ブラウン管は死なず?

 液晶やプラズマなどの薄型テレビが1,000万台も売れた(2008年)一方、かつてはこれ以外のテレビはなかった、ブラウン管(ドイツのカール・フェルディナント・ブラウンが発明したからブラウン管。構造的上の特徴から陰極線管(Cathode Ray Tube、カソード・レイ・チューブの省略形でCRTとも呼ばれる)方式にテレビの販売が2008年は25万台、そして2009年には更に少なくなり統計上はゼロになりそうだとのこと。

 それでも今日の神奈川新聞には「脇役は死なず」の記事が掲載されている。量販店などでもすっかり見かけなくなったブラウン管を使ったテレビだが、それでも同じ20インチの薄型の5~6万円に対してブラウン管は2~3万と半額程度であることから小さくても一定のマーケットが存在しているとのこと。ただし、このマーケットもアナログ放送終了と同時に消滅するんだろうな。

 過去にもそして今も同じようなことがある。それは30年前のLPからCDへの転換、そしてここ数年のカメラのフィルムからデジタルへの転換である。スピードは多少ゆっくりではあるが、CDからデジタル配信(ダウンロード)への転換も進みつつある。

 音楽について言えば、勿論マーケットとしては小さなものだけれど、ここ数年LPの復活か見られる。写真についても2,400万画素のカメラが登場しコマーシャルの分野でもデジタル化が一気に進んでいる中にあっても、フィルムで撮ることにこだわる一部のプロとアマチアは一定の数、存在する。でも、ブラウン管に固執する映像ファンはいないだろうな。

 ただ、高性能の液晶ディスプレイが登場しても妥協を許さないプロの世界ではいまだにブラウン管に固執する人もいると聞くが、ブラウン管式モニターの供給が途絶えていることから間もなく完全に薄型モニターに切り替わることだろう。

 技術革新により古いものは時代の隅に追いやられ、やがて姿を消す。それでも古いものの愛好家はゼロにはならないから、統計上はゼロになってもLPで音楽を、フィルムで写真を楽しむ人が完全にゼロになることはない。ただし、いつまで楽しめるかと云う保障はないし、楽しむためにはそれなりの出費も覚悟しなければならないだろうな。


 例によって記事本体とは何の関係もない今日の一枚は、恩田の森の冬木立(その3)。
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