GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

日本酒の海外向けラベルに疑問あり

2015-12-02 03:22:49 | FOOD&DRINK
日本酒。
一頃はおっさん臭いと敬遠されてたが、最近は若い人も日本酒好きが増えた。
多分冷やで日本酒を楽しむようになってからじゃないかな。
昔はどこでも熱燗。50℃以上で徳利を持つのも熱いくらい。
よほどの酒じゃないとこんな熱さでは香りも味も膨らまないし、匂いもすごい。
フグのヒレ酒なんか問題外。あれは完全にアルコール飛んでるもの。卵酒かってくらい。
とはいえ、フグを喰う時はヒレ酒飲んでしまうんだけどね。テッサややてっちりには何故かヒレ酒。焦げた匂いで美味しくないのに何故かおカワリしてしまったりして。人間は不思議だ。

基本的に酒は常温か人肌で飲む方が旨い。
なのに、純米吟醸酒を燗してくれと言うと断られる店が多いのも腹が立つ。
BGMにジャズなんか流したりして、全国の銘酒を取り揃えてるなんて謳ってる店ほど、この酒は冷やで飲めと蘊蓄たれられる事が多い。
燗でも日向燗(約30℃)人肌燗(約35℃)ぬる燗(約40℃)上燗(約45℃)熱燗(約50℃)、色々ある。
どう飲もうが勝手じゃないか?
そりゃ飲んだ事の無いお酒なら店主おすすめの飲み方で楽しむよ。でも、のみなれた酒で「俺はこの温度で飲む方が旨い」と思ってるのを否定されるとガッカリしてしまう。
そんな店にはもう行かない。
ウィスキーは1対1の水割りだ、肉に白?赤ワインが鉄板だ、焼酎は4:6のお湯割りだ、そして日本酒は冷やで飲めって。
頭の凝り固まった奴より、多分俺の方がいろんな酒を飲んでるって言いたくなる時もある。

日本酒は殆どの食べ物に合う。
おでん、鍋、魚介類・・・。米が原料だからごはんに合う物は日本酒に合う。
焼酎は残念ながら米焼酎以外はお造り(刺身)には合わない。寿司屋に焼酎が置いてなかったり、チューハイくらいしか無いのはそのせいだと思う。
ラーメンとか中華料理にもか?って言われるとビールや紹興酒、桂花陳酒の方があうって撤回するが、少なくとも日本料理には日本酒が合う。
寿司とワイン?これをしてる人を見ると「うわぁ味覚障害?」って思ってしまう。
葡萄酒に合う和食って肉料理や野菜ならわかる。しかし酢メシや醤油味にシャンパンやワインって最悪のマリアージュだと思う。それとも俺の知らない合う世界があるのかな。まぁ燗と同じく好きな飲み方シチュエーションで楽しめばいいとは思う。

さて、この日本酒。
和食が世界遺産に登録されてから、海外への日本酒の売り込み攻勢を必死にしてるらしい。
でもさ、日本酒じゃなくてJAPAN-SAKE。
柔道ではなくてJUDO、醤油じゃなくSOY SOURSE、寿司じゃなくてSUSHI。
それはそれでいいんだけど、こんな勘違いしたメーカーとかがやっぱり出てくると思ってた。

実名出して悪いんだけど、新潟県新発田市の市島酒造。
この酒造会社は海外向けの特別ラベルをつくり、売り上げを伸ばしているらしい。(どれだけ売れてるのかは不明)
日本酒のラベルといえば、毛筆体などでどう呼んでいいのかわからない酒の名前が大きく書かれているのが普通。
市島酒造は海外向けに特別ラベルを作って、大きなエンブレムだけのシンプルな表面ラベルと、裏面ラベルは英語で内容成分等が描かれてる。

7代目蔵元の現在の社長が、海外の取引先に「日本酒のラベルは何が書いてあるかわからない」と言われた。
洋酒のボトルを眺めていて、世界で売れる酒は、酒名よりもエンブレムが大きく描かれたラベルが多いことに気づいた。って。
目の付けどころが違う。
誉めてるワケではない。視点がズレてると助言してあげたいくらい、見るとこ間違ってる。

