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北海道の建設現場で建材に含まれるアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫を発症したとして、元建設労働者や遺族計33人が国とクボタなど建材メーカー41社に計9億6250万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、札幌地裁であった。内野俊夫裁判長は「国は1980年までに防じんマスクの使用を雇用主に通達しなければならなかった」と判断し、国に1億7600万円の賠償を命じた。建材メーカーの責任は否定した。
建設現場のアスベスト被害をめぐり、全国6地裁で争われた集団訴訟で最後の判決。国の責任を認めた判決は5件目となった。メーカーの責任を認めた判決もあり、各地の高裁で訴訟が続いている。
内野裁判長は「国は専門家の報告書が労働省(当時)に提出されるなどした79年までに、石綿関連疾患を認識できた」と指摘。「翌80年中に防じんマスクなどの防止策を講じなかったことは、作業員らの生命に関わり、許容される限度を超えている」と批判した。
一方、メーカーの責任については、原告らが建設現場で使用した建材のメーカーを特定できないとして請求を退けた。その上で「疾患発症による損害を補填(ほてん)するため、何らかの制度を創設する必要があるが、立法府や行政府の政策判断を待つしかない」と指摘した。
同様の訴訟では、これまで東京、福岡、大阪、京都の4地裁が国の責任を認め、京都地裁はメーカーの責任も初めて認定。横浜地裁は国、メーカーの責任をいずれも否定している。
厚生労働省の話 厳しい判決と認識している。判決内容を十分検討し、関係省庁と協議した上で対応したい。