首都直下地震で最も危ないエリアは? 東京都がランキング更新
2022/09/24 10:00
(毎日新聞)
首都直下地震の発生が懸念される東京都は、町(丁目)ごとに地震による建物倒壊や火災発生の危険性などを評価し、5段階にランク付けした「地域危険度」を4年半ぶりに更新して公表した。都内では建物の耐震化や不燃化が進み、全体の危険度は低下しつつある一方、荒川、隅田川沿いや品川、大田、中野、杉並各区の一部では危険度が高い地域が広がっていることが浮き彫りになった。
既に市街地を形成しているか、今後10年以内に開発される見通しの「市街化区域」の5192町(丁目)が調査対象で、同じ揺れの強さに遭遇した場合を想定して算出。「建物倒壊危険度」「火災危険度」「総合危険度」の3種類でランク付けをした。総合危険度は建物倒壊危険度と火災危険度を合算した上で、災害活動に必要な空間の量、道路の整備状況から、避難や消火・救助活動のしやすさなどを加味して算出した。
◇荒川、隅田川沿いの下町の危険度高く
総合危険度では、最も危険度が高いランク5は85カ所あった。1位は都電荒川線の町屋駅前駅の南西側にある荒川区荒川6(前回3位)。2位も荒川線町屋二丁目駅北側の荒川区町屋4(同1位)、3位はJR北千住駅東側の荒川沿いにある足立区柳原2(同11位)だった。荒川や隅田川が近い荒川、足立、墨田、葛飾など23区東部の6区の街がランク5のうち4分の3を占めた。危険度上位には、品川区南西部、大田区中央部、中野区、杉並区東部なども含まれている。
総合危険度で相対的に最も安全とされた場所は12カ所あった。中央区浜離宮庭園や葛飾区水元公園、多摩動物公園がある日野市程久保7など、大規模公園の付近が目立った。
建物倒壊危険度の高い地域は、比較的弱いとされる地盤の上にあり、古い木造の建物が密集している23区東部などに分布している。墨田区京島2と京島3、足立区柳原2の順で危険度が高かった。火災危険度の高い地域は足立区柳原2、荒川区荒川6、墨田区京島2の順で高く、耐火性の低い木造住宅が密集している環状7号線の内側を中心にドーナツ状に分布。このほかJR中央線沿線にも、火災危険度の高い地域が広がっている。
都は地域危険度の調査結果を1975年から公表している。おおむね5年ごとに更新しており、区市町村の道路、公園の整備や建物の耐震化、不燃化を進め、災害に強いまちづくりを進める目的で活用している。
前回2018年2月の公表時に比べ、都全体の傾向として建物倒壊の危険は約2割、火災の危険は約5割減少し、ほとんどの地域で危険性は下がっている。しかし、ランク付けは相対評価のため「ランク5」は前回と同数とした。都市整備局の担当者は「危険量は全体として減少しており、市街地の防災性は向上している」と話している。詳細は同局のホームページ(http://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/chousa_6/home.htm)に掲載されている。【柳澤一男】
■総合危険度ランク上位10町(丁目)
順位 区市町 町丁目 前回順位
1 荒川区 荒川6 3
2 荒川区 町屋4 1
3 足立区 柳原2 11
4 足立区 千住柳町 2
5 墨田区 京島2 7
6 墨田区 墨田3 5
7 足立区 千住大川町 4
8 江東区 北砂4 8
9 墨田区 押上3 12
10 足立区 関原2 20
■総合危険度が最も低かった12町(丁目)
▽千代田区千代田
▽中央区浜離宮庭園
▽足立区入谷町
▽足立区舎人町
▽足立区西伊興町
▽葛飾区水元公園
▽江戸川区堀江町
▽立川市上砂町7
▽昭島市もくせいの杜2
▽同 もくせいの杜3
▽調布市野水2
▽日野市程久保7
※順位は5181位