パリ襲撃を受けて、国境の警備強化や移民・難民問題に対応するため
独仏両国が「リスク基金」の設立を提案したということである。
ここをどうぞ。
そもそもEUは第二次世界大戦の後、「フランスとドイツとの間で戦争を
二度と起こさない」ことを目的として設立された「欧州石炭鉄鋼共同体」が
原点です。
その後、進化をとげEUになったわけです。最初から目指してきたというよりは
時代にあわせ、関係者の要望等を取り込んでこういう形になったものです。
ですが、どこまで統一するかについては合意というものがあるわけではありません。
ただこれまでは、経済に重点が置かれていたと思います。
しかし、今回のことで、EUが拡大し、経済的に大きな力を持つにつれ、地域の
安全、防衛が重要な関心事になってきたことを示したものと思います。
国家だけが負わなければならない最重要課題は、防衛です。
EUも地域の集合体というよりはもっと重要な存在になったのだと思います。
EUがどこまで統一するか、たとえばアメリカ合衆国のような一つの国を目指すのか
もう少し緩やかな連合体のままなのかわかりませんが、
事実上、一つの組織として機能することが多くなっています。
そうなると、構成員の安全、防衛の確保は必然的なものです。
今は軍備については各国が責任をもち、共同で行動するときにはNATOに
依存しているようですが、NATOはアメリカ主導です。
EUとアメリカは、それそれ固有の利害関係を持っています。
NATOに頼るというのは不自然です。
リスク基金がどのような形で利用されるのかわかりませんが、EU独自の危機管理、
特に外部からの危機に対するものに使われるはずです。
いずれはEU独自の警察のようなもの、あるいは自衛隊のようなものに発展する
かもしれません。
EU全体の視点立って強制力を持った防衛・安全を常時監視する組織があるということです。
EUが崩壊するのか、もっと進化するのか、「リスク基金」はその重要な
一歩の問題提起のように思います。
結局、組織の安定(外部からの侵害・侵入に対しての独立)なくして、真の
繁栄はないということです。