日本酒が海外で売れない訳。
宣伝のせいもあるが、どう飲んだらいいのかわからないまま販売されてるからじゃないか?
冷酒、冷や、燗もそうだし、その国の料理にどう合わせたらいいかよくわかっていない。
ロンドンのバーでスコッチやジンを楽しむ人に日本酒を売り込むの?
フランスでワインを気軽に楽しむところに日本酒を売り込むの?
それらの戦略がいい加減で、海外の日本料理店で出される日本酒を売り込んでるだけじゃないのか。

しかもこの市島酒造の酒。
ラベルをエンブレムだけに変えたのは普通の醸造酒。
そう、醸造アルコールを添加した日本酒。このアル添酒のせいで日本酒は不味いと思われてるのに?
純米酒ならまだしもね。ワインで純葡萄酒ってあるか?ドイツで日本のコーンスターチや盗塁を混ぜた発泡酒売るようなもんだぞ。
まずい酒が売れる訳が無い。

ラベルをエンブレムにしようが、裏面を英文で書こうが一緒だ。
ワインはラベルにすべて書かれてる。どこの畑の葡萄でどこのワイナリーで何年にどの樽で仕込んだか。
ウィスキーだって、同じだ。
日本酒でどこの米を原料に使って、どれだけの精米をして、麹や酵母は何を使って、蔵はどこで、生酛なのか山廃仕込みなのか。
そんな事英文で書いたって、知識が無かったら意味がわからないだろ?(実際日本人でも知らない人の方が多いんじゃないか?」
ましてや純米酒ではなく醸造アルコールを混ぜた偽日本酒。
さらにワインのように輸送や保存状態を管理してるのか?冷暗所で管理してくれてるのか?
蒸留したウィスキーや焼酎ならともかく、まだ活きてる日本酒は1年くらいで飲みきらないと美味しくないぞ。

そして日本酒の本来のラベルに日本を感じる人はいても、エンブレムや英文のラベルに日本を感じるか?
日本人でさえ、この英文だらけで表記されたボトルを見たら、買う気も失せるのに。

逆に考えたらわかる。
ワインのラベルがすべて日本語で書かれた日本向け商品のワイン。これをワイン通は買うか?俺はワイン通じゃないが絶対買わん。
スコッチやバーボンでも同じ事だ。日本語で書かれてる部分が多ければ多いほど、胡散臭さを感じる。
スコッチの名品ボウモアは、今サントリーが買収してしまったから、日本向けの販売ボトルは山崎や響のように日本語ひょうきしてもいいだろ?
でももしボウモアがBOWMOREではなく「ぼうもあ」とか「暴藻亜」とか表記されたり、原産国:スコットランド アイラ島 内容成分:麦100% 保存方法:樽貯蔵12年 混ぜ物無しって裏面ラベルに書かれてたらげんなりするな。絶対買わない。

すべて勘違いした、販売意識だけが勝ってしまった酒造に未来は無い。
本当に美味い酒なら売り込んで、向こうから買い付けにきたり卸したりしてくれるのを依頼されたりするべきだろう?
清酒、本醸造、生絞り、特級、佳撰、純米酒、純米吟醸酒・・・。
日本人でもわからないこれらを整備してからじゃないと外国で売れる訳ないよ。

海外で売るなら本当の純米酒じゃないと勝てないし、ラベルだって媚を売る必要は無い。
それよりは料理とのマリアージュや輸送、保存、知識の浸透が先だよって言ってるだけだ。

ちなみに誤解無きように言うが、美味い酒は純米酒なのはあたりまえだが、天六の角うちの立ち飲みで飲む時は銘柄選ばないし、梅田のホワイティで朝から飲むのは醸造酒と焼き鳥でOK。えべっさんの屋台で菊正宗や大関のワンカップとおでんなんか最高だね。
醸造酒を否定してるんじゃないよ。
フランス人だって毎日ロマネコンティやシャトーディケム飲んでる訳じゃあるまい。
普段はグラスワインを楽しみ、たまには奮発していいワイン。
日本酒だって同じだと思うけどな。

ミシュランガイド2016 買ってどうする?

