GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

東芝とSHARPと下町ロケット

2015-12-22 01:55:53 | MUSIC/TV/MOVIE
下町ロケットが高視聴率のまま最終回を迎えた。
毎回熱い台詞とプライドが交差するいいドラマだ。
最終回の収録はなんと当日の朝だったと言うから、かなりギリギリのスケジュールだったね。役者さんも大変だが、編集さんや音声さん等の制作スタッフの方もご苦労様。
ドラマの内容の通り、いいドラマを作る為に妥協したくなかったんだろうね。

昭和40-60年代。高度成長経済を支えたサラリーマンや工員達。
寝る間を削り、下げたくない頭を下げたり、家庭を顧みなかったり。給料も今に比べたら低かったし、年功序列だったし。
それでも職人はいいモノを作ろうと技術を磨き、それに伴い機械もどんどん進化し、サラリーマンは会社を背負って飛び回ってた。日本の将来を背負ってくれてた。それが今高齢者と呼ばれる世代の人達だ。
年金や福利厚生はしっかりしてあげてくれ。

今の「自分の時間が大事」とか「会社の犬や道具にはなりたくない」とか「自分らしさ」って言ってる人達。
その生き方を否定する気はないが、ちょっとしんどいからブラックだとか言ったり、自分に合わないからすぐ辞めるとかは言わないでくれ
俺は職人の端くれとして理解できないのよ。ましてやホリエモンのように寿司修行を10年もするのはバカとか言う奴は大嫌い。
昭和みたいに身を粉にして家庭をほったらかしにして働けとは言わない。時代は変わってるものね。

でもさ、今も職人や工員は技術を磨いてる。
漆職人や竹細工、昔ながらの手作業だけで作られる伝統工芸も勿論凄いけど、便利なハイテク機器を使っててもいい。
時間短縮になるし、製品の均一化も計れるし、キャリアが無ければ出来なかったところに早く辿り着けるかもしれないもの。
ホリエモンみたいに「修行を10年もするのは馬鹿」なんて言ってる奴にはわからないだろうが、職人の世界はそうだ。

料理だって工場で均一に作られる。保存料や添加物が入っていない方が美味いし安全なのはわかってるが、どうしてもそれでは生産性が悪いから割高になってしまうのも事実だ。魚のすり身だって天然物をさばいて、すりこぎでごりごりやって、塩だけで粘着させる事は出来る。
でも、機械でさばいて機械で粉砕して撹拌して毎回適量の塩が混ぜれたら、凄く便利で早く大量に作れる。
世界に誇る日本の技術が産んだ工場の機械、ハイテク機器だって、いろいろなこだわりがあって、企画、設計、材料調達、金属加工、配線、システム・・・職人のこだわりや技術が活かされて作られてるし、それを営業/販売する人、運ぶ人、組み立てる人、お金の計算や管理をする人で成り立ってる。

今はサラリーマンも年功序列じゃなく、能力給や成果配分になってる。農業や漁業、畜産業だってより安全でより美味しいモノをって、日々作ったり取ったりしてくれてる。
そのすべてはお客様の為、そしていろいろな人の為という、根っこがあるから辛くても妥協せずに頑張れるんだろう。

下町ロケットは昭和を支えてきた高年齢の人ほど、共感できると思う。
そうだ、俺たちはこれで頑張ってきたんだってね。あのとき俺は妥協したが阿部寛のように貫けたらなぁ。こんな同僚や仲間がいたらなぁ。あいつは今元気か?久々に合いたいなぁ。なんてね。

若い世代に限らずこのドラマを観て「今時こんなに仕事に熱中したり、熱くなったりするのって、俺には無理」とか思う人でも、絶対何かに夢中になったら他の事は顧みないで没頭してるはず。まだそれに出会ってない人も多いだろうけど、是非見つけてほしい。
イチローや本田、矢沢や尾田栄一郎、羽生や武豊、吉永小百合や高倉健。誰もが成功できる訳じゃない。幾ら努力しても報われないかもしれない。
でも諦めないでほしい。

阿部寛は映画のエベレストロケをしながら、このドラマを撮った。
小泉孝太郎はこの仕事の為にプライベートの幼児はすべてキャンセルして臨んだ。
映画「あぶない刑事」のバイク練習で骨折した吉川晃司は足が完治してないはずなのに、帝国重工で全力疾走してた。
そして周りを固める脇役達もそれぞれ役に成りきり熱かった。制作スタッフの熱気もひしひしと伝わる。
それは、よりいいものを、より楽しんでもらえるものを、より喜んでもらえるものを作りたい、届けたいと言う気持ちだろ。

普段なにげに喰ってるカップラーメンだって、コンビニ弁当だって、スマホだって、車だって、自動改札機や自動販売機だって、それに関わる人達の想いで出来上がってる。

SHARPに続き、東芝が大規模なリストラをするらしい。
経営陣、役員はもう一度原点に戻らないか?
日本では、中小工場が全体の99・2%を占める。中小工場の従業者数は全体の70%を超える。
それらは大企業の下請けであったりするのだから、元締めである企業はしっかりしてほしいな。