園児の足つかみ宙づり 静岡・裾野の私立保育園で虐待 保育士は退職
2022/12/01 06:00
(毎日新聞)
静岡県裾野市は11月30日、臨時記者会見を開き、同市公文名の私立「さくら保育園」(定員120人)で1歳児に対する複数の虐待行為があったと発表した。30代の女性保育士3人が今年6〜8月、園児の足をつかんで宙づりにしたり、頭をバインダーでたたいて泣かせたりしていた。園によると3人は事実関係を認めており、30日までに全員が退職した。市と県は近く、園に対する特別指導監査を行う予定で、関係者に対する刑事告発も検討する。【石川宏】
市によると、8月17日に市へ通報があった。通報者保護の観点から身分などは明らかにしていない。
22日に市の担当者が園長と面談したところ、園は同日中に事実関係を認め、25日に調査報告書を市に提出した。虐待行為をした3人はいずれも1歳児担当。宙づりや頭をたたいた以外でも、泣く園児を私有携帯電話で撮影▽寝かせつけた園児に「ご臨終です」と発言▽ブス、デブなどの暴言を浴びせる▽おもちゃをしまうための暗い屋内倉庫に閉じ込める▽カッターナイフを見せて脅す――などの行為を確認したという。
園は8月24日に3人を自宅待機とした。9月9日に退職勧奨などを行ったところ、1人は9月末で、2人は11月末で退職したという。
さくら保育園の桜井利彦園長は「管理不足で、状況を把握できず、虐待行為に気づくのが遅れた。泣くことしかできなかった子供や保護者には本当に申し訳ない。園を選んだ保護者を裏切ってしまった」と語った。
村田悠(はるかぜ)・裾野市長は「大変強い憤りを感じる。街の宝である児童を守れなかったことに、私立保育園を指導する立場として深くおわびする」と陳謝した。また、8月に事態を把握しながら発表が遅れた点については「私に報告があったのは11月28日だったが、8月22日の時点で記者会見を開くべきだった」と述べた。