2015-12-02 00:50:57 | BOOK/COMICS
今年もまたミシュランガイドが発売される。
ミシュランガイド2016年東京版
最高評価の三つ星は、計13軒。
フランスのレストランでは、ミシュランの星が取れるかどうかですったもんだする。
三ツ星レストランのシェフは神様のような扱いを受けるし、修行中の厨房スタッフが他の店に移る際にもかなり有利らしい。
だから昨年3つ星で今年は一つって落ちたりすると経営さえ危うくなるらしい。

でもさ、日本ってこの本に権威あるの?
ここはミシュランが星を与えた店だ。だから美味しいんだ。接客がいいんだ。
あまから手帖でもミーツでもdanchuでもそれは同じ事じゃねぇのか?

っていうか、こういったグルメガイド本じたい信じてない。
誰がどうやってその店を評価したのかわからんし、その審査員とやらの舌も信じちゃいない。
接客がどうこうって、高級和食の店で接客や味が悪いとこがあったらとっくの昔につぶれてるって。

京都祇園の一見さんお断りの店にどうやって取材した?
料亭、割烹の味を何人もの審査員が複数回行って常連になって判断したのか?常連になった時点で美味しいと評価してるんだろ?

実際、いくつかの料亭や老舗も星がついてるけど、かなりの店が掲載断ってるらしい。
俺が昔からよく行くお店もミシュランの掲載は断ったらしい。
この店は京都人なら誰でも知ってるだろうお店。こじんまりとした店だが、きりっとしてていつ行っても満足するお店。ちょっとお値段が高いから、懐が寂しい時は行けないけど、値段の数倍価値のあるお店だ。

なんかの拍子に大将に「ミシュランとか来る?」って聞いたら、「あぁ来はったけどうちは関係ないしな」ってあっさり。
理由は
「星がどうたらこうたら評価してくれんのはお客様の勝手やけどな。それがなんなん?って思ってしまう」
「うちは四季折々で彩る料理屋やから、最低でも年4回は来てもらわんと。」
「長年受け継いできた味と腕で、お客様に楽しんでもらうんやさかいなぁ。イチゲンでどうこう言われてもなぁ」って。
「いつもお客様とは真剣勝負や。それを評価してくださったら又来ていただけるし、アカンかったら来いへんようになるだけや」
そりゃそうだわな。

「日本で発行されているミシュランガイドは、日本の食に精通した日本人の調査員を中心として調査が行われている」
なんて今回の2016年版出版イベントでも言ってたが、そいつは本当に精通した人か?
そりゃ中には海原雄山みたいな舌と、食に精通した知識を保ってる人がいるかもしれないが、そんな人ってそんなにいるのか?
もしいたとしたらグルメ本や飲食店紹介本はそんな人の紹介文だらけのはずだぞ。
田崎さんがワインの評価をするのと同じようなレベルで、料理の味を評価できる人が一対何人いる?
だいたいミシュランはどうやってその人を捜してきたんだ?

審査員試験ってやってるのか?どうやって判断したんだ?
出汁を数種類飲ませて、「日高、尾札部、利尻、羅臼をあてろ」とか「本枯れ節、枯れ節、血合い入り、どの鰹節を使ったかあてろ」とかしたんかな?
まぐろのヅケ食べさせて「醤油とみりんと酒の対比は何対何でどれくらい漬込んだでしょう」とか
お造り(刺身)の盛り合わせを食べさせ、何処の産の何という魚かあてさせたりするんか?
どれだけの飲食店を言ってる人なのか、自分でも料理をする人なのか、好き嫌いは無いのか。

ましてや大阪と東京では味も違う。
鰻の焼き方もタレも食べ方も違うしね。
うどんなんかが一番わかりやすい例かな。
関西で美味いと評判のうどん屋に関東の人連れてったら、たいていは「このやわらかい饂飩は何?」ってなるやろうし、逆に関東の名店に関西人が行ったら「なんや!あの真っ黒なつゆは」ってなるやろ?

これが全国の饂飩を食べ歩きしてる人なら、ちょっと違うやろけどさ。
大阪の鍋焼きうどんはここ、東京の立ち食いならここ、名古屋のきしめんはここで、味噌煮込みうどんやったらあそこやね。
秋田の稲庭うどんならここ、香川の讃岐うどんなら地元人に長い事愛されてるここやね。
山形の引っぱり饂飩はここがうまいし、群馬のひもかわ饂飩ならあそこやね。
山梨の太い吉田うどんならあっこがうまいし、太い麺が好きなら三重の伊勢うどんであそこちゃうか?
富山の氷見うどんや、宮城のうーめんもうまいで。
日本全国のうどんを食べ歩いて365日殆どいろいろなうどん店で食べる人がいても、全国に3万軒以上あるうどん屋を回れるでしょうか?
大分のあごだしうどんや、名古屋のカレーうどんまでいけるのでしょうか?

