次世代超音速旅客機

 超音速旅客機(SST)と聞けば、誰もが2003年に商業運行を終了した不運な怪鳥「コンコルド」を思い浮かべることだろうが、なんだか既に過去のものとなってしまった感のある「超音速旅客機」の文字を、今日久しぶりに目にした。日本とフランスの航空宇宙工業会が次世代の超音速旅客機(SST)の共同研究で合意したのだという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050614-00000131-mai-bus_all

 現在フランスで開催中のパリ航空ショー会場で共同研究合意の調印をしたという報道だが、そのパリ航空ショーの今回の「目玉」は何と言ってもエアバス社が開発した最大850人乗り(3クラス国際線仕様では450~550人)2階建の超大型旅客機A380。低コスト・大量輸送の新しいアイコンであるA380おひろめの場で、超高速度ではあったが超高コスト・少量輸送のコンコルドの後継ともいえる次世代SSTの共同研究スタートの調印と言うは面白い。

 今回の共同研究では、具体的には200~300人乗りで、現在12時間かかっている東京-ニューヨーク間を6時間程度で結ぶ音速の2~2.4倍の速さで飛行することを想定しているという。速度はほぼコンコルドと同程度だが、乗客数は2~3倍。おそらくは相当低騒音・低公害・低燃費のものであり、現在のビジネスクラスを少し上回るほどの、現実的な運賃での運行が可能な機体となることだろう。

 今回の合意はあくまでも「共同研究」についてであって「共同開発」ではない。実用化までには10年以上はかかるだろうから、具体的な開発に入る前の基礎研究的な色彩が強いが、石川島播磨重工業・川崎重工業・三菱重工業・NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が開発を進めているSST用エンジンや、世界一と言ってもよい炭素繊維を中心とした日本の複合素材技術を仏側が高く評価してのことであろう。

 世界の中・大型旅客機市場がボーイングエアバスの2社が寡占している中で、この2社抜きのプロジェクトに日本の航空産業各社が積極的に関わっていく意味は大きい。10年後、航空機の新しい分野である超高速かつ低公害、低コスト・中量輸送の分野で日本が確固たる地歩を築いていることを大いに期待したい。


 いつもながら、話題とは何の関係もない今日の1枚は、平日だと言うのに泊りがけで出かけてきた、雨もよい(も良いに非ず、催)の城ヶ島の磯。「利休鼠」の海。
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