記事抜粋ーーーーーーーーーーー
少女がこぼした。
「帰るところ、なくなっちゃった」
かぶったままのコートをぎゅっと握りしめた。痛みと強がりの混じった、か細い声だった。
わが子を傷付ける親がいる。受け入れられない親がいる。育てられない親がいる。
「この親たちも同じように育てられたんやな」。
負の連鎖は必ず断ち切る。
子どもたちが失った時間を積み直す。
裏切らない大人がいると伝えたい。ここにいる間に気付いてほしい。
「あんたは存在価値があるんやで。生きてていいんやで」(敬称略、子どもは仮名)
【児童養護施設】虐待や経済的困窮、死別などが原因で、こども家庭センター(児童相談所)に一時保護された子のうち、家庭に戻れない2〜18歳(原則)が入所する施設。2017年4月時点で全国に602施設あり、兵庫県内は32施設。近年、児童虐待が増加傾向にあり、児童養護施設にいる子の約6割が虐待経験があるとされる。里親や里親ファミリーホーム、児童自立支援施設などを含め「社会的養護」と呼ばれる。
(記事・岡西篤志、土井秀人、小谷千穂:写真・三津山朋彦)