FPアソシエイツ&コンサルティングの方に「こんなの書きました」とメールしたら返信もいただいたので、それもふまえての再考。返信内容そのものはここには書きません。
ファンドの資料はこちら
まず、最初にこのファンドは「ファイナンシャルプランナーの考え方をカタチにしたファンド」であると謳っています。
どんなファンドにせよ、まず重要なのはその運用方針であり、実際のパフォーマンス云々よりも、その運用方針どおりの運用が実際に行われているかどうかが重要なわけです。
資料の中で、FP(ファイナンシャルプランナー)を「個人(生活者)の資産運用や資産管理のパートナーとして、生活者がライフプランを実現していく上で必要となる経済面での裏付け作りのためのサポートあるいはアドバイスをしてくれる人」としています。
とすると、これは意味的に矛盾しないのかなというのが基本的な疑問点として浮かびます。
というのは、FPが対象とするのは個人だけとは限らないと思いますが、その個人なり団体なりの資産運用、資産管理はその目的や意味というのがそれぞれ個々に異なるはずで、その個々に異なるニーズに対応したようなサポート、アドバイスを行うことがFPの本質。だとすると、あらかじめアセットアロケーションの比率を定めたファンドでは当然そのニーズを満たせることにはならないと考えられます。
では、ここで言われている「「ファイナンシャルプランナーの考え方」とは何かというと、「値下がりリスクの低減を重視した世界分散投資」ということにあるようです。
ファイナンシャルプランニングを考えるに当たっての基本はここにある、だからそれを形にしたのがこのファンドであると言われれば、大枠としてそれはそう言えるかもしれないけれど、やはり少々無理があるという感じがします。
では、このファンドはどういう人に向くのか?。どういう意味があるのか?。
個別の商品を組み合わせて、自分でアセットアロケーションについて考えその調整を行っていこうとするのであれば、このファンドは不要です。私自身はこれに該当。
特定のセクターの投資しようとするようなファンドではないのでそういうニーズに応えるものではない。
とすると、資産運用についてこれまであまり考えてこなかたが、これから漠然とその必要性や意味について考えているような「資産運用入門」的な人に適しているということになるかもしれません。このファンドであれば、いきなり株式の個別銘柄に投資して痛手を被るようなことはないでしょう。
であれば、このファンドの運用において重要となることはなんでしょうか。
運用そのものはあらかじめ定められた比率に従っての運用、必要に応じたリバランス等ということになるでしょうから、実直にこれを行っていくことになるでしょうが、運用報告などをわかりやすく丁寧に行っていくことが求められるのではないでしょうか。
週次ベースでは資料にあるような運用報告書でもかまいませんが、四半期程度の期間では、ファンドの値動きと組み入れたセクターの値動きの関係、何のどういう動きがファンド全体の価値にどういう影響を及ぼしたのか、それは世界の経済の動きなり市場の動きとどうリンクしているのか、などといった、いわば「学習資料」的な意味での解説を詳しく行うとよいのではないかと思います。半期、1年など、期間によって、この解説の視点もやや異なってくるとは思いますが、このあたりは工夫のしどころかなと思います。
つまり、ファンドを資産運用やアセットアロケーションについて考えるための学習の場とすること(これは単に本を読んだりするよりも実際に自分自身が何かに投資していてそれについて考える方が絶対身に付くと思います)、運用する側もこのことを意識しておくことが重要ではないかと思います。顧客の側で疑問点や不明点があったらそれに対して回答できるような窓口が開かれていることも意味があるかと思います。
このファンドを入り口として、そこから自ら学習しつつ、投資のスタンスを定めて、低コストの個別商品運用へと幅を広げていけるようなことがあったとすれば、それは意味、意義のあることだと思います。逆に言えば、そういう可能性がある商品としてとらえられるということです。
そのためのコストが比較的低い信託報酬だとすれば納得できます。個別の商品で運用しても運用コストはかかりますし、そのレベルはこのファンドよりも高くなる場合もありますし。
ただ、相対的に低いとはいえ(つまり販売する側としてはモチベーションが低くなる)、販売手数料は買う側からはさらに低いか0であるにこしたことはありません。
健闘を祈ります。