長男の高校受験が終わったので、次男とともに待望の「任天堂switch」を購入する運びとなった。
彼らにとって、コツコツ貯めたお金をついに使う日がやってきたのである。次男は今朝から半狂乱であった。
長男が携帯用の「switch lite」を、次男はテレビに接続して遊ぶ「switch」を買うことになったのだが、
次男の欲しいものが、近くの家電量販店、GEOでどちらも品切れだった。
少し遠くにある家電量販店にしようかイオンのゲーム売り場にしようか迷った挙句、家電量販店を選択してから地獄が始まった。
「ニンテンドースイッチ本体は、新型コロナウイルスの発生により中国から部品が輸入されないため、品薄状態となっております」
このことは、先月初旬ニンテンドーのホームページで発表されていたそうである。
そんな重大な事実を、私は3軒目の家電量販店ではじめて知ることとなった。当然この店でも品切れ。在庫もなしである。
自宅には不織布マスクの在庫があと4枚しかなく、お目当てのモノが手に入ったらすぐ帰る予定だったので、
このご時世マスクをしていない親子連れが市内を徘徊することとなった。
しかも私の車は、北海道内で集団感染があったと推測されている某地区のナンバーである。そんな乗用車からマスク未着用の親子が、
うつろな目で降りてきて「Switch」の在庫切れを確認し店を出ていく・・・この行動がこのあと3回繰り返された。
駐車場で、郊外にある某おもちゃ屋さんに電話で問い合わせてみても状況は同じで、ついさっきまではしゃいでいた次男は一言もしゃべらなくなり、
病人を乗せているような車内には、私の慰めの声だけが空しく響いていた。
すっかり意気消沈して帰宅したが、どうしても納得がいかない。先ほど見送ったイオンのゲーム売り場に電話してみるとなんと一台在庫があるとのことだった。
「ととと、とりおきしてもらえますでしょうか」喉から手が出るほど・・・とはまさにこのことなのだが、先方の回答は、
「それはできません。お客様が来店するまでに売り切れていると思います」とそっけない返事だった。
闘志に火が付いた・・・と言いたいところだが、私はもうヘトヘトだった。
なにせ今日は休日にもかかわらず7:00に起床し、マスクを購入するためドラッグストアの開店30分前に並ぼうとしたら、
「本日入荷しておりません」の張り紙を見てがっかり。その足で眼科に向かい、緑内障治療の点眼薬を補充し、
そのあとは整骨院に行ったら、明日の予約のハズだと告げられる。そんな馬鹿な・・・しかし確証はなく、
いつもの整復師の先生が不在だというのなら出直した方が良いと判断しいったん帰宅した。
予定より早く子供たちと出かけたのが11:30。先月車検を受けた軽自動車の車検証を取りに行ったら、書類不足で受理できず、
さっそく無駄足を喰らってしまった。
一軒目で欲しい商品を手に入れた長男は、早々に帰宅しゲーム三昧の時間を過ごしていた頃、私と次男は重たい気持ちで
市内を徘徊し、そして惨めな思いで帰宅した、というのがここまでの流れである。
「よし!出かけるぞ!」こうなったらもう意地である。私は次男を連れて先ほど電話で問い合わせたイオンに向かった。
急がなければ・・・と焦る気持ちを抑えられず、いつも通る道よりも早く行けそうな道を選んだら思いっきり間違えてしまい、
ものすごい遠回りのルートとなり、到着時間が大幅に遅れてしまった。これぞまさに万事休す。
やっとの思いで売り場にたどり着くが、案の定「お取り寄せ中」の表示が目に入った。
もう次男は黙って虚空を見つめている。最後のあがきで店員に「次の入荷はいつになりますか・・・」と力なく尋ねると、
「あれ?ひとつ在庫が残っていたとおもいますが・・・」という答えが返ってきた。
これはもしや店員さんの粋な計らい?と嬉しい気持ちを爆発させる力すら私には残っておらず、
次男の頭をぐしゃぐしゃとかき回すのがやっとだった。
こうして7軒目にしてようやくお目当ての品を獲得。
次男を自宅に送り届けてから、先ほど受理できなかった車検証をもう一度取りに行って、
約80kmにわたる”地獄のサーキット”は終わりを告げた。帰宅は16:30、約5時間の格闘だったわけだが、
体感時間はその何十倍に感じたことは言うまでもない・・・
夕食はホットプレートで焼肉だった。
長男とは「受験お疲れさん」でカンパイ、次男とは「念願のswitch購入おめでとう」でカンパイした。
久々に内容の濃い一日だった。
結局のところ、容量の悪い父親が招いたマヌケな半日だったわけだが、それはさておき子供たちが喜んでくれたのは何よりである。
今夜はよく眠れそうだ。