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死亡した三菱ふそう社員、5年半前の決定覆し過労死認定…「月80時間」未満でも過酷な環境考慮

2022-09-25 07:23:49 | ニュース
死亡した三菱ふそう社員、5年半前の決定覆し過労死認定…「月80時間」未満でも過酷な環境考慮
2022/09/25 05:39
 三菱ふそうトラック・バス(川崎市)の京都支店で2015年、勤務中に体調不良になり、急性心不全で死亡した男性社員(当時38歳)について、京都下労働基準監督署が5年半前の労災不認定の決定を覆し、今年6月に労災認定したことがわかった。男性は「過労死ライン」以下だったが、高温多湿の過酷な環境で整備作業に従事しており、厚生労働省が昨年改定した労災認定基準に照らし、過労死と判断された。

 遺族の代理人弁護士によると、新基準での認定見直しは珍しいという。
 男性は京都支店(京都府向日市)で自動車整備に従事していた15年7月、体調不良を訴えて入院し、その日に死亡した。同労基署は16年11月、亡くなる直前2か月の時間外労働が平均月74時間で、過労死ライン(月80時間)に満たないとして、遺族からの労災申請を退けた。

 厚労省は働き方の多様化などを受け、昨年9月に約20年ぶりに労災認定基準を改定。新基準でも過労死ラインは維持されたが、過労死ラインだけで線引きせず、達していなくても、作業環境や休日のない連続勤務など労働時間以外の負荷も総合的に評価して労災認定することを明記した。各労働局に、認定を巡って係争中のケースは新基準を踏まえて対応することを求めた。

 男性の遺族は19年12月、国に決定の取り消しを求めて京都地裁に提訴して係争中で、京都下労基署は改めて検討。時間外労働に加え、車の洗浄作業で、空調設備がない工場で50〜60度の高温のスチームを使っていたことから「著しい疲労の蓄積をもたらす過重労働が認められる」とした。

 今回の認定を受け、遺族は訴訟を取り下げる方向で国側と協議しているという。代理人の立野嘉英弁護士(大阪弁護士会)は「これまでは残業時間数のみが重視され、それ以外の負荷要因が考慮されることは少なかった。今回、暑熱環境の負荷を考慮し、労災認定されたことは非常に大きな前進といえる」と話した。

 三菱ふそうトラック・バスは「ご冥福めいふくをお祈りするとともに、ご遺族に心より深くおわび申し上げます。労災認定事案を重く受け止め、労務管理を徹底していきます」とコメントした。

 ◆過労死ライン=長時間労働を原因とする労災認定の目安。国は2001年に定めた脳や心臓の病気を発症した場合の労災認定基準で、▽発症前1か月におおむね100時間▽発症前2〜6か月の月平均が80時間を超える――との時間外労働の時間数の目安を示し、その過労死ラインに達しているかを中心に認定の是非が判断されていた。
両親「息子にはいろんな人生あったのに」

 男性の両親(70歳代)は取材に対し、「ようやく、あるべき認定がされたけど、うれしい気持ちにはなれない。生きていたら、息子にはいろんな人生があったのに」と複雑な胸の内を語った。
 男性は高校卒業後、専門学校で勉強し、整備士の資格を取った。自宅には自動車関連の専門書が何十冊もあり、頼まれた仕事は断れない真面目な性格だった。

 同居する両親に数年前から「残業が多くて、しんどい」と漏らすようになり、高温のスチームを使った洗浄作業で熱中症で倒れたこともあったという。
 2015年7月の死亡直前には人員不足から、帰宅が午前2時や3時になり、同僚にメールで「最近死ぬまで働かされて疲れもとれない」と打ち明けていた。

 しかし、16年に労災と認定されず、訴訟などで闘ってきた。遺骨はいまも納骨できずにいる。母親は「会社は社員が死ぬまで追い詰めるのではなく、健康管理や仕事をしやすい環境を整えてほしい」と訴えた。
係争中事例も見直し対象

 労働基準監督署への労災申請が認められなかった場合、3か月以内は管轄する労働局へ審査請求でき、棄却されても、2か月以内は国の労働保険審査会への再審査請求が可能だ。審査請求から3か月が経過しても決定が出なかったり、再審査請求が退けられたりした場合などに決定の取り消しを求めて訴訟を起こせる。

 新基準を踏まえた対応が必要な係争中のケースとは、こうした事例を指す。勤務中に脳出血を発症し、左半身まひの障害を負った居酒屋従業員の男性に対し、昨年12月に柏労働基準監督署(千葉県)が一転して労災認定したのが、新基準に基づいて見直した初めての事例だった。



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