前回の論考で主張したかったのは、「お金が全てではない。お金以外にも大切なものがある」ということでもある。
これには多くの人が賛成してくれると思う。ただ、この手の言明には、注意しなくてはならない所がある。
「お金持ちが必ずしも幸せだとは限らない」という言葉がそれである。
この言葉は、不遇の身にある貧乏人に対して、貧乏であることを慰めるために発せられることが多い。
確かに、言葉の表面上の意味だけを読むならば、そのとおりである。不幸なお金持ちもいる。
しかし、最低限のお金がないと、保証されない幸せがある、というのもまた事実である。この言葉は、貧困が抱える問題から目を逸らしてしまうという、欺瞞を孕んでいる。目を逸らした上で、貧困に関する話を終わらせ、思考を停止させてしまう。
だから、「お金持ちが必ずしも幸せだとは限らない」と言うだけでは、不十分である。
そのあとに、「だが、お金がないことで不幸になる人もいる」と付け足さねばならない。
そして、そこで話を終わらせるのではなく、そこから話し始めねばならない。奇麗事を言って、本質から目を背けてはならない。
オススメ関連本・安冨歩『経済学の船出――創発の海へ』NTT出版
これには多くの人が賛成してくれると思う。ただ、この手の言明には、注意しなくてはならない所がある。
「お金持ちが必ずしも幸せだとは限らない」という言葉がそれである。
この言葉は、不遇の身にある貧乏人に対して、貧乏であることを慰めるために発せられることが多い。
確かに、言葉の表面上の意味だけを読むならば、そのとおりである。不幸なお金持ちもいる。
しかし、最低限のお金がないと、保証されない幸せがある、というのもまた事実である。この言葉は、貧困が抱える問題から目を逸らしてしまうという、欺瞞を孕んでいる。目を逸らした上で、貧困に関する話を終わらせ、思考を停止させてしまう。
だから、「お金持ちが必ずしも幸せだとは限らない」と言うだけでは、不十分である。
そのあとに、「だが、お金がないことで不幸になる人もいる」と付け足さねばならない。
そして、そこで話を終わらせるのではなく、そこから話し始めねばならない。奇麗事を言って、本質から目を背けてはならない。
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