きょう、1月10日、河野太郎防衛大臣が命令した中東の自衛隊派遣は、安倍晋三の政治的な思惑からのもので、それ以外の何か意味があるわけではない。
あす11日にP3C哨戒機2機を約3か月の任務に派遣し、来月上旬には護衛艦を派遣する計画である。
今回の派遣の名目は、中東海域で航行する日本関係船舶の安全確保のための調査・研究だが、P3C哨戒機や護衛艦を派遣しても何の役にたたない。調査・研究は戦闘服を着ない諜報部隊の仕事である。
見当違いの「調査・研究」としたのは、国会議決をへずに、ペルシア湾・ホルムズ海峡に自衛隊を派遣するためである。防衛省設置法第4条18項「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」にもとづき行ったという。
それなら、「所掌事務の遂行」とは何か、「必要な調査及び研究」とは何かを、具体的に明らかにしないといけない。
「調査及び研究」に何の役にたたないP3C哨戒機や護衛艦を中東に派遣するとは、派遣すること自体が目的で、武力を自衛にかぎってきた日本の枠組みをなし崩しにするものといえる。
自衛隊派遣のきっかけは、トランプ米大統領が、ペルシア湾・ホルムズ海峡のタンカー航行を守る有志連合を結成し、各国に参加を求めたことだ、という。日本の有志連合への参加は、これまでのイランとの友好関係を壊すので、有志連合に参加せず、日本独自に航行を守る、とトランプに昨年伝え、評価を受けた。
しかし、「所掌事務の遂行」が、ペルシア湾・ホルムズ海峡のタンカー航行を自衛隊が武力で守ることなら、日本の自衛権の拡大解釈ではないか、日本の憲法に違反するのではないか。国会で議論され、国民的合意ができているのか。
しかも、イランとアメリカのあいだに戦闘がおきれば、有志連合に参加していなくても、派遣された自衛隊が戦闘に巻き込まれざるをえない。
それに、もともと、日本がイランの石油を買い、日本のタンカーをイランに守ってもらえれば、ペルシア湾・ホルムズ海峡のタンカー航行に何の心配もいらない。
意味もなく、隊員が犬死するかもしれない、自衛隊の中東派遣には反対である。
〔追記〕
哨戒機P-3Cとは、アメリカのロッキード社が開発した軍用機で、潜水艦や小型船舶を監視攻撃する。潜水艦探知用のソノブイ・システム、センサー、レーダー、データ処理用のコンピュータ、キッチン、トイレつきの11人のりのプロペラ機である。航続距離は6,751kmと地球半径より長い。しかし、何日も監視となると、近くに軍事基地が必要になる。
今回は3か月の任務なので、中東の米軍基地から毎回監視に飛び立つことになる。日本は有志連合に参加しなかったが、米軍との共同軍事行為を3ヵ月続けることになる。