1980~1981に連続ドラマとして放送されたドラマ「北の国から」が放送開始30周年を記念して
BSフジで再放送が始まった。以前にも再放送で見たことはあったが、すべて見たわけではなかったので
今回こそ最初から最後までじっくりと見てみようと、前回
「途中経過」と題してレビューを始めてみた。
「北の国から」にハマったのは、1989年の「帰郷」からである。
それまでこのドラマには全く興味がなかった。中学時代の部活の友達が「初恋」('87)が良かったと熱く語る姿を見て
「なんのこっちゃ」と思ったことを記憶している。その後何気なく見た「帰郷」で不覚にも泣きそうになるほど感動した。
さて、前回からの続き。今回はちょっと凝ってみた。
第6話、草太が東京からきた女・雪子にのぼせ上がるという話。
以前から交際していた、つららにとって雪子は甚だ迷惑な存在であることは言うまでもない。
しかし、雪子はつららの気持ちなどお構いなしである。
草太の父親・清吉が「都会娘の気まぐれではないのか」と心配したとおり、雪子は富良野から去る。
辛い現実が待っているということをわかっていながら、再び東京へ戻るのである。
雪子としては「気まぐれ」ではないといいたいところなのだろうが、地元の人間にとっては
やはり「気まぐれ」にしか見えない。
『都会の人間=複雑な事情、インテリvs田舎の人間=単純、バカ』という構図に見えてどうも釈然としない。
第7話。雪子がいなくなったので五郎は親友の中畑の家に子供たちを預け、木こりのバイトに没頭する。
預けられた先で、純は中畑の妻・みずえが東京の人と電話で話している姿を目にして、母親と話したいという衝動が
抑えられなくなる。純は誰もいないのを見計らって、ついに東京に電話をかける。
一度目は言葉が出ず電話を切る。二度目、母親・玲子が純からの電話であることに気づき、久々に子供の声を聞く。
三度目、純は東京への電話に蛍を誘う。受話器を渡されるが、蛍は玲子との通話を拒否。
しかしその後、学校の職員室でこっそり玲子に電話をしている姿を担任・涼子に見られてしまう。
そのことを告げられ、ショックを受ける五郎。
仕事に没頭して子供たちの相手をしない五郎のことを軽蔑していた純だったが、中畑から「お前の親父は立派な男だ」と
諭される。自宅に帰るとクリスマスプレゼントとしてスキーが2セット壁に立てかけられていた。
この兄妹には、無断で市外通話をかけたことに対する罪悪感はあったようだ。
五郎が親らしい一面を見せるのは、このドラマ第7話目にしてこれが初めてではないだろうか。
第8話。五郎は沢から水を引いて水道を作ることを画策する。1980年の大晦日、ついに黒板家に水道が完成。
大喜びの親子3人。そんなとき涼子が現れ4人で夕食。帰り際、担任の「黒板さん、あなたたち素敵だわ」
という言葉に照れる五郎。テレビのある家で紅白歌合戦を見せてもらおうとしたが、それぞれの家庭の団らんの様子を見て、
何も言わずに帰路につく3人。すると自宅には東京から再び舞い戻ってきた雪子が待っていた。
真冬にそんな大変な作業をするなんて、雪国で生活する人間としていかがなものかと思う。
雪が降る前は子供たちに毎日沢まで水汲みをさせて、冬は自分が担当することとなったが、うまく水を運べないから
そこで初めて沢から水を引く気になったのであろうか。だとすればなんと無計画な男なんだか。
第9話。受信状況が悪く、3分の2くらいしか見ることができなかった。
年末にプロポーズされたつららだったが、雪子の姿を見たとたんにコロッと態度を変えた草太に疑念を抱き
五郎に相談する。しかし「オレ、そういう話は苦手なんだよ・・・たくあん食うかい」と五郎の甲斐性のなさは
新年早々いかんなく発揮される。突然玲子が現れ、「子供たち会わせて欲しい」と懇願するも、断る五郎。
蛍は母親の存在に薄々気づいているが、雪子はしらばっくれる。結局、遠く離れたところから二人の子供を
眺めることしか許されなかった玲子は、涙ながらに富良野を後にする。
そのことを知った草太は、自分のことはさておき、怒りを五郎にぶつける。
そしてちょうど居合わせた五郎と同じ境遇の幼馴染の女(正吉の母親)にたしなめられる。
甲斐性なしに加えて手がつけられないほど頑固な五郎。正義感に燃える割にはつららを傷つけつづけている草太、
何の機転も利かない雪子。またしてもダメ大人たちに振り回され気の毒な子供たちである。
