エジプト革命は、ソーシュルネットワーク革命ともいわれ、
ツッイター、フェイスバックなどの新しいインターネットツールが大きな役割を
果たしました。
そのことは、グーグルの地域幹部のワエル・ゴムニ氏が一躍ヒーロー、革命の
顔として躍り出てきたことからも明らかです。
ただ、ネットの使い方ですが、ワエル・ゴムニ氏はイランでの失敗が参考になった
といいます。
イランでも最初はインターネットの力が民衆を、世界の目を引きつけてきました。
が、最後の瞬間で、つまりもっとも盛り上がったところで、
体制派に力で抑えつけられてしまったのです。
体制派はネットの動きを検閲しているわけで、情報は、敵である体制派に筒抜け
というわけです。
となれば、力のあるものが、絶対的優勢なのはいうまでもないことです。
そこで、エジプトでは、警察が検閲していることを前提に、
わざと偽情報を流し、たとえば集会場所など、警察をうろうろさせたということです。
また、体制派の標的にならないように、活動家は身元を知れないようにしていたの
です。
また、ネットだけで人は動きません。特に最初が肝心です。
エジプトでは、非常事態法がでっぱなしの国ですから、
普通の人は怖くて動けません。
普通、こういう政治的な活動は、どちらかというとそういう意識の高いエリートから
民主主義とはなどという高邁なことについて議論することから
始まるのですが、それでは一般庶民が動きません。
そこで、どちらかというと貧しい地域のカフェでお茶を飲みながら、賃金の低さなどの
現実的なことを話し合ったのです。
そしてついには「彼らはハトや鶏の肉をたべているのに、我々はいつもビーンズだけだ」とか
「10パウンドで買えるのはいまじゃキュウリだけだ、なんてことだ」と口々に
叫ぶようになるというわけです。
それじゃ、一緒にタハール広場に行こうというわけで、最初は50人からはじまったグループはいつの間にか何千という人の集まりになっていたというわけです。
本当に草の根活動なわけです。
ツッイター、フェイスバックなどの新しいインターネットツールは、草の根活動を
効率的に組織化する道具だったというわけです。
ただ、草の根といっても、やはり組織化しなければ、力にはなりません。
組織力という点では、ムスリム同胞団とかコミュニストグループなどの非合法集団に
すぐるものはありません。特に、これらのグループには、医者とか弁護士とか教授などの
エリートが多く参加していたので、有力な勢力です。
今回の草の根運動の中心となった若者グループはこのような人達だったのです。
これらの人たちは、やはりどちらかというと欧米型の民主主義を望んでいるということです。
最後は、やはり人です。
彼らは国のリーダーになるには早すぎるような気もします。
せっかく、旧体制を崩壊させたのです。
新時代ににふさわしいリーダーがあらわれることをエジプト人のために
祈りたいものです。
なお、先のワエル・ゴムニ氏は、「Revolution 2.0」を出版するということですので、
ソシャルメディアがいかに社会改革に使えるのかが、明かされることと思います。
同氏は、「イラン革命の経験が役に立った、こんどはエジプトの経験を役立ててほしい」
などとイランの反体制派の人たちにエールを送っています。
どのような内容なのでしょうか。楽しみですね。
さて、振り返って日本ですが、政界での人材不足をどうにかしなければ
民主党でも自民党でもみんな同じです。
今、大事なことは「何を」ではなく「どのように」です。
政策実現の具体的な日程方法を政治家自らが明らかにできなければ
なりません。
そういう意味ではエジプトと同じですね。