APECの行われているハワイの日露首脳会談で
ロシアのメドベージェフ大統領が
「われわれの立場は非常に単純明快だ。問題をめぐって
ドラマを作るべきではなく、穏やかな議論を続けるべき、
というものだ。経済を優先し、政治はその後に続くべきだと信じている。
一般的に正しいやり方である。
なぜならば、われわれの生活を決定しているのは経済であり、
政治はしばしばそれを悪化させるものだからだ」
と語ったということですが、
これは明らかにご都合主義の言い分です。
領土問題を棚上げにし、日本の経済協力を得ようとすることを
狙ったものです。
これに対して野田首相は
、「両国は異なる見解を有しているが、日本は、静かな環境のもとで
問題解決に向けて実質的な議論を行いたいと考えている」
と語ったということですが、
「静かな環境」とか「実質的な議論」というのは
何を意味しているのでしょうか。
ロシアの言い分にのっかているだけではないのか?
そもそも「両国は異なる見解を有している」などと一般論で
答える場合ではないと思うのです。
「政治はしばしばそれを悪化させる」というのは「政治問題に触れたくない」
ということを言い換えただけです。
経済は生活を良くすることになるとしてもそれを「安定」させるのは
政治です。
政治は仕組みをつくるものです。基本的な仕組みができることで
「安定」できるのです。
でも、ロシアは基本的な仕組み、領土問題には決着をつけたくないのです。
これを曖昧にしたままの方が日本を操縦しやすいのです。
要は、ロシアは日本に金を出させたいだけなのです。
lこういう言いがかりをつけてくるロシアに対して
「静かな環境」とか「実質的な議論」というのは、要は相手の
土俵に乗ることを意味しているとしか考えられません。
日本に決定的に欠けているのは、「交渉力」ではないか
と最近気づきました。
何が、どういうやり方が最適かは、絶対的なものはないのです。
有る場面では最適だったものが、別の場面では最悪になることも
あるのです。
あーいえば、こういう、こういえば、あーいうという具合に
柔軟に微妙にバランスを取りながら、有利に進めていくのが交渉です。
政治は棚上げに、つまりは領土問題は棚上げにするという相手と
実質的な議論をするというのは、要は領土問題は棚上げにする
ことを実質的には認めたことになるわけです。
日本にとっては領土問題は絶対に無視できないのですから、
もっと言葉を選ばなければなりません。