもいる普通の中年の入院が多いこと」。ワクチン接種の効果で高齢の患者が減る一方、現在は四十〜五十代が約八割を占める。
四十〜五十代の患者は中等症から回復すれば、高齢者に比べて入院期間は短い。「これなら楽だと思うかもしれないが、退院してもすぐに新たな患者が入ってくる。次々と客が入れ替わる牛丼屋さんのようだ」
重症の場合、高齢患者は本人や家族が人工呼吸器の装着を望まないケースも少なくなかったが、四十〜五十代はほぼ全てが呼吸器での治療になる。「人の命に差はないが、必ず助けないといけないプレッシャーは強い」と明かす。