無免許運転事故の木下都議 当選2カ月「体調不良」で姿見せず 受領した議員報酬など264万円
2021/09/04 11:22
(東京新聞)
東京都議選(7月4日投開票)の期間中に無免許運転で人身事故を起こし、都議会で辞職勧告決議を受けた木下富美子議員(54)=2期、板橋区=が、当選から2カ月たった今も公の場に姿を見せていない。都から支払われた議員報酬などはすでに約264万円に上り、都議会の対応も問われる事態となっている。(小倉貞俊)
◆郵便物、資料が山積み
都庁本庁舎に接する都議会議事堂・4階北側の1室。扉の横には「SDGs東京」と会派名の記されたプレートが貼られている。事故の発覚後、都民ファーストの会を除名された木下氏が1人で立ち上げた無所属会派の控室だ。部屋の前のラックには、未回収の郵便物や配布資料が山積みに。都職員は「部屋の鍵は代理の人に渡したが、使われた形跡はない」と困惑する。
木下氏はこれまで、再選後に発覚した事故の経緯を公の場で説明していない。免許停止となった理由も明らかにしてない。7月8日、自身のホームページで「今後についてはいただいた票の重みを踏まえ熟考を重ねてまいる」などと記したのみにとどまる。
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◆小池知事「決議は重い」
都議会はこうした木下氏の姿勢を疑問視し、同23日の臨時会で本人欠席のまま全会一致で辞職勧告決議案を可決。都民ファの特別顧問でもある小池百合子知事は、都議選の選挙公報に「創意工夫で課題解決に取り組む木下さんとともに闘い続けます!」との激励メッセージを寄せていたが、同日の決議を受け、報道陣に「決議は重いということをしっかり受け止めていただきたい」と述べた。
木下氏は8月18〜20日の都議会臨時会も「体調不良」を理由に欠席。決議への対応も見せないままだ。都議会局によると、当選後の木下氏には月ごとの議員報酬(81万7600円)と政務活動費(50万円)をともに2カ月分、計約264万円が支払われている。
◆区民有志が除名決議の陳情
地元選挙区である板橋区では、区民の有志が都議会に「木下氏の行為は都民を裏切るものだ」などとして、議員の身分を失わせる除名決議を求める陳情や、知事に説明責任を求める請願を出すなどしている。提出者の自営業女性は「都議のみなさんの良心を待つしかない」と話す。
今月22日には木下氏が所属する都議会公営企業委員会が、28日には本会議が予定されている。主要会派のある幹部は「この状況を放置していれば、都議会の姿勢も問われかねない。除名処分や百条委員会など、どのような対応ができるかを検討していくことになる」と話した。
本紙は木下氏に問い合わせをしているが、連絡が取れない状況となっている。
◆木下都議の無免許運転人身事故 東京都議選投開票日2日前の7月2日、板橋区内の交差点で停車中の乗用車に衝突し、運転手らに軽傷を負わせた。運転免許停止期間中の事故だった。翌5日に報道で発覚し、所属する都民ファーストの会に報告。6日、都民ファからの除名が正式決定。警視庁は、自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反(無免許運転)の疑いで捜査を続けている。