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夜中から降り出した雨は雪となり、翌日朝には20cmを越える積雪となった。
紋別へ行こうかどうしようか迷ったが、先延ばしは自分の首を絞めるとばかり紋別行きを強行。
タイヤ交換の際に 「もうだいぶ来てますね。 交換はしますが、夏タイヤで走るつもりで運転してください」と言われた。
それほどすり減ったスタッドレスタイヤ。 しかし行かぬわけにはいかぬ。
後続車の迷惑考えず、ちんたら走って紋別往復。
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紋別へ打ち合わせの帰り道、沼ノ上付近で目撃。
道路の脇へ車が落ちている。 ヘッドライトも、テールランプもついている。
まさに 落ちたばっかり のようだ。
通過。
・・・
バックミラーに映る事故車。
そして、それを横目に見ているだろうに、通過する何台もの車。
交通量は多く、反対車線も含め、ひっきりなしに車が通過するのに、誰も止まろうとしない。
「あぁ、落ちてるわぁ~。 大変だね~、あはは・・」
そんなことを言いながら、通り過ぎるのだろう。
関わりたくないのか。 面倒なのか。
だが、自分もまさにそれらの車の一台だ。
事故車を無視して通過して、数百メートル離れたこの場所を走っているのだ。
ここで知らん振りは、後悔する。
車を止めた。
「戻るの?」
同僚が言った。
「戻る。 気になる。」
戻った。
uターンし、来た道を戻り、車の落ちている場所で停止。
息子が先に降りて声をかけにいった。
後ろのドアから降りようとして、(普段から運転席への乗り降りはセカンドドアからしている) 足元に荷物が散乱しており、私は降りるに降りられずもたついた。
やっとのことで車を降りて近づくと、落ちた車の運転席の窓を開け、息子と会話をしていたのは60くらいと見られる女性。
「怪我はないですか?」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」
「連絡は?」
「今、紋別へ連絡してもうすぐ来てくれると思います」
よかった。 どうやら怪我もないようだし、声も元気だ。
放置するのも気が引けて、そのまま助けが来るまで少し待とうかと思ったが、彼女を見たところそれ以上いる必要もなさそうなので、車に戻ることにした。
がんぼ車の前まで戻ったら、
対向車が一台、 止まった。 窓を開け30くらいと見られる男性が顔を出した。
「大丈夫ですか? けが人は?!」
該当車両はそっち。 反対側で落ちてる車。
尋ねるなら、反対側の窓を開けて聞いてくれ。
どうやら、私の車と接触し、そのために道路逸脱したと思われたらしい。(笑)
「大丈夫です。私も心配で見に来たんです。」
「あぁ(笑) (反対側の落下している車を見て、改めて私に) 車の人、怪我はないです?」
「大丈夫のようです。今さっき紋別へ連絡して助けが来るのを待っているそうです。」
この車も走り出した。
念のため、「何かあったら、もし助けが来なかったら連絡を」 と名刺を渡してきた。
遠軽へ戻ってからも、もし連絡があれば走るつもりだった。
3時間たち、何もないのできっと紋別へ無事に戻ったのだろう。
現場へ戻ったとしても、 何ができるわけでもないかもしれない。
だが、 「困っている人がいるかもしれない」 と思った時、私も息子も黙っていられる性格ではないようだ。
息子も後から、 「あの時、そのまま帰っていたら、きっと後悔していた」 と話していた。
落ちた車と運転者が無事だったからよかった。
もし、事故情報があとからわかり、車に乗っていた人が 「死亡」 とか聞かされたら、 「あの時、戻って声をかけていたら助けられたかも」 と後悔するのだ。
きっとこの思いは、これからも死ぬまで持ち続ける。
それでいいのだ。