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福島駅切り付け、高校生が「自分がやるしかない」と刃物男に馬乗り…担任教諭「責任感が強い」

2021-11-19 07:06:08 | ニュース
福島駅切り付け、高校生が「自分がやるしかない」と刃物男に馬乗り…担任教諭「責任感が強い」
2021/11/18 07:42


(読売新聞)
 JR福島駅西口広場で80歳代の女性が刃物で切りつけられた事件で、現場でT容疑者(69)を取り押さえた福島市の県立高校2年の男子生徒(17)が、当時の様子を振り返った。

 事件が起きたのは15日午後3時50分頃。普段は自転車通学で福島駅に立ち寄ることはないが、この日はたまたま友人と駅構内の飲食店に向かった。

 駅西口の駐輪場に自転車を止めて広場に行くと、15メートルほど前から青い上着を着たT容疑者が刃物を持ち、ゆっくりと歩いて来た。「何をしているのだろう」と思った直後、花壇の縁に座っていた女性の腹部を刃物で切りつけた。「キャー」という女性の甲高い悲鳴が響いた。10月末に東京都の京王線車内で起きた刺傷事件を思い出した。

 現場にいた人が一斉に逃げ出す。その中、T容疑者は平然としているように見えた。そのとき、一人の男性が背後から容疑者を突き飛ばした。横向きになって倒れ込んだ瞬間、「自分がやるしかない」と背中に飛び乗った。

 相手の手の届きそうなところに刃物が見えた。素早く手にとって離れた場所に置いた。馬乗りのまま、相手の両手首を「ぎゅっ」とつかんだ。ドクドクと脈打つ感じがはっきりわかった。ぶつぶつと何か言葉を発しているが、聞き取れない。それより立ち上がろうとするのを押さえることに必死だった。やがて無言になると、抵抗も収まった。頭は冷静だったが、途中から足が震えてきた。警察官が来るまでの約5分間が長く感じた。

 警察官に引き渡し、感謝の言葉をかけられたとき「けが人が増えなくてよかった」と達成感もあった。ただ、「一歩遅れていれば刃物を手に立ち上がり、自分がけがをしていたかもしれない」と思うと、怖くなった。

 事件の後、警察官からは「警察官になりなよ」と言ってもらったが、将来の夢は「まだ白紙」という。

 高校の担任の30歳代男性教諭によると、クラスではホームルーム委員を務め、責任感が強い。教諭は「けがをせず、自分の命を大切にしながら困っている人を助けたことは立派」と称賛した。
出所直後に事件繰り返す

 JR福島駅西口広場で15日夕、80歳代女性が刃物で切りつけられた事件で、傷害容疑で逮捕された住所不定、無職T容疑者(69)が以前にも出所直後に事件を起こしていたことがわかった。

 捜査関係者によると、T容疑者は2009年6月、住んでいた福島市のアパートに火をつけたとして、現住建造物等放火容疑で逮捕され、その後、裁判で実刑判決を受けた。T容疑者は出所した直後の17年9月、市内のコンビニ店で強盗未遂事件を起こし、今回の事件の数日前に出所したばかりだった。
 T容疑者は容疑を認めており、福島署は動機などを調べている。

 福島署は17日、T容疑者を福島地検に送検した。


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