ラーメンでも、今回一つ星をとった店があるとか言われてたけど、この店を評価した人は東京のラーメン屋をどれだけ行ってる人なんだろう。夜は普段は割烹や料亭で食べて、昼飯はラーメン店巡りしてる人?
豚骨好き、醤油味好み、味噌味絶賛派、塩ラーメン崇拝派もいるし、ジロリアンやチャンポンが好きなガッツり系が好きな人もいる。さらにつけ麺、担々麺、タンめん、台湾ラーメン、家系、車庫系・・・。それぞれ評価する人によって変わらないか?
東京の醤油豚骨に慣れた人は福岡の本格豚骨喰ったら匂いが駄目だろうし、縮れ麺、ストレート麺、たまご麺、細麺、太麺。
ラーメンの評価はサッポロ一番派、チキンラーメン派、出前一丁派、ワンタンめん派でも分かれるくらいだぞ。
焼きそばでもUFO派、一平ちゃん派、バゴーン派、ペヤング派って分かれる。

なんか長くなってもうたが、店の評価や味の評価はそれぞれのお客が決めればいい事違うのかなぁ。
ガイドブックはガイドブックの範疇を越えたら、それはグルメ自慢の思い上がった本ではないのかな。
ワイン飲みなれてへん人にいきなりシャトーマルゴーの赤を出してもわからへん。
ワインの品揃えが充実してて、初心者ならこの店が親切だよとか、入りやすいよとか。呑みなれてる人は希少なワインがあるここがいいよって。
焼酎好きな人におすすめのラインナップ充実店。日本酒の純米吟醸酒好きならここへ是非一度。料理と楽しむならここなんかどう?

グルメ店のガイドブックなんて、「あぁここはこういった料理が売りなんだ」とか「雰囲気や設えが良さそうだな」くらいがわかればええのと違う?
実際に行ってみて「おすすめちょうだい」って言ってみたらいい。その料理を楽しめたらいい店だ。
それでも「うちは何でも美味いよ。全部おすすめでぇ」なんてぶっきらぼうな店でも美味しいかもしれない。
高級そうな皿に綺麗な盛りつけだけど、見せかけばかりで美味しくない店もあるだろうし、安物の皿を使ってても美味い店もある。
ホルモンやモツの美味い店と、シャトーブリオン・A5肉の美味い店を同じ人が判断する方が変な話だ。
自分がどっちが好きかだけでいいやん。シチュエーションでもモチベーションでも違うしね。

「ミシュランで星を何個とりましたぁ~」って、もし店の前に貼ってあったりしたら、まず行かない方がいいと思う。
「関西ウォーカーに載りました」「魔法のレストランで紹介されました」「グルナビで高評価のお店に選ばれた」
間違いなくそんな店は、はずれだろう。

それでも行くか?それも良し。
ホットペッパーのクーポンも忘れずに。

それよりもミシュランは日本に来る外国人、特に中国人・韓国人旅行者の為のグルメガイドブック作ってほしいな。
ここは気軽に安く食べれる店(ただし長居は出来ない)とか
ここは高いけど、この店のこれは食べてくれ、自国に戻った時に自慢できるよとか
ここは本場パリのどこどこで修行したシェフがいるとか、四川や上海、ソウルや釜山の料理人がいる店だとか
ここは作法が出来ないと行っちゃダメ。ここは堅苦しくないけどお値段は高いよとか
そんな事をちゃんと紹介したガイドブックならいいのにな。

是非それを関空、成田、羽田、名古屋、新千歳などいろんな空港で強制的に買わしてほしい。
だって、時々「邪魔だなぁ」って思うもの。うるさいしね。
ミシュランガイドで来るような客も常連からしたら「邪魔だなぁ」なんだよ。

ミシュランがそれでも自分のところの審査員の舌を神のように感じてるのなら、逆に聞きたい。
日本で一番おいしい鍋を紹介してくれと。