第10話。今度は風力発電機を作ろうとする五郎。笠松のじいさん(正吉の祖父)に「なぜ不便な生活に戻ろうとするんだ」と
問い詰められる。急激な天候悪化により雪子と純の乗った車は、猛吹雪の中吹き溜まりに突っ込み命の危険が迫る。
二人を救ったのは、便利になった世の中では必要とされなくなった馬そりであった。
断水、停電でパニックになった町とは裏腹に、黒板家ではいつもと変わらない夜を過ごしていた。
便利になった世の中に対する警鐘ということだろうか。
どんなに便利だからといっても、万能ではない。だからと言って昔に戻るのは賢明ではない。
歴史を知ることが大事なのだ…あれ?誰かそんなこと言ってたような…
第11話。
雪子は草太に誘われるがままに共同牧場で働き始める。ずうずうしいにもほどがある。雪子と草太のことを
聞き出そうとつららから執拗に追いまわされる純。追い討ちをかけるように雪子が父親とデキているという噂を
聞かされ、憮然とする。しかし、その噂に一番激怒したのは草太。大人気なく小学生の正吉をを車の中で尋問&拷問。
居酒屋で乱闘騒ぎを起こす。知人や親から雪子をあきらめろと告げられ、八方塞がりの草太。しかしつららと別れ話をする
度胸もない。結局、傷心のつららは家出する。つららの兄・辰巳が五郎の家に探しに来たところ、ひょっこりと家から出てきた草太。
当然ながらボコボコにされる。雪子は風邪をこじらせたなどといって狸寝入り。当事者たちのこんな醜態を見て純は
どこに怒りをぶつけていいのかわからない。
ラスト、蛍が飼いならそうとしていたキタキツネが、何者かによって仕掛けられたトラバサミという罠にかかり
罠を引きずったままもがき苦しむ姿に黒板家の3人は呆然とする。
つららは気の毒だったが、やはり人を見る目がなかったのだと思わざるをえない。
それにしてもこの大人たち(五郎、雪子、草太)はそろいもそろってなんと頼りにならない連中であろうか。
これまでの純は抜群に意気地のない小学生だったが、この騒動の際は一番男らしく見えた。
第12話。
トラバサミを仕掛けたのは、純の同級生、正吉の祖父であった。そのことに気付いた正吉は苦悩する。
一方怒り心頭の黒板兄妹を必死になだめようとする小学校の担任・涼子だったが、純は釈然としないまま帰宅する。
そんな中、風力発電機が完成。夜は雪子の誕生祝と発電機の完成祝を行うことに。
雪子は草太に誘われた「共同牧場」で、自分は歓迎されていないのではないかと五郎に打ち明けるが、
五郎は「清さん(清吉・草太の父)は、無口な人だから気にするな」と無責任に言い放つ。
まったく空気の読めない雪子、なんとかしてあげようという態度が少しも見えない五郎。
腹が立つのを通り越してあきれるばかりである。
案の定、清吉に呼び出された雪子は、草太と結婚して北村家の嫁として共同牧場で働くはずだったつららが家出した
原因となったこと、現在の経営状況では従業員を増やすことができないこと、草太と二人でここを出て行ってもらってかまわない、
一緒に働いている辰巳やつららの気持ちを踏みにじるようなことはできないと、清吉からはっきりと解雇を通告される。
ショックを受け北村家を後にする雪子。しかしまだ反省していないのかつららの母親挨拶しあっさり無視される。
草太に声をかけられるが無視して立ち去る。最初からそうしておけばよかったのである・・・手遅れ。残念でした。自業自得。
雪子が失意のどん底のまま帰宅すると誕生会が始まる。悲しいやらうれしいやら訳が分からない様子である。
全くこの女には同情できない。
宴もたけなわの頃、正吉の祖父が現れ「トラバサミを仕掛けたのはわしだ。孫(正吉)に”チョッキ”をつくってやりたかった」と
純と蛍にカミングアウト。担任の話には納得しなかった純だったが、この年老いた男の謝罪に不思議と怒りは収まっていくのだった。
第12話冒頭の純のセリフ「1月20日・・・」、そしてラスト、正吉の祖父から富良野に来てどのくらいになるかとの問いに
「4か月です」と答えたことから、この3人は10月に富良野へやってきたということがわかった。
ここまでゆっくりと話は進んでいったのだか、12話の最後は2月3月そして雪解けの季節まで純のナレーションで過ぎていき、
子供たちがふきのとうを採取するシーンで終わる。
連続シリーズ全24話中半分が終わった。第13話の舞台となるのは東京である。
ではまたお会いしましょう。